| から浮気を許容されたこともあり、ディアッカはこれまでと変わらず合コンに顔を出しては気に入った女の子を連れて帰っていた。 親が五月蝿いからたまにをデートに誘うことはあったが、彼女とは特にそんな関係にはならなかった。 彼女とのデートで利用する飲食店は、基本的に彼女の希望通りに大衆食堂だ。 今回も彼女とともにふらっと入った店で定食を食べている。 「ってさ」 もぐもぐとハンバーグ定食を食べながら彼女は視線で話を促した。 「俺のこと、どう思ってんの?」 (うわ、うざい女かよ...!) 昔よく言われていた。 「ディアッカって私のことどう思ってる?」とか「私のこと、好き?」とか。 言われるたびに「あ、もう面倒だから別れちゃお」と思っていたことを思い出した。 しかし、今更「今の言葉なし」といえないし、の場合婚約者だから簡単に『別れちゃお』にはならないが、それでも何だか面倒な男だと思われる。 「んー。どう、と言われてもねぇ...」 (尚悪い!!) つまり、彼女は自分に興味がないといっている。こんなにもコメントに困られるとかなり傷つくものだ。 「婚約者?」 やっと出てきた言葉が客観的な今の関係と来た。しかも、疑問系。 「にとって、俺との婚約って何?」 「仕事を続けるための条件」 今度は即答。 「タッド・エルスマン氏も、結婚しても仕事続けても良いって言ってくださっているから、これまた安心」 満面の笑みで彼女がそんなことを言う。 「...夫が認めないって言ったら?」 「考えてなかったわ。仕事、続けたらダメなの?」 が問う。 「や、そんなこと言うつもりはなかったけど...」 そもそも、婚約の先、つまり婚姻まで想像できないのだ。 こうやって、たまに声をかけて食事をしてという状況はそんなに難しいことではないが、その先となると色々とプロセスが面倒くさそうで、とりあえず周りが先に済ませるのを待って色々と準備でもするかな、という感じだった。 「例えば、俺がダメって言ったら。はどうすんの?」 「そうねぇ...お父様に勘当してもらうかしら?縁を切ってもらう」 「縁を?」 さすがにディアッカは驚いた。 クラスメイトの彼が「絶対に自分の目で確かめとけ」というからディアッカもの家、を調べた。 「うへぇ...」と思わず言葉が漏れてしまった。 家の格式的には、見方によってはエルスマン以上だ。つまり、この婚約も場合によっては成立しなかったことになる。 ただ、今のプラントの採っている政策が後押ししたに過ぎない。 周囲から見れば、エルスマンは『上手いことやった』という状態で、彼女との婚約が破棄となると必要以上にエルスマンはダメージを受ける可能性が大きい。 だから、こうして彼女のご機嫌取りを、と思って誘っているのだが... 本人は全くそう言うことに頓着していない。 「切ってくれるの?」 「無理ね」 試しに聞いてみると即答。 「ってさ、自分ち嫌い?」 「愛着はないかしらね。自由に色々出来ないし」 「俺も一応そういうタイプの家のはずなんだけど...」 「男女差ってのもあるわよ。女だから、道具にされるっていうことがね」 肩を竦めて彼女は言う。 「道具ってんなら俺だって」 (何張り合ってんだ...?) そう自分の言葉に違和感を抱きつつもディアッカは言う。 「でも、仕事の選択権はあなた自身にあるわ」 そう指摘されて続けることができる言葉はなかった。 彼女は仕事を続けることを条件としてディアッカとの婚約に応じたと言っていた。 「大変なんだな」 (結局出てきた言葉がコレかよ...) ディアッカは自身に軽く失望した。 「まあ、研究者じゃなかったらまだ好意的に受け取ってもらえたかもしれないんだけどね」 諦めたように彼女はそう言って水を飲み、 「お冷くださーい」 と店員に向かってそう声をかけた。 を家に送ると丁度彼女の父親が家にいるから、と招かれてしまった。 「ごめん、確認を怠ってた」 がこっそりと謝る。 「や、まだ挨拶してなかったし」 とディアッカが返した。 は基本的に家に帰っていないそうだ。だから、親の動向が読めなかったと言う。 「今度から研究所に送ったほうが良い?」 「んー、こういうことがなければ家に帰らないから。たまには帰った方が良いだろうし」 半ば自棄になったようにそういったにディアッカは 「ごめん」 という。 彼の言葉には心底不思議そうに彼を見上げた。 |
桜風
12.6.11
ブラウザバックでお戻りください