| が部屋に案内されるとアイシャが待っていた。 「さ、お風呂をどうぞ」 勧められてはためらった。 「わたしひとりで入れます」 「その体では無理でしょう?」 さらりと言ったアイシャに驚いて彼女を見た。 「無理に笑っていなくて良いのよ。あなたは『戦姫』を休業しているのでしょう?・クラインが泣いても弱音を吐いても別にかまわないわよ。だって、人間なんですもの」 ね?と首を傾げて言うアイシャの言葉にの張り詰めていた糸がプツンと切れた。 崩れるようにその場に膝を着くを慌ててアイシャが支える。 外に漏れるのを恐れて彼女は慟哭を嗚咽に変えて泣いた。 が落ち着くまでずっとアイシャは母親のように彼女を優しく抱きしめて頭を撫でていた。 暫くして落ち着いたが顔を上げた。 「ごめんなさい」 「あら、いいのよ。アンディから聞いていたでしょう?ワタシは、・クラインのファンだって」 「『戦姫』ではなく?」 「そんな肩書きに興味はないわ。ワタシは、あなたが好きなのよ。そこらへんのミーハー兵士と一緒にしないでもらえるかしら?」 ツンと澄ましてそういうアイシャには思わず口元を緩めた。 お風呂に入る。 アイシャが丁寧に体を洗ってくれた。 「すぐに治れば良いけれどね...」 優しく触れるアイシャの手にまたは涙を流した。 オーブの行政府の一室に数名が向かい合って座っていた。 「すまないな、ウズミ」 「...嬢は、どうなったんだ?」 オーブの代表、ウズミ・ナラ・アスハが問うた。 「おそらく、無事だよ」 安心したような瞳で答えたシーゲルにウズミもまた安心する。 「直接こうして会うのは、何年ぶりか...」 呟くウズミにシーゲルは向き直った。 「すまないな。今、この世界で最も厄介な私を匿ってもらって...」 「いや、この国とて同じだ。どうして戦うことを選んでしまうのか」 そう言ってウズミは深く息を吐く。 「申し訳ないついでに、頼みがある」 そういったのはシーゲルで、その言葉を聞いてウズミは反対した。 「なぜ、今プラントに!?」 「止めなければならないと考えたからだよ」 穏やかに言うシーゲルに対してウズミは絶句した。 「先ほどの話を聞いていなかったのか!?ザフトは地球軍本部に総攻撃。しかし、地球軍はその作戦を察知していたかの本部基地でのサイクロプスの起動による破棄。ここまで世界が混迷しているんだ。武器を取り、話に耳を傾けない人間が増えているのに、お前は...!」 「しかし、お前もそうするだろう。安易に武器を取らず最後まで話し合いによる解決を、とな」 少し勝ち誇ったような笑みを浮かべてシーゲルが言う。 あきらめたようなため息を吐いたのはウズミだ。 「ヘリオポリスまでしか送れんぞ。そこからは、自力でどうにかしろ」 「感謝する。が、こちらに連絡をしてくるかもしれない」 「ああ、あの子に助けが必要だったら、手を差し伸べよう。こちらが思うよりも少ない手助けで済ませてしまうかもしれないけどな」 シーゲルは深く頭を下げた。 |
桜風
10.5.3
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