| 「お、イザーク発見」 そう言ってやって来たのは旧知の仲のディアッカだ。 「ああ、やっぱりきてたか」 「ま、一応顔出しとけって親父が。イザークは?」 「似たようなもんだ。いや、俺の場合は、ちょっと違うか?」 最後の呟きは独り言のようだったので、ディアッカは「ふーん」と適当に返しておいた。 「そういえば、お前も別れたそうだな」 「『も』ってことは、他に居るんだよな?もしかして、イザークってば実は彼女がいたとか?」 面白そうだ、といった雰囲気でディアッカが声を弾ませるが「残念だったな、違う」と返されて「だよなー」と肩を竦める。 いたらきっと自分の耳には届くだろう。 ディアッカは、情報通と自負している節はある。勿論、実際に色んな噂話は耳に入る。交友関係が広いから自ずとそうなるのだ。 「刺されない程度にしておけよ」 イザークの忠告に「へいへい」と適当に返事をしたディアッカは会場の中を見渡した。 自分は今来たばかりで、イザークを見つけたのですぐにこちらにやってきたのだ。 しかし、挨拶には行かなければならないだろう... 「イザーク、挨拶は済んだ?」 「必要なところにはな。俺はそこまで顔を広げるつもりはない」 「情報は大事だぜ?」 そう言ってディアッカは目の前にやってきたボーイからドリンクを受け取ってどういう順番で回るかな、と考えていると視界の端に入った女性に目を向けた。 しかし、すぐにその手前で他の人たちが話し始めたので姿が見えなくなる。 「まさか...」 「何だ、お前を刺しに来た女でも居たのか?」 素っ気無いイザークの言葉に「いつか本当になりそうだから言うなって」と苦笑して応え、彼女がいたはずの場所に向かうことにした。 彼女がいたはずだと思った場所には、話していた相手はいたものの、彼女はいなかった。 まあ、今日ここに入れるのはプラント内で結構幅を利かせている有名人ばかりだもんな... 政治家や経済界のドンと呼ばれるもの、芸能人に、地球側の外交官。 今回は多岐に渡るゲストである。 ディアッカも知り合いに掴まり、それから当分の間世間話に付き合った。 とりあえず気になる挨拶はさっさと済ませてまたイザークを探す。 するとどうだろう。 イザークが女性と話をしている。彼女はこちらに背中を向けているので顔が見えないが、イザークの表情を見る限りでは知り合い、それも結構親しい人物のようだ。 「彼女居ないって言ったのになー...」 彼女ではない、ということは婚約者?! どんなとんちだ、と思いながらディアッカはイザークの婚約者の顔を拝むために足を向けた。 「終わったか」と目の前のイザークが声を掛ける。 誰か知り合いが居たのか、と思って振り返ったは「はあ?!」と頓狂な声を上げ、目の前の男も「ええ?!」と仰け反った。 「イザーク?」 が勢い良く振り返って状況説明を乞う。 「お前そっくりな俺の知り合い、ディアッカ・エルスマンだ。ディアッカ、こいつは」 イザークが紹介しようとしたところで「・」とディアッカが代わりに彼女の名前を口にする。 「何だ、知り合いか?類は友を呼ぶと言うが...」 『知り合い』というのも何だかしっくり来ないが、かといって『知らない人』と言ったら嘘だ。 とディアッカはお互いに難しい表情をしている。 しかし、同じように難しい表情をしているため、イザークには彼女達が『知り合い』というのは何となく察することが出来た。 |
桜風
11.10.3
ブラウザバックでお戻りください