Twinkle 16





アークエンジェルのクルーはドックに案内され、驚きの声を上げた。

そこに在ったのはストライクだ。

イージスとの戦闘で破損されたそれをオーブが回収し、修復したのだ。

「例のOSが搭載されてるのか?」

アークエンジェルのMAパイロット、ムウ・ラ・フラガが問う。

「ええ」とエリカ・シモンズが頷いた。

「じゃあ、これに俺が乗る」

「残念、これには俺が乗るよ」

ドックに響いた声に皆が驚く。

「おじさん、『年寄りの冷や水』って知ってる?」

カツン、カツンと靴の音が響く。

「ラスティ君?!」

「主任、これには俺が乗ります。元々、俺がパクる予定のものでしたし」

ラスティの言葉の意味がわからないと困惑の声が漏れる中、彼は笑った。

「元・ザフト軍クルーゼ隊パイロット、ラスティ・マッケンジー。ザフトにムカついたので任務放棄してオーブに降りてきてました」

ザフトの敬礼をして言うラスティの告白に周囲は反応に困った。

ただ一人「いいの?」と聞いたのはその事情を知っているキラだけだった。

「うん、この国が危ないなら、も危ない」

ラスティの言葉にエリカは驚いて振り返る。

「主任、以前わたしにMSの整備の経験を問われましたね。あのとき、曖昧にしていましたが、今答えます。MSの整備の経験はあります。最前線で」

が言う。

も俺と同じくザフトのクルーゼ隊に所属してたからねー。俺のMSと目覚まし時計はに整備してもらってたし」

ラスティが言う。

「まさか、スパイ?!」

「そんなんだったら、アークエンジェルがこの国に潜んでいたとき、潜入捜査に入ってたクルーゼ隊の面々と逃げてたって」

ラスティが軽く言う。

それはにとっても初耳のことで、「居たの?!」と声を上げていた。

「うん。アークエンジェルは居ませんっていう公式発表を大人しく聞けなかったみたいだね。どうせ、イザークとかディアッカが騒いだんだよ」

苦笑してラスティが言う。

「というわけで、ストライクもらうね。OS、前のに戻したいんだけど...」

「バスター、持ってますよね?さっき、メカニックの人たちが噂をしていました。見せてもらいますよ」

「一緒に行こうか?」

「いい。OSコピーして帰るだけだし」

がそう言ってバスターが収納されている工場へ向かう。

「ラスティ君...」

「俺は、を守るためなら、地球軍だろうとザフトだろうといくらでも引き金引くから安心して。ただ、に危害を加えようとしたら、すぐにあんたたちに銃口向けるから」

軽くそう言ってストライクのコックピットに向かう。

「ねえ、キラ。ちょっと確認させてー」

コックピットに納まったラスティが、元ストライクのパイロットに声をかける。


バスターのコックピットに納まってOSをコピーしていると戦闘が始まった。

「あ、拙い...」

軍事施設は狙われやすい。

この施設の守りはあまり良くない。今、戦闘配備されている陣形は頭に入っているが、ここは元々首都部から離れているし、施設としてもそこまで重要視されていない。

置く場所がないから、若しくはアークエンジェルから近いから、ここのバスターが収納されただけなのだ。

足音が近付いてきた。

地球軍にしろ、ザフトにしろ歩兵があるとは思えないが、全くないともいえない。

はコックピット内に武器になるものがないかと探したが、見つからない。

せめてコックピットをロックして..と操作しようとしたらその前に開けられた。

「はあ?!」

コックピットを覗き込んで声を上げたのはディアッカだった。

「ちょ、何でお前..が此処にいるんだよ?!」

「ディアッカもどうしたの?!」

「や、何ていうか...」

そんな会話をしていると地面が揺れた。

、代わって」

「どうするの?!」

「俺ってつくづくお人よしだよな」

肩を竦めて言うディアッカには頷いた。

急いでコックピットを出る。

「ラスティは?」

「一緒にいる。って、この施設には居ないけど」

「やっぱ、一緒かよ。、ここで大人しくしてろよ。外に出たほうがたぶん危ない」

そう言ってコックピットに納まったディアッカはバスターを起動させてドックを後にした。


戦闘が終了し、連絡があってモルゲンレーテの工場へと戻った。

そこにはなぜかアスランも居て、ラスティが談笑している。

、お帰り。ディアッカに会ったんだって?」

の姿をいち早く見つけたラスティが声をかける。

「うん。ラスティ、時間ないから、作業させてもらうよ」

軽く流してはストライクのコックピットに向かう。

「ずっと一緒にいたのか?」

アスランが問う。

「うん、当然」

言葉の通り当然のように頷く。

そんなあっけらかんとしたラスティの態度に呆れたアスランは

「お前のせいで大変な目にあったクルーもいるんだぞ」

と言う。

「そりゃそうだろうね」

とラスティは頷く。

「ラスティ、ちょっといい?」

ストライクのコックピットからが呼び、「なにー?」と返しながらラスティがそちらに向かう。

「相変わらずだな、あいつも」

ディアッカが苦笑と共に複雑な表情を浮かべて零す。

ラスティと出会ったのは結構昔だ。彼の父親の職業が自分の父親の職業と同じだったからアカデミーに入る前からお互いの存在は認識している。

アカデミーに入ってから初めての存在を知り、そのときにラスティの一番がだと知った。

だから、の親が地球軍に加担していることが発覚し、それを元に彼女が拘束されたと聞いたときは正直、ラスティのそれからの行動は予想できた。

ただ、その予想は『想像』であり、現実味がないことだったので彼が自分の予想通りの行動に出たと聞いたときは心底呆れた。その行動力と意志の強さに。

「まあ、死んではないとは思ってたけど...変わらなさ過ぎるもの正直怖いよな」

再会は正直嬉しくもあるが、あの変わらない様子に軽い恐怖すら感じる。

ザフトに在籍していたときと変わらず、あまり刺激しないようにしようと心に誓ったディアッカだった。









桜風
12.4.16


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