| 見ていてウザイ、という理由からイザークが仕方なく彼女を紹介した。 イザークに屋上に呼び出されて何かなー、と思いながら待っているとと共にイザークが登場したので慌てふためいた。 聞いてない、こんなこと!! 「知ってるかもしれないが、ラスティ・マッケンジーだ。話があるそうだから聞いてやれ」 抗議をしようとしたが、イザークは何食わぬ顔でにそう言い、さっさと屋上を後にしたのだ。 「えーと、マッケンジーさん?何でしょう」 彼女は首を傾げてそう言う。 世界一可愛いと思った。 「あ、えーと。ラスティでいいよ」 「はい。えーと、ラスティさん。それで、お話って?あ、わたしのことも『』でいいですから」 遠慮がちに言う彼女にラスティは言葉と言うものを失った。 気がつくと彼女を引き寄せて強く抱きしめていた。 「好きです」 彼女を抱きしめたままその一言を搾り出した。 「...嬉しい」 消え入るようなその声がラスティの耳に届いた。 今なら死んでも良い... そう思い、彼女を抱きしめる腕にさらに力がこもった。 「何でラスティさんはわたしのことを...?」 暫く抱き合った後、ラスティが腕の力が緩み体を離して彼女が問うた。 「わかんない。でも、紐なしバンジーって本当にあるんだって思った」 はラスティの言葉の意味が分からず、きょとんとした。 ああ、この表情も世界一! ラスティは彼女の表情に見とれていた。 そして、彼女はくすっと笑う。 「ラスティさんって面白い人なんですね。イザークが言ったとおり」 クスクスと笑いながらが言う。 「名前で呼んで。『さん』なんて要らないよ」 ラスティが言うと彼女は頷き、「ラスティ」と練習していた。 彼女が練習で呟く自分の名前は何だか物凄く大切な宝物のようだ。 「イザーク、が何?」 彼女の言葉を思い出してラスティが問う。 「わたしも、ラスティさん..じゃなかった。ラスティ..のことが気になってたから」 『ラスティ』と呼んで何だか少し照れた様子の彼女にラスティは笑みを零す。 「オレのこと?」 「ええ。よく廊下ですれ違ったりしましたよね。あと、食堂とかに行ってもイザークたちの中心になって楽しそうにしていて...ステキだなって」 廊下ですれ違っていたのは自分が彼女の姿をを見たくて探していたから。見つけたら声を掛けようと近づいてみたけど、どうも最終的に逃げてしまっていたから『すれ違う』状態を起こしていたのだ。 しかし、食堂のこととか言われても...気づかなかった。 「何だか気になってイザークに聞いてみたんです。そしたら...」 が勿体ぶったように言葉を切る。 ああ、いい所だから。早く言って!! 心の中で先を促した。 ラスティのその思っていることはちゃんと表情に出ていて彼女は悪戯っぽく笑う。とてもキュートだ。 「そしたら、『良い奴だ。時々、意味不明だけどな』って」 微妙な評価だ... 正直そう思った。 「でも、イザークってあの性格でしょう?たぶんかなりの高評価なんだろうな、って。それを聞いたら益々気になって。いつの間にか目で追うようになってた。恋って『する』ものではなくて『落ちる』ものなんだって聞いたことがあるけど、もしかしてこれなのかなって」 「そう!紐なしバンジーだよ!!」 我が意を得たと言わんばかりにラスティが声を上げた。 そうか、これか。 も彼の先ほどの発言の意味をやっと理解し、何だか可笑しくなって笑った。 何だ、同じだったんだ... につられてラスティも笑った。 『恋』とか『愛』とか難しい話ではなく、自分は彼女を大切にしたいと思い、それは誰にも負ける気がしない。 きっとそれで十分なんだろうな。 そのとき、『幸せ』なんて形の見えない言葉がラスティの頭の中に広がった。 翌日、ラスティはイザークにぜんざいを5杯おごった。 おごったというかある意味押し付けた。 イザークのこめかみに青筋が立つ。お礼という名の嫌がらせだろうか、これは。 君子危うきに近寄らず、とディアッカは避難し、ラスティはイザークにおごったはずのぜんざいを4杯平らげさせられた。イザークは1杯だけは奢られた。 おっかしいなー、と思いながらもそれでも幸せだから良いや、とラスティは笑顔でぜんざいを完食した。 |
桜風
09.10.12
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