| 連れて行かれたそこは軍の施設だった。 「あまりにも...」 ラスティが呟く。 「まあ、ほら。どうせ帰れないっていう感じ?」 疑問系でが返す。 そうかもしれないが、一般人をこんなところにほいほい連れてくるのは問題ではないだろうか。 部屋に通されて待っているとトダカが人を連れてきた。 「キサカ一佐だ」 そう紹介されてラスティとはそれぞれ自己紹介する。 「しかし」と困惑気味なのはキサカで、とラスティを見ている。 話は此処に来る途中にでも聞いたのだろう。 「彼らはコーディネーターだ。姫の安全確保のために協力をしてくれると言う話だ」 何の話かイマイチわかっていないのだが、どうやら姫の安全を確保すれば良いらしい。 「ところで、その姫さんってどこにいるんですか?」 「今は軟禁状態なんだ。しかし、そろそろ飛び出すだろうから、それに備えてといったところか」 「なにそれ」 ラスティが率直に零す。 も同じ気持ちだが、それは口にしなかった。 「少し世間知らずな姫なのでな」 「お姫様が世間知らずってのに違和感はないけど、何だって家出をするんですか?しかも、何だかお膳立てするみたいな雰囲気で...」 「危険な目に遭わせる訳にはいかない。ただ、あの人が大人しくするというのも想像つかないから、ガス抜きは必要だろうと思って」 「あー、それが姫さんが姫さんたるゆえんってヤツですね。何、そのちやほやっぷり」 「ラスティ、そろそろ本気で怒られると思うから...」 そう言ってが止めた。 「率直な意見は、貴重なものとして行政府に報告しておくが、今は被害を最小限に留めることが課題でね。そこで、君には先に現地に赴いてそこに馴染んでおいてもらいたいんだ」 「わたしも」とが言うとキサカが眉を上げる。 「いや、君は...」 「同性の同世代が居る方が安心だって言われましたけど...」 そう言ってトダカを見る。 「彼女もコーディネーターだ」 トダカが請負ったように頷く。 キサカが仕方ない、と諦めたような表情を浮かべ、「では、君にもお願いする」と言った。 たちがオーブを発ったのは、その翌日だった。 「慌しいねぇ...」 目的地に向かう飛行機の中でラスティが愉快そうに呟いた。 「ていうか、砂漠なんだ...」 がげんなりと零す。 「誰だっけ?」 「アンドリュー・バルトフェルド。砂漠の虎って呼ばれてるらしいよ。クルーゼ隊長とはあんまし仲が良くなかったんだって」 ザフト内の人間関係にそんなに興味がなかったはそこまで知らなかったが、出世街道から自ら進んで外れた少し変わった人だと言うのは聞いたことがある。 バルトフェルドが制圧している砂漠には、ザフトに反発する組織、レジスタンスがいた。 達は彼らに協力し、そして、やがてやってくるはずのオーブの姫、カガリ・ユラ・アスハに協力することになっている。 彼女の正体はどうやら、レジスタンスの上層部には知らせるつもりであるが、組織全てに周知することはないのだとか。 「まあ、オーブの姫がレジスタンスに与しているってばれたら拙いだろうし、そうなったときのオーブの立ち居地が難しいよね」 「ガス抜きって言っても、何で手助けするんだろうね、大人たちは」 「どこに行ったかわかんないと拙いから、行き先を押さえるために手を貸すんでしょ。姫さんは、手を貸されていることに何処まで気づいているかわかんないけど」 少し小馬鹿にしたような口調でラスティが零す。実際、好意的な感情はない。 「ねえ、ラスティ」とが呼ぶ。 「何?大丈夫、は俺が守るよ。オーブの姫さんって正直、どうでもいいし」 他で聞かれたら拙い一言をしれっと漏らしたラスティは微笑んでいる。 「...大丈夫。わたしも、コーディネーターだし」 困ったように笑いながらは自らを“コーディネーター”と言う。 「何だって良いよ、俺は。はだし」 やっと重力になれた頃に、今度は未知の砂漠と来た。 「人生、色々あるね」 ラスティがどこか楽しげに呟く。 「楽しい?」 「が居るから」 の問いにラスティは返す。 「ごめんね」 「『ありがとう』若しくは『大好きラスティ』が理想かな?」 おどけて言うラスティには寂しそうに笑って、「ありがとう」と言う。 |
桜風
12.2.6
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