Polaris 33





ファクトリーに無事到着して少し落ち着いたはイザークの部屋に向かった。

「どうした?」

イザークが驚いた様子でを迎え入れる。

「うーん。なんと言うか..護衛大変だったでしょう?」

「特には。で?この部屋に来た本当の理由は何だ?労いに来るなんてありえないからな」

イザークに言われては諦めてエザリアが拘束されている話をした。

イザークは動揺した様子だったが、それでも助けにいくなどとは言わなかった。

「なぜ黙っていた?俺が先走るとでも思ったのか?」

は少し悩んで「半分イエス、かな?」と返す。

「俺はこう見えて冷静なつもりだ。確かに、心配だが俺はもう決めているから」

は不思議そうにイザークを見た。

「俺の『いちばん』はもう決まっているからな」

そう言いながら微笑んだ。

少し居心地が悪そうには視線を彷徨わせた。

不意にイザークの部屋に通信が入る。

、そちらにいるかしら?』

アイシャからだ。

どうやら、先にの部屋に通信を入れると返事がないのでこちらだろうと思って通信を入れたらしい。

「はいはい、何かしら?」

『シーゲル・クラインが少し拙いわ』

見つかったのか。

そう思ってファクトリーの発令所へと向かった。


の後を追いながら、この『ファクトリー』という組織のことをイザークは思った。

どこか、少し大きめな会社のようなものかと思っていたが、どうもこのファクトリーはちょっとした軍事組織のようになっている。

何より、ザフトの情報を傍受しているところが凄い。

元々、シーゲル・クラインが出資して作った組織だという。つまり、クライン派のみで構成されている組織ということだ。

こういうしっかりした組織を抱えているなんて思っていなかった。

そして、ザフトの中にいるクライン派の中にはここに直接情報を流しているものだって少なくない。

正直、クラインは敵に回すと厄介な存在だろう。

ただ、対話による解決を心がけているから今までこんな組織の存在が見えていなかっただけだ。

下手したら、ザラよりも上手だったのかもしれない。

何より、を見ていたらそんなことを思ってしまう。

彼女は先を読んだ上で急進派の掌の上で転がってみていたのだから。

そういうことを思うと、何か自分はいらないんじゃないかと思う。いや、ここで自分の存在意義を疑ってどうする!

自分を鼓舞しながらイザークは発令所へと向かった。


「あー、確かに拙いですねぇ」

集まった情報を見ては呟いた。

ラクスは今はきっと動けないだろう。彼女も自分が逃げるのが精一杯だろうし。

うーん、と考えて指示を出す。

イザークは絶句した。

「それは...!」

振り返っては微笑んだ。大丈夫だ、と。

「しかし!」

「彼は、ザラ派でもなければクライン派でもない。けど、色々と知られたら拙いこととか沢山あるのよ?」

ザフトの上層部の情報は戦姫をしていたときに沢山拾って大切に温めていた。

ザラ派の特殊部隊が父を狙っているという情報だったが、彼はその特殊部隊にだって色々と顔が利くらしい。

そして、父には地球に身を隠してもらうようにその手配もした。

彼が身を隠すのは地球にいるマルキオ導師の元がいいだろう。

彼と連絡を取って了承してもらった。

も来ないかと心配してもらえたが、それでも自分が地球に降りるのは少し難しいと断った。

ラクスが動けるようになったら彼女にはそれを勧めてみようかと思っている。

まあ、聞きやしないだろうけど。

何せ彼女と自分は良く似ているそうだから。



その晩、瀕死のシーゲル・クラインを救出したとの連絡が入った。応急手当をした上で地球へ搬送したという。命が助かるかどうかは彼の生命力しだいだとか。

やはり無傷では無理だったか、とはため息を吐いた。

そして、もうひとつ。ザフト側に送られた通信の情報がに報告された。

思ったよりもゆっくりだったな、とは思った。

『役立たずの戦姫へ
明日1500にアプリリウスで一番大きな劇場へ来られたし。
母と共に待つ』

表示されたメッセージを見てはゆるく首を振る。

何だってこう..捻りがないのだろう。

読んだとおりの行動に出てきた彼女を思い浮かべて小さくため息を吐いた。









桜風
10.7.5


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