Polaris 41





エザリアたちを救出して数日たった。

オーブの情報がファクトリーに届く。

オーブは何とか凌いだらしい。

だが、ザフトが抑えていたビクトリアのマスドライバーを地球軍に奪還された。

つまり、地球軍はそらに上がってくる。

オーブからは地球軍を離反したアークエンジェル、オーブの艦のクサナギが上がってくるという話になっているそうだ。

そして、地球に降りた父だが、快方に向かっているとの話を聞いた。とにかく、峠は越えた。


「じゃあ、そろそろこちらも出ますか?」

が軽い口調でファクトリーの責任者に言った。

「分かりました。ザフトに潜入しているものを少しこちらに戻しましょう。クルーが必要ですから」

は頷く。

「出る、って?」

アイシャが問う。

「ああ、こちらも艦があるから。ちょっと小さ目らしいんだけど。小回りが利いて良いんだって」

「は!?」

声を上げたのはイザークだ。

「MSも数機あるよ」

クライン派の底知れぬ技術力と情報力に益々ぞっとした。

「エザリアおば様は、ファクトリーに残ってもらうことにするね」

「あいつは?」

本当に名前呼ばないなぁ...

は少し大人気ないなー、と呆れたが「あの子は一緒に出撃」と返す。

「理由は」

不機嫌に眉間にしわを寄せてイザークが問う。

「クルーゼとね、もう1回話したら?ってわたしが言ったから」

これ見よがしに深いため息を吐いた。

「ラクスとは連絡を取らなくていいのか?」

「あの子のタイミングで出てくるわよ。そうね、でも...アスランを拾ってくるでしょうね」

「はあ!?」

の呟きにイザークはまたしても声を上げる。

「何でまた、アスラン...」

「アスランって、意外と馬鹿じゃないから。自分で考えられる子だから。このまま戦争を続けていって何が残るかって考えてみて」

「共倒れだろう?クルーゼ隊長の望むとおり」

は頷く。たぶん、そうなる。

彼はそれこそじっくり時間をかけて色々と仕込んできている。簡単に崩せるものでもないだろう。

考え込むをじっと見ていたイザークはため息を吐いた。

「MSが数機と言ったか?」

「ああ、うん。そうみたい」

「ドックだな」と言ってイザークはファクトリー内のドックへと向かった。


「ねえ、アイシャ」

残されたは一緒に発令所に居るアイシャに声をかける。

「なあに?」

「艦長は、アイシャにお願いしたいんだけど...たぶん、途中でバルトフェルドさんと合流するとは思うんだけど、できればこの艦に居てもらいたいって言うか...」

の言葉にアイシャは首をかしげた。

「ワタシ、何もできないと思うわよ?それに、クライン派の艦ならが艦長としてブリッジに居るほうがいいと思うんだけど...」

アイシャの言うことは良く分かるしもっともだ。

だが、自分は少し単独行動したいのだ。が言うと「詳しく聞いても?」とアイシャが問う。

は自分の出生について話した。

静かに聴いていたアイシャは聞き終わって小さく息を吐いた。

「そう。それで、単独行動って?」

「メンデル、というコロニーを知ってるかしら?」

少し考えてアイシャは首を振る。

「聞いたことがあると思うんだけど、よく分からないわ」

「そこは、遺伝子の研究をされていたコロニーなの。わたしが生まれたのも、そのコロニー内の施設なんだって」

つまり、そこに行ってみればクルーゼに関する新しい情報を得られないかと思っているのだ。

「そうねぇ...そのコロニーはもう死んでいるのかしら?」

「生きてるばずよ。確か、まだ結構しっかりとしていて、ちょっと事故があって放棄されたコロニーだけど、放棄した割には破損が少ないって聞いたことあるし。そこを根城にしている組織があったくらいだから」

の言葉にアイシャは目を丸くした。

「なぜそんなことまで知っているの?」

「『戦姫』って沢山情報が入ってきていたのよね」

「でも、一人は危険よ」

誰もが言う言葉をアイシャも口にした。

は頷く。

「でも...研究内容を見て人類に失望されたら、悲しいでしょう?」

目を伏せて言うにアイシャは悲しそうな視線を送った。

「ワタシが艦長というのは別に構わないわ。でも、ザフトから呼び戻された人の中で相応しい人が居たらその人に任せるのがいいと思うわ」

アイシャの言葉には頷く。

たしかに、それはそのとおりだ。









桜風
10.8.30


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