| の実家に帰り、彼女の宣言どおりハッキングでセキュリティを解除する。 「どうぞ?」 「中にセキュリティがあるとか...」 「ないと思うけど。じゃあ、わたしが先に行くね」 そう言ってが家の中に足を踏み入れ、盛大な溜息を吐いた。 「ちょっと窓開けよう。空気が悪いわ」 「だね、賛成」 そう言ってラスティは頷き、手分けして家の中のあらゆる窓を開けた。 「いつ振りなの?」 「わたしは..もう3年丸々帰ってないな」 ポツリと呟いた。 「ヘリオポリスが長かったし」 ザフトに入る前まではヘリオポリスで生活していたと言う。 ふと、リビングのサイドボードの上に飾ってある写真が目に入った。 ラスティは思わず目を細める。 この写真に写っている自分はよりも背が低かった。 いつの間に抜いたんだっけ? とラスティは幼年学校からの付き合いだった。 『からの』というには少し語弊がある。 幼年学校で一番の友人となり、そこから少し会わない期間を経て再会したのがザフトの施設の中だった。 ザフト関係者ということなら、の方が先輩だ。 ラスティがアカデミーに入った頃には彼女は既にメカニックとしてプラントに貢献していた。 彼女との再会は、本当に偶然で、だから運命だとラスティは勝手に思っている。 彼女は別件で呼び出された教員の代わりに講師としてアカデミーのメカニッククラスにやってきたのだった。 元々その教員のお気に入りだったので声がかかったらしいが、廊下ですれ違ったとき、ラスティはすぐに彼女とわかった。 そして、思わず彼女を抱きしめていた。 周囲がそう然する中、「久しぶり、ラスティ」と彼女は平然と返してくれた。 覚えてくれていたことがまた嬉しくて、より強く抱きしめたら足を踏まれて慌てて腕を緩める。 「わたし、仕事できたから。後でね」 そう言っては何事もなかったかのようにその場を去っていった。 「あのさ、誰?」 「」 ディアッカの問いにラスティはニコニコと答えた。 「お前と、どういう関係?」 更に質問が続く。 「幼年学校が一緒だった幼馴染?」 疑問形で返されてディアッカは「ふーん」と適当な相槌を打った。 そして、夕方にパイロットクラスを覗いているの存在に気付いたラスティが彼女の元へと駆けた。 「久しぶり、」 「ホント。ラスティもザフトだなんて思ってみなかった」 が肩を竦めて言う。 近くのカフェに移動して彼女と久しぶりの再会を喜んだ。 「おばちゃんたちは?」 「元気だと思う。まあ、わたしがザフトに入るって言ったら全力で反対したんだけど」 「けど、オーブでしょ?敵じゃないじゃん」 「味方でもない、てのがオーブの建前のはずだけどね」 そういえばそうだった。 敵の敵は味方、という理屈はあるが、敵ではないから味方だという理屈は聞いたことがない。 ふと、が苦笑する。 「どうかした?あ、もう仕事に戻る?」 「ううん、今日は直帰して良いって言われているから。そうじゃなくて」 は自分の頭のてっぺんを軽く叩いた。 「ラスティに背、抜かされてる」 「あ、そうか。そうだね」 そういえば、昼間抱きしめたは小さかった。 「俺、約束どおりを守れるかっこいい男の子になったんだ」 「...男の子ってずるいよね」 は困ったように笑った。 彼女には秘密がある。 彼女は優秀だが、ナチュラルだそうだ。 本人から1度だけ聞いた。 長い間一緒にいて、聞けたのはその1度きりだったので時々その話は夢で見たとかそういう、事実ではないことなのかもしれないと思うこともあった。 けれど、例えばそれが事実であっても自分にとっては関係ないとも思っている。 彼女がナチュラルでもコーディネーターでも自分が守りたいと思った女の子であることには変わりない。 と出会った時は両親がまだ離婚する前で、幼年学校に通っているときに離婚が決まった。 どちらの元で育ちたいかと両親が自分の意思を尊重してくれた。迷わず母を選んだ。 父は所謂急進派で、ナチュラルを滅ぼすことを考えていた。だから、彼の元で生活したくなかった。 ナチュラルを滅ぼすことはを害することになる。 そんなの、自分は賛成できない。 お陰で、これまでの生活が変わってしまったがやはり後悔はしていない。 ザフトに入ったのだって、ナチュラルを滅ぼすために入ったのではなく、まあ、不純な動機だ。決してナチュラル全てに銃を向けようとは思っていない。 組織がその判断をしたらさっさと抜けてしまうつもりだった。 抜けたその先、どうするかまでは決めていなかったが... こうして束の間の再開を果たしたラスティとは、再びザフトという組織の中で再会したのだった。 |
桜風
12.1.23
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