| 「まさか、行くつもりなのか!!」 ザフト全軍に送られたメッセージを見てイザークがに問う。 は事もなさそうに頷いた。 「罠だ!」 「ええ、そうね。でも、これがあるだろうからわたしはそらに上がってきたの」 イザークの目を見ては答えた。 「だが!危険だ!!場所が指定してある。待ち伏せしているに決まっている!!」 は少し視線を彷徨わせてそして頷いた。 「でもね。行かないとエザリアおば様が殺されるわ。それに、そろそろ彼女を叱ってあげないと」 そう言っては発令所を後にした。 「待て。どういうことだ?」 「イザークは危険だから残っててよ」 「馬鹿か!ついて行くに決まっているだろうが。俺が何のために一緒にこっちに上がってきていると思っているんだ」 コツコツと靴音が響く廊下にイザークの怒声も響く。 はアイシャの部屋に向かっていた。 彼女の部屋の前で停まり、ブザーを押す。 「あら?どうしたの?」 「部屋を2つ用意しておいていただけますか?」 「2つ?」とイザークが疑問を口にする。 「2つ、ね?いいわよ。一応、部屋の中のものは全部運び出しておくわ」 「ありがとう」と返しては自室に向かった。 「俺が行くからお前は大人しくしていろ」 イザークがそう言うが「いやよ」とは返す。 イザークは大仰にため息を吐いた。 本当に頑固だ。全くもって頑固だ。どうにも頑固だ。 そう思ってイライラとしながら説得を続けたが 「それ以上言うとイザークも連れて行かないよ」 といわれてとうとうイザークは口をつぐんだ。 「勝算は?」 「ああ、勝負しに行くんじゃないから。そうね、強いて言うなら、エザリアおば様を連れて帰るのが目的よね。あの方は、今プラントにいても危険しかないから」 「しかし、母上を救出しにいけば、が危険な目に遭うだろう。それは...それに、母上はある意味自業自得というか...」 母を見捨てるのは忍びない。 だが、今自分がを説得しているのはそういうことを意味している。 は振り返ってイザークの形のいいおでこをペチンと中指で弾いた。 イザークは額を押さえながらを睨む。痛いじゃないか。 「あのね、オムツ替えてもらった恩を忘れるわけにはいかないのよ?」 「は?!」 の言葉にイザークは間の抜けた声を出す。 「オムツ替えてもらったんだから。ちゃんと恩返しをしないと」 「そんな、オムツとかって...」 そんなどうでもいいことを『恩』という。 「オムツを替えていただいたって事は、愛情を注いでくださったということでしょう?第一、ジュール家ならメイドさんが沢山いたのに、エザリアおば様自ら、よ?愛してくださった方をわたしは見捨てるなんてできない」 「...お前を、売ったのにか?」 搾り出すようにイザークが問う。 「まあ、それはそれね。仕方ないと諦めてもいいし、『酷いです!』って直接言ってもいいし。とにかく。わたしはエザリアおば様を救出したいって思っているの」 イザークはため息を吐いた。 たったそれだけのことで母は助けてもらえるのだ。にはあれだけ酷い仕打ちをしたのに... 「あの子も、何とかしてあげたいけど...」 が呟く。 考え事をしていたイザークはその言葉が正確に聞き取れなかった。 「何か言ったか?」 「なーんにも!で?イザークはわたしを止めるの?一緒に行ってくれるの?」 ずい、と迫ってが問う。 イザークは両手を軽く挙げて降参した。 「ここでお前一人を行かせて見ろ。あいつらに袋叩きにされる。それに、がここに上がってきた理由がそれなら、俺はお前を守る。何せ、俺はお前の目的を果たすために上がってきたんだからな」 イザークの答えには満足そうに微笑む。 数時間後、とイザークは指定されたアプリリウスで一番大きいとされている劇場へと向かった。 |
桜風
10.7.12
ブラウザバックでお戻りください