| 紅海を抜けるところで、ザフトに襲われた。 元々、ザフトの勢力圏を何とかすり抜けようとしていたので、攻撃があるのは予想できたものだ。 ただし、海中からの攻撃は想定外だっただろう。 「、大丈夫?」 揺れる艦内を駆けての元へと辿り着いたラスティは彼女を抱きしめて衝撃から彼女を守ろうとしていた。 「うん。聞いたことがあるんだけど、これ、グーンだ」 「接近戦用?」 「MS相手を想定してなかったと思う」 「つまり、艦だけってことか。ストライクは?」 「海に入れるだろうけど、逆にストライクが水中戦用の物じゃないから難しいかも」 メカニックと話をしてその情報だけではストライクの特長を掴んでいるようだ。 艦への攻撃は暫く続き、正直、手を拱いている状態だった。 「ラスティ」とが言う。 「この艦のMSはストライクのみ。スカイグラスパーって海中無理でしょ?」 の言葉がどう続くかわかっているラスティは先に見解を口にした。 実際、この艦が落ちればを守るとかそんなことも言ってられなくなる。 「バレルロール?!ここ、宇宙じゃないんだけど??天然の重力があるんだけど!!」 艦内に流れたアナウンスにラスティが声をあげた。 「けど、それしかないのかも。水の中への有効な攻撃って...」 「この艦の操舵士、そんな凄いヤツなの?!落ちない??」 ラスティが衝撃に備えての頭を抱きかかえるように抱きしめて、ベッドの支柱を掴んだ。 ふわっという優しい表現ではなく、乱暴に振り回されたように体が浮いて、「いてっ!」頭を打ち、「あいた!」お尻を打った。 「ラスティ、大丈夫?」 一回転が終わってが心配そうにラスティを見上げる。 自分は彼が抱えてくれていたからどこもぶつけていないしどこも痛くない。 「はどう?」 「わたしはラスティのお陰でどこも痛くない。ごめんね」 「やだなー、痛いけど、痛くないって」 そう言ってラスティは優しくの頭を撫でた。 「ちょっと外の様子見てくるから」 そういってラスティはの部屋を出て行く。 残されたは思いつめたように俯いていた。 どうやら今回の難は脱したらしいことを確認したラスティは深い溜息を吐いた。 「蝙蝠の気持ちが段々わかってきたかも...」 その夜中、ラスティはドックのシュミレーションシステムのシートに座った。 カガリが叩き出したと自慢していた成績を確認して「やっぱりね」と呟く。 どうせこのくらいだと思っていた、と。 成績は消去できることを確認して、シュミレーションを開始した。 結果を見て「あーあー...」と呟く。 思ったほど高くない。 「MAだから、って言い訳はかっこ悪いよね」 自分の成績を消してその場を去る。 その後、何度かザフトとの戦闘があった。 一度、カガリがスカイグラスパーで飛び出して被弾し、一晩帰ってこない事件などもあり、正直客人たちは肩身が狭くなった。 「カガリのせいだ」 ラスティが言うと「うるさい!」とカガリがばつ悪そうに返す。 やがて、オーブ近海でクルーゼ隊と戦闘が始まった。 クルーゼ隊とわかったのは地球軍から奪取したMSが居たからだ。 その戦闘は激化し、次第にアークエンジェルが押されてきた。 その様子はラスティもわかった。 「このまま押してくれたらいいのに...」 ラスティがポツリと呟く。 「何でよ!」 不意に声がして振り返るとこの船のもう一人の姫様、フレイだった。 彼女の出自が『姫』と言うわけではなく、性格が『姫』なのだ。キラも良く付き合うよ、と何度か見かけた彼女のかんしゃくを見て思っていた。 「オーブが何らかの意思を示してくれるはずだから」 「どういうこと?」 ドンと腹に響く音がした。 「ああ、来た来た」 それは領海を守っているオーブ軍からの砲撃だった。 「これ?!攻撃されてるじゃない!!」 「けど、オーブはこの艦を落とせない」 自信に満ちた表情でラスティが言う。 「何で!」 「しゃべんない方がいいよ。舌を噛む」 そう言ってラスティはフレイを置いてが居るはずのドックに向かった。 たぶん、今回はスカイグラスパーを出す必要はない。 下手に出て行ったら置いてけぼりだ。 「」 戦闘の衝撃に備えているの元へ向かってラスティは手を伸ばした。 ぎゅうと彼女を抱きしめる。 「帰れるね」 ポツリと呟く。 「ほんと?」 「今、オーブの...」 ラスティが説明しようとしたら、オープンチャンネルでカガリが自分の正体を口にした。 「ねえ、。オーブの未来って大丈夫?スカンジナビアとか紹介してもらえないかな?」 あそこも確かコーディネーターとナチュラルの共生を推進している国だったはずだ。 「あ、えーと...」 姫様らしからない、と思ったが本当に... も言葉が出ない。 カガリはよりにもよって、自分がカガリ・ユラ・アスハでウズミ・ナラ・アスハの娘だと自己紹介したのだ。 オーブも色々と外交が厳しくなるのは目に見えた。 しかし、これで確実にオーブはこの艦を落とさない。一度国に入れても早々にアークエンジェルを追い出すだろう。 そうなれば、きっともう自分たちは静かに過ごせるだろう。 「もう子守はこりごりだよ」 心底疲れたようにラスティが呟き、「まあ、いい経験にはなったんじゃない?」とが苦し紛れのフォローを入れた。 |
桜風
12.3.19
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