Twinkle 17





地球軍の総攻撃にオーブは最後まで屈することなく、ひとつの道を選んだ。

地球軍、ザフト軍のどちらにも与しない、第三勢力としての道だ。

宇宙に上がり、パーツをドッキングさせてオーブ軍艦艇クサナギを造り上げた。

ロクにメンテできていない状態でMSも一緒に宇宙に上がって来ているので、は大忙しだ。

が構ってくれない。つまんなーい」

そんな状態なワケで、ラスティが絡んでくるので面倒くさい。

「クサナギにいなくていいのかよ」

「だって、クサナギにいたらに構ってって言っちゃうもん。そしたら『ラスティ、邪魔』って言われるもん」

「言わないかもしれないだろう」

「言われたもん」

何だ、もう言われたのか...


現在、L4コロニー群の中のメンデルで体勢を整えている。

地球から上がっていたMSはまた対宇宙用のものではないし、パイロット達もまだ無重力下での戦闘経験がないため、まずは無重力の状態になれることが必要だ。

その点、このコロニーは破棄されているものの、拠点にするには丁度いい程度には生きているため、拠点にはもってこいである。

「けど、アスランも変わってるねー」

アークエンジェルの食堂で食事を摂りながらラスティが呟く。

「お前んがよっぽど変わってるよ」

呆れながらそう返したのはディアッカだ。

アスランは、プラントに帰った。

現在プラントの指導者は彼の父親のパトリック・ザラで、その強硬姿勢について疑問があり、話がしたいと考えたらしい。

「おじさん、理解してくれるわけないよ」

「わかんないだろう。息子の言葉だぞ?」

「仮に、俺に息子がいたとして。を誰かに殺されたら、そいつを殺すまで俺は止まらないだろうし、それが組織なら殲滅が当たり前。それを邪魔するなら、息子も邪魔な奴リストに入るに決まってるよ」

さらりと言う。

その『当たり前』を口にしている様子のラスティにディアッカはぶるりと震えた。

アスランの母親は、血のバレンタインで地球軍に殺された。

ただの農業プラントに地球軍が核を放った。

そこに居たアスランの母親は亡くなり、今思えばその事件が全てのターニングポイントとなった。

アスランの父親が、強硬姿勢をとったのも。

自分たちがザフトに入ろうと考えたのも...

「ん?」

ディアッカが首を傾げる。

「なに?」

「お前ってさ、何でザフトに入ったの?」

「えー、言いたくない」

「だって、がプラントに居るのを知ったのはアカデミーに入ってからだよな?」

「言ったら幻滅されるしー」

ラスティがクネクネしながら言う。

「キモイ」

「どうしても聞きたい?」

「や、もうなんかどうでも良いや」

そう言いながらディアッカは頭をかいてそして食堂を後にした。


ディアッカが諦めてくれたことで、ラスティは安心したように息を吐いた。言えるはずがない、『流行だったから』など。

正直、プラントも地球もどうでも良くて、ただ、が居るオーブは無事だと良いなくらいには思っていた。

だから、友人達のように高い志を持ってアカデミーに入ったわけではない。教官に何度も「本気を出せ」と言われたが、モチベーションが元々低かったのだから本気を出すも何も、あのときはアレが精一杯だった。

がプラントに居ると聞いて、頑張ろうという気にはなった。

だから、ザフトレッド。

そうでなければグリーンで全然気にならない。まあ、その場合。父親の意向で赤にされたかもしれない。彼は国防委員会に所属していて、急進派の一人だったから。

だが、ラスティにとっては別にどっちだって良い。

「俺、ちょっとオカシイのかな?」

たまに、ディアッカとイザークが忠告してくれていたが、聞く気がなかった。

今も特にないが、どうやら、自分のに対する執着は常軌を逸しているところにあるらしい。

「依存と言うんだ、それは」

イザークに言われたとき「なんだよー!」と思ったが、当たらずとも遠からずかなとも思う。

「ああ、いたいた」

クサナギに居るはずのがアークエンジェルの食堂に顔を出してきた。

「あれ?いいの?」

「休憩。ある程度目処が立ったしね。ストライクの方、面倒見ておきたいし。ラスティは、ご飯終わったの?」

本来ならクサナギで食事を摂るべきなのに、ラスティはこちらで食事を済ませてしまった。

「うん、さっきディアッカと食べちゃった」

「そう」とが相槌を打つ。

「けど、はこれからだろう?付き合うよ」

「少しは荷物の運搬とか手伝ったら?」

苦笑してが言う。

「良いじゃん。アレはまだ宇宙空間に慣れてない人たちがしたほうが良いって。じゃあ、クサナギに帰ろう」

「その前にドックに寄らせて。アスランに許可取ってるんだけど、ジャスティスのOS見てみたいの」

の言葉にラスティが眉をひそめる。

「あれは、核で動いてるんだから参考になんないと思うよ?」

「うん。けど、あれが造れたなら、また似たようなのを造ってくるでしょう?何か対策あるかなって思って」

の言葉に「そっか」と呟き、ラスティは彼女に付き合ってアークエンジェルのドックに向かった。









桜風
12.4.23


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