Seriously 7





さて、どうするか。

は足を止めて空を見上げる。先ほどと変わらず青い空に白い雲。

短く息を吐いてゆっくり歩き出す。

グイと腕を引かれてバランスを崩した。

「やっぱ、じゃん」

見上げた先にはディアッカの顔。

「危ないじゃない」

その姿勢のまま文句を言うと彼は笑う。

「何でこんなとこいるんだよ」

崩した彼女の姿勢を戻しながら問う。

「いや、何となく?」

首を傾げて言う。

「というか、彼女は良いの?」

「彼女?」

心底疑問のようで、ディアッカはきょとんと聞き返す。

「さっき、ほら。一緒に、いた...」

何か、こんなことを言うのは決まりが悪い。

「あ、ダチね」

「ダチ?」

「うん、別に気にしなくていいって。遊んで帰ろうって話してたんだけど、断ってきたから」

「断ってきたの?どうして...?」

今度はが心底不思議そうに聞き返す。

「だって、が見えたもん」

ディアッカの答えには少し考えた。

「えー...と?」

(どういうこと??)

「こないだ話たじゃん。俺に本気になったって。だから、アレはダチで彼女とかじゃない」

「は?!」

「うわ、俺今凄く傷ついたー。てなわけで、デートしようぜ。つか、。婚約者の『彼女』の心配するのもどうかと思うんだけど」

笑いながらディアッカが言う。

そう言っての手を取って歩き出す。

「どっか行きたいトコあるの?てか、ホントなんでこのコロニーにいるの?」

歩きながらディアッカが問う。

「お休みだったの。上司命令で」

「マジで?!ま、は結構ワーカーホリックなところがあるもんな」

ディアッカが笑う。

「そっか。連絡くれたらちゃんと考えておいたのに。晩飯はどうすんの?家で食べなきゃいけない?」

「ううん、外で済ますって話してきたし」

「そっか...」

そう言ってディアッカは少し何かを考え、「ちょい待ってて」と言って少し離れていった。

何だろう、と思ってその場で大人しく待っていた。

ディアッカはどこかに電話をしているようだった。


「すみません」と声を掛けられては振り返った。年配の夫婦の妻の方が声をかけてきた。

「あの、ここに行きたいんですけど」

道を聞かれてしまった。

非常に困っている表情の彼らを見ては困った。

このコロニーの地理なんて全く頭に入っていない。モバイルで調べるか、と思って鞄からそれを取り出すと

「ああ、そこ。一緒に行きましょうか」

と声がある。

「いいだろ?」

は頷いた。ディアッカが戻ってきたのだ。

初めて会った人のはずなのに、ディアッカはその年配の夫婦と楽しげに話をしている。

(凄いなぁ...)

自分はそういうのが苦手だ。

基本的に敬遠され、下心を持って接される。だから、初めて会った人と自然と会話をすることが出来ない。

相手の目的を探ってしまう。

(そういえば...)

ディアッカとは初めて会ったとき、そんなに探りあいがなかった。

それは既にお互いの立場を知らされての初対面だったからか。おそらく違う。

目の前で話を盛り上げているディアッカを見ればそんな気になる。

ディアッカは自分にないものを持っている。

「じゃ、気をつけて」

彼らを目的地まで送り届けてディアッカはそう言って手を振る。

「ごめん、

「ううん。ありがとう」

素直に出た言葉。ディアッカは笑った。

「このコロニーの観光は、また今度で良い?」

「ええ」とが頷くのを待ってディアッカは満足げに笑った。

「んじゃ、行こうか」

「どこに?」

そういえば、先ほどどこかに電話をしていた。

「んー、がビビるところ」

笑ってディアッカが言う。

「わたし、大抵のところではビビらないんだけど」

「ホント?じゃあ、楽しみだなー」

心底楽しげにディアッカが呟く。

「んじゃ、エレカ乗り場行こうぜ」

「ディアッカって運転できるの?!」

が声を上げる。

「うん。え、出来ないとか?」

「運転できなくても困らないもの」

ディアッカはニッと笑う。

「じゃ、これは俺のほうがより上だな」

何だか悔しくなった。

(今度、免許の取得についてちょっと考えてみよう...)

休みを取って学校に通ってもいい。

これまで全く思ったことないのに、突然浮かんだ意欲。

「ディアッカって不思議ね」

「え?『ディアッカって素敵ね』?」

「耳が遠いのねぇ...」

しみじみと返すとディアッカは笑った。









桜風
12.7.2


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