Twinkle 7





組織に馴染んだ頃になって、本当にオーブの姫がやってきた。

「姫ってイメージないんだけど...」

「ここにドレスで来たら本気で救いようがないわよ」

が返す。

Tシャツにカーゴパンツ。

動きやすい格好だ。

「おしとやかさは、家においてきたのかな?」

「そもそも『おしとやかさ』を持ってたら、此処まで家出しないと思うけど?」

が返すと「それもそうか」とラスティが納得した。


ラスティもも此処ではナチュラルだ。

そんなに運動神経を求められることはないので、それで通っている。

「同胞に銃を向ける気持ちはどうだ?」

ただ、ここのリーダーは全ての事情を知っているようで、たまにそんな質問をしてくる。

試しているのだろう。まあ、信用ならないといわれても「だよねー」とラスティは頷くはずだ。

「気持ち、ね。例えば、傭兵に『同郷の人間に銃を向ける気持ちはどうだ?』って聞いたら、どう答えるかな?」

ラスティが返す。

「同郷の人間..か。しかし、今は戦争中だろう?コーディネーターとナチュラルは」

「戦争をしているのは、ザフトと地球軍。じゃあ、反対に聞くけど、オーブの中で戦争が起こってるの?」

ラスティが返すと「それもそうだな」と納得したのか微妙なリーダーはこの話をやめた。

「ラスティ?」

「ははっ、顔にオイルついてるよ」

先ほどバギーの調子が悪いと零していたメンバーが居たので、がメンテを請負ったのだ。

ラスティはの頬についたオイルを拭ってやる。

「バギーは直せるんだ?」

「直ったね、奇跡だわ」

がおどけて返す。

本当は、少し物足りなくもある。ずっとMSの整備をしていたのだから当たり前だ。

「何か、おっきいの落っこちてきたら良いのにね」

「それはそれで問題だと思う。あんまり、手を出したくないし」

が言う。

そんな会話をしていると周囲が慌しくなった。

「どうしたの?」

一人を捕まえてが問う。

「どうやら、面倒ごとに巻き込まれるかもしれない」

抽象的な言葉を残して彼は駆けていった。

「そもそも、此処に居る時点で面倒ごとに巻き込まれてるからさ。たぶん、俺は何だって驚かないよ」

「そうかもね」

もラスティの意見に賛成だった。

今更何が起こっても驚きはしない。そのはずだった。


しかし、カガリたちが戻ってきたとき、不覚にももラスティも驚いてしまった。

「まさか、まさか...」

が呟く。

「ごめん、。俺も超驚いてる。これってどうなんだろう...」

カガリと共に戻ってきたのは地球軍の最新鋭のMSと艦艇だった。

「何の因果だか...」

が呟く。

ザフトの入手した情報では、の両親が携わっていたのは、このMSの開発だったのだ。

それが原因でザフトで捕縛され、ラスティに助けてもらったことで脱走兵となり、そして巡り巡ってそれを目にすることになる。

艦から降りてきた地球軍の軍人を見上げ、そして、艦艇“アークエンジェル”に視線を向ける。

ふと、その窓から顔を覗かせていた人物と目があった。

、ちょっと怖い顔をしてるよ」

「ごめん」

ラスティに指摘されてはその場を去る。

「ま、気持ちはわからなくはないけどね」

ラスティはそう呟いてアークエンジェルを見上げた。

あの中にあるMSは自分があの作戦で奪取する予定だった。

その作戦を放棄して、自分は此処に居る。

これまであのMSとの戦闘により亡くなった同胞、同僚たちは自分が殺したことと等しい。

「同胞に銃を向ける気持ち?あんま良いもんじゃないに決まってるじゃん」

それが友人なら尚更だ。

ただ、それは優先順位の問題だ。

気持ちの良い話でなくとも、自分が最優先にしているのはだ。同胞に銃を向ける理由は、ただそれだけなのだ。

「これまた色々と面倒ごとに巻き込まれていくんだな、きっと」

敵の敵は味方、という理屈できっとこの迷子の地球軍と手を組むのだろう。

「ばれないようにしなきゃ、だな...」

はともかく、自分はホンモノだから見つかったら色々と面倒くさそうだ。









桜風
12.2.13


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