Polaris 27





暫くしてバルトフェルドの艦が入ってきたとの連絡を受けても港へと向かった。

「何でお前がここにいるんだ!!」

港に着くと怒鳴り声が聞こえる。

少し歩調を速めて言ってみると、バルトフェルドが苦笑していた。

「どうしたんですか?」

が声をかける。

「いやぁ。ちょっとこのお姫様と知り合いだったものでね」

軽い口調でバルトフェルドが答える。

バルトフェルドが気安く話しているにカガリは振り返って言葉を失った。声はもっと大人っぽかったが、たぶん自分と同年代だ。

「カガリ、さんよね?初めまして、・クラインです」

優雅に礼をして自己紹介をするに毒気を抜かれた。

「カガリ・ユラ・アスハだ。こいつとどういう関係だ?お前もザフトなのか?」

カガリが目を吊り上げてそういった。

「正しくは違うけど...残念ながらひと括りにして認識されていると思うわ」

「嫌そうに言わないでほしいねぇ」

バルトフェルドが楽しそうに言う。

どうしたものかと、周囲は声をかけていいものかと反応に困っていた。

「へえ!?お前さんがここにいるとはな!」

そう言って近づいてきたのは地球軍の軍服を着た青年だった。

「お知り合いですか?」

「まあ、一応ね」

バルトフェルドは肩を竦めて軽く応じながらもを庇うように前に進み出た。

「まあ、そう警戒しなさんなよ。アラスカの話、聞いているだろう?」

「地球軍も見る目ないねぇ」

バルトフェルドが軽口を叩く。

「ま、そういうことだ。ちょっとした縁があるこの国を頼ってきたってことだが...まさか『戦姫』がここにいるとはな」

青年の言葉に周囲が驚いた。

は、ラクスのように一般に顔を見せることがほとんどないから知らないもののほうが多い。プラントの中でさえそうだ。

それなのに、この地球軍の人間が知っているとは...

「初めまして、・クラインです。今は『戦姫』は休業中なんです。ところで、お名前を伺ってもよろしいですか、元地球軍のパイロットさん?」

バルトフェルドの前に進み出てが言う。

「ああ、失礼。ムウ・ラ・フラガだ。よろしくな、お嬢ちゃん?しかし、『休業中』とはねぇ」

言い方が面白かったのか、クツクツと笑っている。

しかし、は少し難しい顔をしていた。

地球軍のパイロットがここにいるということは、やはり遠くない未来にここは戦場になり、多くを失うことになるのだろう。

「悪い。『お嬢ちゃん』は、少し失礼だったかな?」

が難しい顔をしているのを不機嫌になったと勘違いしたフラガが謝る。

「いいえ、『オネエチャン』よりはマシかと...」

は笑顔を作ってそう答えた。


「どうしたんですか」と別の声が加わった。

ちょっと、いい加減人数が増えすぎだと思う。

と目が合った女性は目を丸くした。

「少佐、女の子をナンパしていたんですか!?ごめんなさい、失礼なこと言われなかったかしら?」

丸っきり信用ないんだな、とはフラガを見る。

「おいおい、それはいくらなんでも酷くないか?オーブのお嬢ちゃんの声が聞こえたからこっちに来てみたら砂漠の虎がいるだろう?こうやって顔を合わせて話をする機会なんてないからちょっと声をかけてみただけだって。なあ?」

「いやいや、うちのお姫様を突然ナンパしてきて、彼女が怖がって大変だったよ」

バルトフェルドが嘯く。

はクスクスと笑い、フラガが抗議した。

「少佐、ウズミ様とお話をするから同席してください」

少し怒った表情でフラガを引っ張って去っていった。


「地球軍の艦長のマリュー・ラミアスだ」

ぽかんと見送っていたにカガリが教えてくれた。

「あ、艦長さんなんだ...」

「ああ。それで、お前たちは何でここにいるんだ?」

やっと、最初の話に戻った気がする。

「んー、うちのお姫様と君の父上が知り合いだったんだよ。それで、少しだけ手を貸してくださいってお願いしたんだ。話をするのに、彼女に戻ってきてもらうのも手間だから一晩だけ駐留させてもらえることになったんだよ」

バルトフェルドの言葉に思い切り不機嫌にカガリは顔を顰めた。

「まあ、お父様が許可したのなら仕方ないが...」

不満いっぱいの表情でカガリは去っていった。

「何したんですか?」

「なに、レジシタンスを排除しただけだよ。任務だ」

「...レジスタンス?」

「少し前まで、彼女はそれに加わっていたんだよ。まあ、ここのお姫様だとまでは知らなかったけどな」

「しかし、まあ。最近の若い女の子は行動力があるねぇ。周囲が大変だ」とバルトフェルドが付け加える。

誰のことを言っているのか分かった少年たちは深く頷いた。

自分のことではないと自信を持っているは首を傾げて誰のことだろうと本気で考えて、ラクスのことか、と納得した。









桜風
10.5.24


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