Silver5





いつもの休日、の元をたずねたイザークはいつもの如く絵のモデルをさせられていた。

そんな中で突然に告げられた。

「あたし、ユニウスセブンに行こうと思ってるのよ」

「そうか」

本のページをめくりながら気の無い返事をするイザーク。

「そ。そうなのです」

そんなイザークを気にしないだったが、

「ちょっと待て!ユニウスセブン?!」

やっと言葉が脳に達したのか、イザークはに聞き返した。

「ちょ、動かないで!」

鋭くに言われてイザークは大人しくなった。

「で、どういうコトだ?突然だぞ?」

「んー。実は前々から行きたいと思っていたのよ。ほら、今はあたしは人ばっかり描いてるけど風景が描きたくて。で、自然豊かな農業プラントのユニウスセブンって思ってね」

「いつ、行くつもりだ?」

なんでもない風にイザークが聞いた。

「そうね。もうイザークにも話したから、明日にでも行こうかなって思ってる」

「明日、だと?急すぎないか?」

「そう?ほら、さっきも言ったとおり前から考えてたことだし。まあ、あたしがここからいなくなると銀の少年もすっごく寂しく感じるかも知れないケド?遊びにおいで。またキミの絵を描かせてよ」

イザークは「ふん」とから顔を逸らす。

止めたいと思った。行かせたくない、と。

しかし、自分にはそんな権利も強さも無い。

だから、それを口にするのは子供の我がままに他ならない。

「ま、精々のたれ死なんようにな」

せめて、憎まれ口を叩いてみる。

にはイザークの気持ちが分かっているのか苦笑をしながら「可愛くないなぁ」と呟いた。

そのままイザークは何とも言えない感情を抱えながら本のページをめくり続けた。

残念ながら、その内容は全く頭に入らなかった。


「はい、イザーク。ありがと」

そう言ってが最後の絵をイザークに渡す。

いつものように受け取ったイザークは眉間に皺を寄せた。

「何だ、これは?」

「イザークよ。知らなかったでしょ。イザークはとても優しく笑うのよ?」

に渡された絵には優しく微笑む銀髪の少年が居た。

「初めて、名前を呼んだな」

そう言いながらイザークは何だか泣きそうになる。

「そうね。呼びたかったから。今更、イヤだった?」

「いや。悪くない」

微笑したイザークには思わず頬を染める。

は「よかった」と言いながら今日は早めに店じまいを始める。

「また、逢えるよな?」

「だから、おいでって言ってるでしょ?」

はちょこんとイザークのおでこを突いた。

イザークはに突かれた所を撫でながら軽く睨む。

「またイザークの絵を描かせてよ」

そう言ったの笑顔を見て、何も出来ない自分が悔しくて、イザークは強く拳を握った。

「ああ、またな。

日を背にしていたからきっとからイザークの表情は見えない。

それがせめてもの救いだと思いながら、イザークも家に向かった。

必ず、ユニウスセブンに会いに行くと心に誓いながら。



は一度だけ振り返った。

その先にはもう自分に背を向けているイザークの姿がある。


モデルとしてのイザークは何度も見てきた。

とても楽しかったし、そして、心地よかった。

眉間に皺を寄せてるのだって実はそんなに気にならない。彼の良さは話していれば自然と分かってくるのだから。

実は優しく笑うこと。どれだけの人が知っているのだろう?

本を読んでいると何度か髪を掻きあげるその仕草。

暑い日は髪を結っている。

洗練されたその所作。全てに目を奪われそうになる。

もっと一緒に居たかった。

でも、そうすれば自分の夢を諦めてしまうかもしれない。

そう気づいたとき、焦った。

自分はたくさんのものを捨ててきたはずだった。

イザークと過ごして、それをまた欲しいと思い始めてしまった自分に戸惑った。

だから、距離を置こうと思った。

そして、揺るがない信念を持ったとき、またイザークに逢いに行こうと決めた。

勿論、来てくれる分には歓迎するけど、自分からイザークの姿を求めない。


しかし、そのの夢は叶わないものとなった。





イザークとヒロイン、暫しのお別れです〜。
ヒロインから見たイザーク。
ステキです〜vvv


桜風
06.9.10


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