| 「ザフト、諦めたかなー」 昼食を摂りながら食堂に設置されているテレビを見てラスティは呟く。 チャンネルはニュース番組のようで、オーブからアークエンジェルに関する公式発表が何度か繰り返し流れていた。 「それは、まずないんじゃないの?」 同じく昼食を摂るために休憩をしていたが隣に座る。 「ないかな?」 「んー、何となくね」 「は、忙しい?」 「うーん、まあまあ。艦の担当しているからね」 毎日オーブの領海を守るために潜水艦や母艦等が定時に出撃している。 それらが帰って来たときの点検を行っているのがが配置された部署の仕事だと聞いた。 「ちょっと休憩」 そう言ってラスティが伸びをする。 「そうだね、ちょっと休もうか」 キラが頷く。 此処毎日ずっとモニタを見ている。肩が凝るし、目が痛くなるし。が傍に居ないし... ドックの外に出るとが車に乗るところだった。 「ー!」 ブンブンと手を振ると、彼女は振り返って手を振り返す。 「何処行くの?」 「アークエンジェルのドック。そろそろ出港なんだって」 「まあ、ぼやぼやしてたらアラスカへの道すがらザフトに包囲網敷かれるだろうしね」 「うん。だから人数集めて補修点検だって」 そう言って車に乗るに「俺も一緒に行って良い?」とラスティが問う。 「いいよ」 頷いたの隣に座った。 目が疲れているから車の運転はちょっと控えようと思ってに言うと彼女は笑って「元々わたしが運転するつもりだったし」と言った。 「作業はどう?」 「結構難航してる。どのレベルのナチュラルでも、っていう条件だからさ。運動神経なんて人それぞれなんだから、パイロット選別のときに篩にかけてくれればいいのに」 ラスティが零すと 「元々限られた人数の中でのパイロットだからなるべく広く募集したいんじゃないの?」 肩を竦めてが言った。 「あ...」 ラスティが呟く。 「何?」 ラスティの視線の先は海だった。 元々海に囲まれているこの工場は何処を見ても海だが、街に近いほうの海だ。 柵の向こうで少年作業員がどうやら休憩を取っているようだった。 モルゲンレーテの作業員の中には達と同年代の人たちもいる。 ただ、モルゲンレーテはオーブ軍の兵器の開発等も行っているので、最深部に来られるのは極限られた人数で、多くの職員は達が仕事をしているエリアまでは入ってこられない。 「ううん、みんなサボって羨ましいなって思って」 「ラスティの今は何?」 が呆れて返すとラスティは「俺は、休憩中」と笑って言う。 振り返ると彼らもその場を去るところだった。 「諦めてなかったんだねぇ...」 ポツリと呟くラスティの言葉はの耳には届かなかった。 「キラってさ」 夜中に作業を再開させたラスティが一緒に作業をしているキラに声をかける。 「何?」 「アスランと知り合いなの?」 ズバッと聞かれてキラの手が止まった。 「何..で...」 「夕方、あいつら居たじゃん。話、してたんじゃないの?」 あまりにも遠かったので口は読めなかったが、それなりに言葉を交わしていたようだった。 ただ、少しぎこちなく見えたのは、それは仕方ないだろう。 お互い、何度も銃口を向け合っている仲なのだから。 「ラスティは、アスランのこと知ってるの?」 「同期だからね」 以前、バルトフェルドがばらしてくれたお陰で、キラはラスティがザフトに所属していたことを知っている。 「そう...」 「元々所属していたのもあのクルーゼ隊だったし」 しれっとラスティが言うと「え?!」と声を上げた。 「ザフトがに酷いことをしたから出てきたんだけどさ。それがなかったら、キラの乗ってるストライクは俺が貰う予定だったんだよ。ま、何の因果か、ストライクが目の前に現れたときには何とも反応に困ったけどね」 肩を竦めてラスティが言う。 「出港したらすぐに戦闘だと思うから、それだけは覚悟して置いたほうが良い」 「うん、そう...、だね」 未だ友人と戦うことに抵抗があるキラは沈んだ声で返事をした。 |
桜風
12.4.2
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