| アークエンジェルが出港して、すぐにオーブ近海で戦闘が展開されたという報道がなされた。 そして、諸島群で比較的大きな規模の戦闘があり、オーブはそちらに調査隊を向けた。 生存者があり、それはザフト兵だったため、そのままザフトに迎えを来させて身柄を引き渡した。 オーブには此処最近頻繁に地球軍とザフトからの声がかかってきているようだ。 どちらも、自分たちの陣営に入るように、というものだ。 「オーブってモテモテだよね」 ラスティがのんびりと呟く。 ナチュラルでもMSの操縦が出来るように、というOSはキラが粗方作り上げ、残りの仕上げはラスティが一人で行うこととなった。 時間がなかったのだ。 「オーブはどっちに付くかな?」 「どっちかに付くとかしてたら、とっくに食いつぶされてるよ、この国は」 確かに、魅力的なものが沢山ある。 一番は、間違いなくこの軍事技術だ。 よくよく考えれば、アークエンジェルもストライクも。ザフトが奪取した残りの4機のMSも全てオーブの軍事技術が作り上げたものだ。 だからこそ、それを求めて両陣営から声がかかり、そして、どちらにも与しない事を選び続けているオーブはとても危うい立場にある。 「ねえ、」「ねえ、ラスティ」 同時にお互いに声をかけた。 「何?レディファーストで、から」 そう言ってラスティが促す。 「オーブが戦争することになったら、わたし、MSの整備する」 ずっと悩んでいた。 ザフトで得た知識が友人達を滅ぼすのは嫌だと思っていた。 けれど、この国でも友人が出来て大切な人たちが少しずつ増えている。 「そっか」 ラスティは頷いた。たぶん、そう言うだろうなって思っていた。 「で、ラスティは?」 「と同じ。ま、俺の場合は全くぶれることないんだけどね」 どういうことだろうとが首を傾げる。 「を守りたいから。だから、この国が攻められたら、俺は元、ザフトのトップガンとしてザフトレッドとして、俺の持てる力をを守るために使うから」 時々、夜中にこっそりとシュミレーションシステムでMSの操縦の感覚を思い出すように訓練している。 重力下での戦闘は、それこそ初めてだが何とかできるはず。いや、何とかするのだ。 「ラスティは、何でそんなにわたしを守ってくれるの?」 が俯いて問う。 「え、嘘。今更?!」 ラスティが少し悲痛な声を上げる。 「俺は、が好きだから。と一緒にいたいからだよ」 「でも、わたし...ナチュラル」 「、俺はコーディネーターだけどナチュラルが嫌いってわけじゃないよ。それに、がナチュラルでもコーディネーターでも正直どっちでもいいんだよ。 俺が好きなのは、・だから」 ラスティは何度も「好き」と伝えてくれる。 しかし、それでも不安になる。 ラスティの大切なものを奪ったのではないか、とか。何故、コーディネーターだとしたら普通レベルの自分なのか、とか。 はナチュラルだから、『天才』といわれる部類に入るかもしれない。 しかし、コーディネーターでいうと『普通』か『ちょっと優秀』程度の実力だ。 「俺は、が凄いから好きってワケじゃないよ。あ、勿論、凄いと思ってる。けど、それが理由じゃなくて...がドジッコでも好きだし」 「どうして?」とが問うとラスティは困ったように笑った。 「わかんない。けど、好きなんだよ。ずっとずっと昔から」 初めて、に会ったとき、何となく星のようだと思った。 プラントから見える星空は作り物で、本物を見たことがない。それでも、静かにキラキラしていて、憧れた。 おそらく彼女への思いの根底はそこなのだろう。 一目惚れ、と言うことになるかもしれないが、それとはちょっと違うと思っている。 何を思っての両親が彼女をコーディネーターとして扱ってきたのかわからない。 だが、そんな理由は同でも良く、寧ろその点には感謝している。 ラスティが通っていた幼年学校は勿論コーディネーターのみが通うところだったので、がその通りナチュラルで生活していたら彼女に出会うことができなかったはずだ。 それから数日後、地球軍の取った作戦に世界中が震撼した。 地球軍は本部をサイクロプスで爆破した。敵のザフト軍は勿論、味方の損害も非常に大きい。 そして、そんな中、懐かしい顔ぶれがオーブに戻ってきた。 歓迎するにはちょっと複雑な彼らだが、きっとオーブもそろそろ決めなくてはならないのだろう。 ドックで修復されたMSを見上げてラスティはついと目を眇めた。 |
桜風
12.4.9
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