| 砂漠を後にしたアークエンジェルに、なぜかとラスティも同行している。 「バルトフェルド隊長、やっぱり...」 レジスタンスは、砂漠の虎との決着を図るため、大きな作戦に出た。 そのため、レジスタンス側の犠牲も大きかったが、キラの活躍により砂漠の虎と呼ばれるバルトフェルドのMSの破壊も成功した。 キラの話ではパイロットが脱出した様子もなく、つまりはMSと共にパイロットも散ったと言うことだろう。 此処までザフトとの接触がなかったのでもそこまで思わなかったのかもしれないが、この船に居る限りザフトと敵対することになる。 勿論ザフトはを捕縛して、その先はおそらくスパイとして送り込むとか監禁だとかの生活を用意していたかもしれない。 それでも、ザフトという組織の中ににとっての友人は居るし、その友人達が相手だと言うことが先日のレセップスとの戦いでわかった。 アークエンジェルはインド洋を抜けてアラスカを目指すと聞いた。 アラスカ、即ち地球軍本部がある。 「姫さんが居るんだから、途中下車させてもらえるって。そのとき、キサカさんがちゃんと俺たちを回収してくれるよ」 してくれなかったらどうしようかなぁ...とのんびり考えながらもラスティはを安心させるように言う。 少しの間休憩がもらえた。 自分たちはカガリと同様に客人扱いだが、がそれを居心地悪く感じて艦長に手伝いを申し出た。 まさか受け入れるはずがないと高をくくっていたラスティは受け入れられたことに多少の戸惑いを覚えつつ、と同じように手伝いをしている。 「疑うって事知らないんだろうねぇ...」 「誰がだ?」 ポツリと呟いた言葉に反応したのはこの艦のMAパイロットだ。 「艦長さん」 ラスティが言う。 「あー、まあ。それが彼女の魅力でもあるんじゃないかな?それとも何か。坊主は疑われなきゃならない何かがあるのか?」 聞かれてラスティは苦笑する。 「俺はともかく、この先また拾い物をしたときに変なの拾われて、巻き込まれるのはごめんって所かな?」 実際そう思っている。 ラスティにとっては、の害にならなきゃどんな人間にでも世話になっても良いと考えているのだ。 逆に、彼女の害になる者が傍に居るのは全く歓迎できない状況となる。 「なるほどね。ま、そこがウチの艦長と副艦長との考えの違いで難しいところなんだよなー」 「なんだ、副艦長さんがまともなら大丈夫じゃん」 「だから、坊主達をこの艦に乗せるのを大反対していた」 「わーお。艦長さんに大感謝だー」 最終決定権は艦長にあるのだろうから、彼女が副艦長を説得するなり、黙らせることをしたのだろう。 「そういうこと。きりきり働け」 「やだなー、今は休憩中。おじさん、知らない?」 「嬢ちゃんか。たしか、ドックに居たと思うな」 「ありがとー」 またドックか... 嫌いなくせに、あのMSが気になるらしい。 がMSの整備をすることになったら自分もまた戦うことを選ぼうと思っている。 だけ大変な目に遭わせるのはごめんだし、彼女を守るのは自分だと考えているから。 だったら今すぐMSに乗ればいいのに、といわれそうだが、例えば自分が此処から居なくなったとして誰が彼女を守るのかとかそういうことを考えてしまって結局静観している。 何処にも、積極的に加担したいとも思っていないと言うのも理由のひとつだ。 「ー」 ドックを覗く。 「なに、これ...」 ドックにはシュミレートシステムのようなものが置いてある。 「ああ、スカイグラスパーのシュミレートシステムだよ」 自分と年恰好が似ている少年が言った。確か..トールと名乗ったはずだ。 「スカイグラスパーって、あれ?」 振り返ってMAを指差した。 「そう。メビウスは宇宙用だから地球だと使えないんだって。2機配備されたから、大尉を助けられるかなって」 そういった彼は心底そう思っているようだった。 「そんな腕で中々大きなことを言ってるな」 からかうように声を掛けてきたのはカガリだった。 「今のところ、私が一番いい成績だろう?」 シュミレートがうまく行っても実践でそうは行かないことなんてざらにある。 それなのに、彼女は自分のシュミレート結果が誇らしいようだ。やはり彼女は『姫』なのだ。 「そうなんだ?凄いね、カガリ」 「そうだ、ラスティもどうだ?」 「えー?俺無理だよ」 MSしか乗ったことないし、興味もないし...と心の中で付け足す。 というか、此処で好成績を出してもみれば、絶対に戦闘員扱いだ。この艦は戦闘員が驚くほど少ない。良く此処まで帰って来れたものだと話を聞いて心底感心した。 「ラスティ?」 メカニックと話をしていたらしいがラスティの姿を見つけて声を掛けてきた。 「、休憩大丈夫?俺、海が見たいからデッキに行こうよ」 そう言っての腕を引いてドックを後にする。 「あ!おい、こらぁーーー!!」 勝負がしたかったらしいカガリがなにやら声を上げているが、ラスティは興味がないため逃げるようにその場を去っていく。 「良かったの?」 が問うと 「俺があのシュミレートで好成績をたたき出したら、絶対に専属パイロットでヘタすりゃ途中下車を認めてもらえないよ。絶対に最高得点をたたき出すに決まってるよ」 「そっか...」 沈んだようにがつぶやく。 彼女の想いもわからなくはない。この艦に居る人間は皆、良くも悪くも『良い人』だ。 だから、助けになってあげたいという気持ちが湧くもの彼女らしいと思う。 だが、そうすればもう後戻りが出来ないし、何より、今この艦を追いかけているのはどうやらクルーゼ隊らしいから、間違いなく友人に銃口を向けることになる。 さすがのラスティも『友人』に銃を向けるのは気持ちの良い話ではない。 「ま、元々戻る道はないんだけどね」 ポツリと呟き、を見ると、ラスティの心の中を読んだかのように彼女は悲しげに微笑んだ。 |
桜風
12.3.12
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