| 敵が一斉に引き金を引いてきた。 「この子、それ以外の武器は持ってないみたいよ」 「ナイフもないな?」と応戦しながら言うイザークには「うん」と頷いた。 しかし、それでもどうにも不利なのは明白だ。こちらは予備の銃弾はそんなに用意していないのだから。 またしても扉が開く音がした。 増援か、とイザークは舌打ちをした。 しかし、銃声はしたが、こちらに向けての銃弾はなかった。 そろりとブロックから顔を覗かせて様子を見る。 「大丈夫ですか、様」 「ダコスタさん!?」 は驚いて声を上げる。 「ラクス様が」と答えるダコスタには頷いた。 「ありがとうございます」 ちらりとと共にいる人物を見て眉間に皺を寄せる。 「この方たちも保護されるのですか?」 頷くを見てイザークに視線を向けた。 イザークは諦めた表情で頷いている。 「早くプラントを出ましょう。包囲網が敷かれています」 ダコスタの言葉には頷いた。 「エザリア様、服を着替えてください」 「はい?」 の言葉にエザリアが聞き返した。 イザークに持ってもらってい他バッグを開ける。 中には洋服が入っていた。 「エザリア様の服には発信機がついているかもしれませんから」 の言葉に驚きもしたが、そういうこともあるかもしれないと納得した。 「、あなたも」 が声をかけても彼女は呆然としたままで動こうとしない。 「置いていっては...」 ダコスタが声をかける。 は首を振った。 「クルーゼがああした以上、今のプラントにこの子の居場所はないから」 はバッグからもう1セット服を取り出しての服を脱がせ始めた。 「ダコスタさんたちは?」 「まだこちらでしなければならないのことがありますので。ですが、様がプラントを出るまで護衛をさせていただきます」 ダコスタの言葉に「ありがたい」と答えたのはイザークだ。 だけを守るなら自分だけで十分だが、人数が増えた。 来た時と同じようにアプリリウス内の地下道を抜けてシャトルに乗り込む。 「お気をつけて」 護衛としてついてきていたダコスタがそういった。 「ラクスにありがとうと伝えてください」 の言葉にダコスタは頷いた。 「時が来ればラクス様も出られると思います」 ダコスタの言葉には頷き、プラントを後にした。 ファクトリーに戻るとアイシャが迎え出てくれた。 「あら、お客様ね」 は頷いた。 「それぞれお部屋に案内してください。様は、特に気をつけて差し上げて」 はそう言ってエザリアたちを任せて自室へと戻った。 はクルーゼのことを知っていた。 だから、自分を憎んでいたのだろう。 最初のコーディネーター、ジョージ・グレン。 彼は自分がコーディネーターだと、遺伝子を操作して優秀な人物となったと告白した。 それをきっかけに人々は競ってわが子をコーディネーターにした。他者よりも優位に、優秀であるように、と。 あのディスクにはクルーゼの出生の秘密も入っていた。 アル・ダ・フラガ。 彼は優秀な自分を残したいと思ったのだ。 だから、まだ技術的に問題を抱えているクローンを作った。それが現在のラウ・ル・クルーゼだ。 自分と同様に優秀な人物。 それが造れると思っていた。しかし、生まれたのはテロメアが短いクローン。 つまり、彼にしてみたら出来損ないだ。 だが、元々そういう問題があるというのは当時から分かっていたことだし、それでもクローンを、と望んだのは彼だというのに。 出来損ないとして捨てられたクルーゼは何を思ったのだろうか。 自分を作り出した『ナチュラル』を恨んでいるのか。 他者よりも優位に、ということを形にした『コーディネーター』を憎んでいるのか。 そうではない。きっと、そういう欲望にとらわれる『人類』というのを許せないのだろう。 だから、彼はブルーコスモスの盟主にプラントの情報を流した。そして、プラントのほうでもパトリック・ザラの信頼を得ることで自分の思うようにプラントを操っている。 お互いが滅びてしまうように。そういう道を辿るように仕向けている。 人類を滅ぼせば自分は救われると思っているのだろうか。 ...違うな。 彼は救われたいのではない。 ただ、自分を作った『人類』への断罪以外頭にないのだろう。 「かわいそうなひと...」 この世に存在する沢山の『幸せ』が見えていない彼は、暗く、先の見えない道を歩んでいるのだろう。 造られた命も生まれてきた命も同じ命だというのに... 同じく『造られた命』であるは深く息を吐いた。 |
桜風
10.8.2
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