| 組織に馴染んだ頃になって、本当にオーブの姫がやってきた。 「姫ってイメージないんだけど...」 「ここにドレスで来たら本気で救いようがないわよ」 が返す。 Tシャツにカーゴパンツ。 動きやすい格好だ。 「おしとやかさは、家においてきたのかな?」 「そもそも『おしとやかさ』を持ってたら、此処まで家出しないと思うけど?」 が返すと「それもそうか」とラスティが納得した。 ラスティもも此処ではナチュラルだ。 そんなに運動神経を求められることはないので、それで通っている。 「同胞に銃を向ける気持ちはどうだ?」 ただ、ここのリーダーは全ての事情を知っているようで、たまにそんな質問をしてくる。 試しているのだろう。まあ、信用ならないといわれても「だよねー」とラスティは頷くはずだ。 「気持ち、ね。例えば、傭兵に『同郷の人間に銃を向ける気持ちはどうだ?』って聞いたら、どう答えるかな?」 ラスティが返す。 「同郷の人間..か。しかし、今は戦争中だろう?コーディネーターとナチュラルは」 「戦争をしているのは、ザフトと地球軍。じゃあ、反対に聞くけど、オーブの中で戦争が起こってるの?」 ラスティが返すと「それもそうだな」と納得したのか微妙なリーダーはこの話をやめた。 「ラスティ?」 「ははっ、顔にオイルついてるよ」 先ほどバギーの調子が悪いと零していたメンバーが居たので、がメンテを請負ったのだ。 ラスティはの頬についたオイルを拭ってやる。 「バギーは直せるんだ?」 「直ったね、奇跡だわ」 がおどけて返す。 本当は、少し物足りなくもある。ずっとMSの整備をしていたのだから当たり前だ。 「何か、おっきいの落っこちてきたら良いのにね」 「それはそれで問題だと思う。あんまり、手を出したくないし」 が言う。 そんな会話をしていると周囲が慌しくなった。 「どうしたの?」 一人を捕まえてが問う。 「どうやら、面倒ごとに巻き込まれるかもしれない」 抽象的な言葉を残して彼は駆けていった。 「そもそも、此処に居る時点で面倒ごとに巻き込まれてるからさ。たぶん、俺は何だって驚かないよ」 「そうかもね」 もラスティの意見に賛成だった。 今更何が起こっても驚きはしない。そのはずだった。 しかし、カガリたちが戻ってきたとき、不覚にももラスティも驚いてしまった。 「まさか、まさか...」 が呟く。 「ごめん、。俺も超驚いてる。これってどうなんだろう...」 カガリと共に戻ってきたのは地球軍の最新鋭のMSと艦艇だった。 「何の因果だか...」 が呟く。 ザフトの入手した情報では、の両親が携わっていたのは、このMSの開発だったのだ。 それが原因でザフトで捕縛され、ラスティに助けてもらったことで脱走兵となり、そして巡り巡ってそれを目にすることになる。 艦から降りてきた地球軍の軍人を見上げ、そして、艦艇“アークエンジェル”に視線を向ける。 ふと、その窓から顔を覗かせていた人物と目があった。 「、ちょっと怖い顔をしてるよ」 「ごめん」 ラスティに指摘されてはその場を去る。 「ま、気持ちはわからなくはないけどね」 ラスティはそう呟いてアークエンジェルを見上げた。 あの中にあるMSは自分があの作戦で奪取する予定だった。 その作戦を放棄して、自分は此処に居る。 これまであのMSとの戦闘により亡くなった同胞、同僚たちは自分が殺したことと等しい。 「同胞に銃を向ける気持ち?あんま良いもんじゃないに決まってるじゃん」 それが友人なら尚更だ。 ただ、それは優先順位の問題だ。 気持ちの良い話でなくとも、自分が最優先にしているのはだ。同胞に銃を向ける理由は、ただそれだけなのだ。 「これまた色々と面倒ごとに巻き込まれていくんだな、きっと」 敵の敵は味方、という理屈できっとこの迷子の地球軍と手を組むのだろう。 「ばれないようにしなきゃ、だな...」 はともかく、自分はホンモノだから見つかったら色々と面倒くさそうだ。 |
桜風
12.2.13
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