Polaris 45





「...お姉さま」

アークエンジェルのブリッジを後にしたにラクスは感極まったように目に涙を溜めて抱きついてきた。

「お父様が...!」

ラクスの涙の意味を知っては苦笑する。

「お父様なら、生きていらっしゃるわよ」

の言葉にラクスは驚いて顔を上げる。じっとを見つめて話を促した。

「お父様は確かにザラ派の特殊部隊に追い詰められて重傷をおったわ。でも、今は地球よ。マルキオ導師を知っているわね?」

の言葉にラクスは頷く。

「あの方にお願いしているの。少し前に峠は越えたって連絡が入ったわ。お父様の体力次第だし、昔のようには体は動かないかもしれないけど。それでも、命は助かったわ。余程のことがない限り、お父様は無事よ」

父は無事だ。

それを知ってラクスはまた別の涙を流す。

「お姉さま。ありがとうございます」

「お礼を言われるほどのことではないわ。だって、自分のお父様だもの」

ラクスの髪を梳きながらは穏やかな声音でそう言った。




メンデルで廃棄された施設。

そこが自分の出生地で、故郷と呼ぶべき場所なのだろう。

はクルーに行き先も告げずにポラリスを後にした。

アイシャにひとりで行くのは危険だと注意されていたが、それでもひとりでその地へと向かう。

おそらく、彼も来る。

だから、話をしたいと思った。

たぶん自分と彼は歩んできた人生の違いや出生の理由が違うため同じ思いではないだろう。それでも、彼の向かうその先に何があるのか。何が欲しくて彼はあんなことをしているのだろうか。

施設は、以前1度だけ来たことがある。

そのときは父が一緒だった。

あまり奥のほうには行かないで、施設の存在だけを教えてもらった。

たぶん、父がとめたところよりも奥に進めば研究をしていたラボに着いたのだろう。自分のことを気遣って止めてくれた。


初めて足を踏み入れるブロック。

は一瞬躊躇したが、それでも自分が望んでここに来たのだ。

足を踏み入れた瞬間、何かずんと重いものが背に圧し掛かったような錯覚を覚えた。

進める足が重く感じる。

唾を飲み込むと喉が鳴る。

嫌な汗が背を滑り降りた。

「生理的に受け付けないってことかしら?」

他人事のようにそう呟いた。

研究所の中心部にたどり着いた。

廃棄された施設だがやはり内部もかなり綺麗だ。

この研究所で行われていた研究がつぶされた結果の施設放棄だから、何か事故があったというわけではないのかもしれない。

デスクの引き出しを開けた。

研究ノートなのだろうか。そう言ったものもまだ置いてある。

放棄のさせ方にしても杜撰だと思う。

ぱらぱらとそれをめくる。

ほかにも資料は残っていた。

はあるものを目にして足を止める。

写真だ。

「...え?」

カガリがあのウズミの実子ではないというのは父から聞いたことがある。しかし、これは...

写真の裏を見た。

カガリと、そしてキラの名前があった。

カガリはナチュラルだと聞いた。そして、キラはアスランから聞いたことだが、やはりコーディネーターだったらしい。

つまり、双子でそれぞれ作られたというのか...?

そしてまた別の写真。これはアルバムだ。

ムウ・ラ・フラガとよく似た人物。

「...アル・ダ・フラガ?」

あの資料には写真まではなかったが、今、アークエンジェルでパイロットをしている彼とそっくりな男性はたぶん間違いなくラウ・ル・クルーゼの細胞の元であるアル・ダ・フラガなのだろう。

更に奥に進んでいく。

「また会ったな。・クライン」

不意に声を掛けられては銃を構えてそちらに向けた。

が進もうと思っていたのとは別の部屋にいたらしいラウ・ル・クルーゼが口角を上げて立っていた。









桜風
10.9.27


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