| 「それで、どうしたいんだ?」 艦に入ってバルトフェルドがに話を促す。 「空に上がります。因みに、父もプラントです。父は、政治のほうで少し気になることがあるんでしょうね」 バルトフェルドは額を押さえて深く息を吐いた。 周囲もみな似たような表情だ。 「何でこう..大人しくしてくださらないんでしょうね」 皆の意見を代表してダコスタが呟いた。 「ホントにね」とが同意したが、「君にも言えるんだけどね、」と呆れたようにバルトフェルドが指摘した。 は肩を竦めたが、反省した様子はない。 「で、プラントにあがるんだって?」 バルトフェルドが続きを促すように確認した。 「私は、とりあえずヘリオポリスですね。その後、どうにか連絡をつけてファクトリーとか..とにかく、地盤を確保しておきたいなってのはありますね」 「『ファクトリー?』」 初めて聞く組織だ。 はにこりと微笑んで詳しくは答えない。 「まあ、その『ファクトリー』と渡りをつけるためにヘリオポリスに行くというのかね?」 バルトフェルドの問いには頷く。 「それだけではないのですが...今回の混乱には少々私怨が絡んでいるようですからね。まあ、準備しておきたいことがそれなりにあるんです」 の言葉にバルトフェルドは頷いた。 「ダコスタ君。キミにも空に上がってもらおう」 突然水を向けられてダコスタは焦った。 「プラント、ですか?」 「ああ、ラクス嬢のフォローに回ってくれ。アイシャ、君はだ」 「了解」 ダコスタとは対照的にアイシャが軽く請け負う。 「隊長はどうするんです?」 ダコスタが聞くと 「本部に呼び出されてね。ちょっと僕も空に上がらないといけなくなったんだよ」 「ばれたんですか!?」 ダコスタが慌てて問う。 「んー、どう思う?」とバルトフェルドはに意見を求めた。 「ニコルと、バルトフェルド隊長の接点は何ですか?」 最初、バルトフェルドに連絡を入れたのはニコルだと聞いた。 「全くないね」 「ええ。ただ、バルトフェルド隊長は噂で聞いていたので、駄目で元々というか...」 「噂?」 ディアッカが問う。 「バルトフェルド隊長は、クルーゼ隊長と仲が悪い」 シーンと室内が静まる。 「まあ、そのとおりだね。僕はあいつが嫌いだよ」 はっきり言う。 「じゃあ、普通はクルーゼ隊のニコルの連絡なんて相手にしないんじゃ...」 「しないつもりだったけど、アイシャがニコルからの暗号文を読んでしまってね。もういい加減慣れたと思うけど、アイシャは君の大ファンだ。君を助けるのに力を貸してほしいといわれてね。あとは、丁度運よく、というか少し上の方に不信感が募ってきてたからね。こちらに乗ってみるもの悪くないな、と。不都合が働いたら、君たちを切って捨てればいいと思っていたし」 さらりというバルトフェルドに今更ながら少年たちは危なかったのだと自覚した。 は少し安心したように息を吐く。 「まあ、そういうことなら...まず目をつけられないでしょうね。呼び戻されて..何か思い当たることありますか?」 バルトフェルドは肩を竦めた。分からない、と。 「何にせよ、僕とクルーゼ隊長がの仲が悪いっていうのは結構有名みたいだから君たちと通じていることは想像できないだろうね。大丈夫、何かあったら逃げるから」 軽い口調でそう請け負った。 は頷いて、にっと笑う。 難しい、重い話はこれでおしまい。 「では、バルトフェルド隊長。偽装IDください」 そう言って手を差し出した。 バルトフェルドは肩を竦める。 「参ったねぇ。用意していると踏んでいたのか?」 「2手くらい先となると、空に上がらないと」 しれっというにバルトフェルドが苦笑した。 「写真を付けなくてはね。あと、偽名だ」 身分証明書だからと言う。 は丁度いい、とその場に置いてあった鋏を持って無頓着に髪を切った。 床にの髪が散らばる。 唖然とその姿を見守っていた少年たちは慌ててを止めたが、そのときにはもうショートヘアになっていた。 アイシャは苦笑しての手から鋏を受け取る。 「全く、もう少し長く切ってくれていたら整え易かったのに...」 アイシャがの髪を整えるように切っていく。 「オーブに迷惑をかけられないから」 呟くにアイシャは溜息を吐く。 「まあ、確かに。そこまで短くされたらどう見ても『戦姫』だとは思わないだろうからねぇ。しかし、その髪で舞は、ちょっと寂しいね」 「伸びた頃にまた舞うようにします」 しれっと言うに少年たちも溜息を吐いた。 |
桜風
10.5.31
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