| がバナディーヤにやってきて3日経った。 その間、シーゲルとラクスの行方はいまだ不明のままだった。 「オーブにいる同志に調べてもらったのだが、やはりわからないそうだ。行政府のほうとのつなぎが弱くてね、正直難しい」 バルトフェルドの報告を聞いては俯いて少し考えた挙句、 「わたしがオーブに行っても良いですか?」 と提案した。 「何言ってんの!?」 ラスティが反対する。 「いや、たぶん...あそこまで無事に着いたら話はできると思う。行政府の偉い人と」 具体的に誰とは言わないけど... はそう心の中で付け足してバルトフェルドを見上げた。 「ふむ」と少し考え込んだバルトフェルドだったが、 「まあ、いいだろう。あまり悠長なことはできない。あそこは近々戦場になるだろうからな」 バルトフェルドの言葉に少年たちが驚いた。 「なぜですか?」 「んー?パナマのマスドライバーは破壊した。地球軍のマスドライバーは、どこもない。ザフトが抑えているからね、未だに。そして、現時点では戦力的にも少々辛いものがあるだろう?オーブは地球の国家でありながら連邦軍には入っていない。独立国家で独自の戦力を持っている。それも、相当な規模の。 つまり、あの戦力とマスドライバーを地球軍は欲する。勿論、ザフトもな。しかし、あの国は自衛のために軍事力を持っていて、そのためだけに行使するといっている。簡単に地球軍の傘下に入らない。だったら、力ずくでいくしかないだろうね」 そう説明してバルトフェルドはを見た。 「と、言うわけだ。まあ、我々も近海で待機しよう。僕は海の中は苦手なんだけどねぇ」 そう軽口を叩きながらバルトフェルドは部下に指示をした。 「ところで、オーブに潜入と言ってもだけというわけには行かないだろう。護衛は、君たちの誰か1人にしたまえ。子供だったらやはり警戒が弱くなるだろうし、人数が多くても目立つからな」 バルトフェルドに言われて彼らは立候補した。 全員。 「では、。誰が良いですか?」 ニコルが問う。 暫く考えて、 「じゃあ、イザーク」 正直、体調は万全ではない。 その万全ではない理由を知っているのはイザークだから、フォローもしてくれるだろう。 そう思っての指名だったが、皆は不満そうだ。 理由を察したイザークはそこまで大喜びはしていない。ただ、心配そうな視線だけを送っていた。 オーブ近海まで行き、その後は小型船での入国となった。 正式な手続きを踏むことができないので潜入だが... 海岸から町に出る。 オーブの行政府がある中央まで行き、行政府に向かった。 「しかし、が行ってすぐに会えるのか?」 「お父様が来てたら、まあ..いけるかなーって」 ものすごく大雑把な計画だ。計画?思いつき以外の何者でもない気がする。 行政府入り口で案の定守衛に捕まった。 は手紙を取り出して渡す。 「ウズミ・ナラ・アスハ様にお渡しください。急ぎ、だということも加えて」 守衛は訝しがったが、とりあえず受けてくれた。 「オーブの代表だぞ!?」 こっそりイザークが言う。 「うん。お父様のお友達らしいわよ?」 そうだよ、と何でもないことのようにが頷いた。 暫くして行政府の中から人が出てきた。 「あなたが、ウズミ様と面会を希望している子ね?」 確認されて頷く。 「その子は?」 イザークを見ていった。 「護衛です」 そう言うと「そうですか」と返されて2人は行政府の中に案内された。 奥へと進んで行き、ひとつの部屋に通された。 「失礼いたします」 部屋の中にはウズミが一人いた。 「よく来られたな、・クライン」 優しい笑みをたたえてそう言う。 は微笑んだ。 「初めまして、でよろしいですわよね。・クラインです」 ウズミがの隣に立つ少年に目を向けた。 「イザーク・ジュールです」 イザークの名前を聞いてウズミは少し驚きの表情を浮かべたが座るように促した。 「父は、ウズミ様を訪ねて参りませんでしたか?」 すぐに本題に入るにウズミは苦笑した。 「ええ、先日。貴女の政略結婚の日に」 「今は..プラントですか?」 の言葉にイザークが驚いて彼女を見る。 ウズミも驚いた表情を浮かべたがやがて笑う。 「そのとおりだ。さすがご息女。貴女は、今どちらに?」 「北アフリカ駐留軍司令官がどうやら所謂クライン派だったらしく、お世話になっております」 の言葉になるほど、と思った。だから、自分が探しても中々見つけられなかったのか。 シーゲルが空に上がってから一応、探すことはしてみたのだ。 「では、これからどうされるおつもりですか?」 「空に、上がってみようかと思っています」 が言うとさすがに「ちょっと待て」とイザークが話に割り込んできた。 「なに?」 「『なに?』じゃない!自分の立場をわかっているのか?」 イザークがウズミの前だというのにきつい口調でに問う。 は「うん」と頷いた。 「いーや、分かってない!分かってたらプラントの近くに戻ろうなんて思うものか!」 イザークの全否定には真顔になった。 「近々、『あがって来い』って向こうが言ってくるわ。何となく、そう思う。だったら、準備をしておいたほうが良いでしょう?」 そうイザークに言ってウズミに向き直る。 「オーブはまだヘリオポリスへの定期便を出していますよね?」 の言葉にウズミは声を上げて笑った。 は驚き、同じく驚いたイザークと顔を見合わせる。 「しかし、今日の便はもう出ました。最近は物騒ですから1日1便としているのですよ。お仲間は近海に?」 が頷く。 何が可笑しかったのかさっぱり分からない。 「では、お仲間を呼んできなさい。港へのエスコートはオーブ軍が行う」 「しかし、それでは...」 「構わない。首長たちの了承は得ている。君が、私のことを思い出してくれると信じていたからな」 はイザークを見た。 どの道、バルトフェルドに相談する必要があるだろう。 イザークは頷き、「俺が戻ろう」と言った。 「嬢の安全は保障します」 イザークはウズミの言葉に頷いた。 ウズミは軍の方に連絡を取り、暫くして兵士が部屋にやってくる。 イザークはその兵士と共に部屋を後にした。 |
桜風
10.5.10
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