| この先の話をまとめたところで、バルトフェルドは夜のうちに駐留軍に戻ると言い出した。命令期限まで少し時間があるが、すぐに動いたほうがいいだろうということだ。自分が早めに空にあがって情報を収集しておこうと思ったのだ。 アイシャとバルトフェルドが目の前で別れを惜しんでいちゃいちゃしたため、少年たちはものすごく居心地が悪かった。 はけろっとしてその様子を見守り、 「アイシャ。戻りたかったら戻っていいのよ」 とか普通に話しかけていた。 「あら。ワタシはと共に空に上がるわよ。戻ってもアンディがいないんじゃ意味ないもの」 アイシャはそう返してバルトフェルドと再びキスをする。 そんな彼らの姿を目にしては肩を竦めて呆れた表情を浮かべていた。 艦に来客との知らせが入った。ウズミだ。 皆は顔を見合わせた。 「実は、力を貸してほしい」 そう切り出された。 何のことだろう、と皆は再び顔を見合わせる。 彼に導かれて向かったのはモルゲンレーテ工場の深部だ。 そこには5機のMSがあった。 「これ、どうしたんですか?」 が問う。 少年たちやバルトフェルドは興味があるようで視線はそちらに向いている。 「わが国で開発したMSだ。しかし、残念ながら今の世界の情勢ではゆっくりできないことになってしまった」 言わんとしていることが分かった少年たちは眉を顰めた。 バルトフェルドも難しい顔をしている。 「ザフトの技術をこちらに流せと?」 自分はザフトに見切りを付けたが、それとこれとは話は別だ。 ここで技術を提供すればこの国が地球軍に落ちた時に今度はその脅威が自分たちの故郷に向けられる。 今のプラントの体勢には納得できないが、それでも故郷は故郷だ。 「君たちの想いもわからないでもない。だが、我々には時間がない。考えてみてくれまいか」 暫く沈黙していた彼らだったが、「とりあえず、OS見せていただけますか?」と声を出した。 そう切り出したのはニコルだ。 「ニコル!?」 ラスティが声を上げる。 ニコルが振り返ってラスティを見る。 「味方になる可能性があるなら、その可能性を潰すのは惜しいです。オーブという国はそれだけの価値がある」 そう言ってウズミを見た。 彼もまた、そう言うつもりではあったようだ。 「君たちはザフトではないと聞いている」 「昔は、ザフトでしたが今はプラントの政策に納得できずに飛び出したのでザフトに所属しているとはいえないでしょうね」 ニコルが応じた。 「君たちが『ザフト』であるなら、我々とてここまでの機密を公開しない」 「しかし、僕たちがOSの調整などをしても、勝てる戦争だとは思えませんよ」 「国民を無事に逃がす時間は確実にほしい。私とて、この戦がどれだけ無意味であるかくらい認識しているつもりだ。そして、おそらく我々の向かう道は君たちのそれと同じだろう」 ニコルは頷いた。 「僕は、オーブに協力しようと思います」 ニコルの言葉に少年たちは言葉を失った。 そんな簡単に決められるものだろうか。 「と一緒にヘリオポリスに、と思いましたが...それはイザークに譲ります。僕たちは一応プラントに上がったら『有名人』の一員ですからね。大勢で行くほうが命取りです。の護衛は、最小限。イザークだけのほうが動きやすいと思います」 不満げな表情を浮かべたのはラスティだ。 別にイザークじゃなくてもいいじゃないか、といいたいのだろうが、ここはぐっと我慢の男の子だ。 ディアッカは盛大にため息を吐いた。 いつの間にかニコルが主導権を握っている。 「で?イザーク居ないとなると、MS余るけど?元々多いんだけどさ」 「じゃあ。オレでも使えるようにできないか?」 いつの間にかドックにいたフラガが挙手した。 ラスティたちは顔を見合わせて 「時間があればね」 とそれぞれの口調で言った。 イザークは自分が手を出さなくていいのかと悩みもしたが、それでもが空に上がると聞いてから自分が絶対についていくと決めていたため口は出さなかった。 これから、できるところまでやっておこう。 心の中でそんな算段をつけた。 |
桜風
10.6.7
ブラウザバックでお戻りください