| 地球軍の総攻撃にオーブは最後まで屈することなく、ひとつの道を選んだ。 地球軍、ザフト軍のどちらにも与しない、第三勢力としての道だ。 宇宙に上がり、パーツをドッキングさせてオーブ軍艦艇クサナギを造り上げた。 ロクにメンテできていない状態でMSも一緒に宇宙に上がって来ているので、は大忙しだ。 「が構ってくれない。つまんなーい」 そんな状態なワケで、ラスティが絡んでくるので面倒くさい。 「クサナギにいなくていいのかよ」 「だって、クサナギにいたらに構ってって言っちゃうもん。そしたら『ラスティ、邪魔』って言われるもん」 「言わないかもしれないだろう」 「言われたもん」 何だ、もう言われたのか... 現在、L4コロニー群の中のメンデルで体勢を整えている。 地球から上がっていたMSはまた対宇宙用のものではないし、パイロット達もまだ無重力下での戦闘経験がないため、まずは無重力の状態になれることが必要だ。 その点、このコロニーは破棄されているものの、拠点にするには丁度いい程度には生きているため、拠点にはもってこいである。 「けど、アスランも変わってるねー」 アークエンジェルの食堂で食事を摂りながらラスティが呟く。 「お前んがよっぽど変わってるよ」 呆れながらそう返したのはディアッカだ。 アスランは、プラントに帰った。 現在プラントの指導者は彼の父親のパトリック・ザラで、その強硬姿勢について疑問があり、話がしたいと考えたらしい。 「おじさん、理解してくれるわけないよ」 「わかんないだろう。息子の言葉だぞ?」 「仮に、俺に息子がいたとして。を誰かに殺されたら、そいつを殺すまで俺は止まらないだろうし、それが組織なら殲滅が当たり前。それを邪魔するなら、息子も邪魔な奴リストに入るに決まってるよ」 さらりと言う。 その『当たり前』を口にしている様子のラスティにディアッカはぶるりと震えた。 アスランの母親は、血のバレンタインで地球軍に殺された。 ただの農業プラントに地球軍が核を放った。 そこに居たアスランの母親は亡くなり、今思えばその事件が全てのターニングポイントとなった。 アスランの父親が、強硬姿勢をとったのも。 自分たちがザフトに入ろうと考えたのも... 「ん?」 ディアッカが首を傾げる。 「なに?」 「お前ってさ、何でザフトに入ったの?」 「えー、言いたくない」 「だって、がプラントに居るのを知ったのはアカデミーに入ってからだよな?」 「言ったら幻滅されるしー」 ラスティがクネクネしながら言う。 「キモイ」 「どうしても聞きたい?」 「や、もうなんかどうでも良いや」 そう言いながらディアッカは頭をかいてそして食堂を後にした。 ディアッカが諦めてくれたことで、ラスティは安心したように息を吐いた。言えるはずがない、『流行だったから』など。 正直、プラントも地球もどうでも良くて、ただ、が居るオーブは無事だと良いなくらいには思っていた。 だから、友人達のように高い志を持ってアカデミーに入ったわけではない。教官に何度も「本気を出せ」と言われたが、モチベーションが元々低かったのだから本気を出すも何も、あのときはアレが精一杯だった。 がプラントに居ると聞いて、頑張ろうという気にはなった。 だから、ザフトレッド。 そうでなければグリーンで全然気にならない。まあ、その場合。父親の意向で赤にされたかもしれない。彼は国防委員会に所属していて、急進派の一人だったから。 だが、ラスティにとっては別にどっちだって良い。 「俺、ちょっとオカシイのかな?」 たまに、ディアッカとイザークが忠告してくれていたが、聞く気がなかった。 今も特にないが、どうやら、自分のに対する執着は常軌を逸しているところにあるらしい。 「依存と言うんだ、それは」 イザークに言われたとき「なんだよー!」と思ったが、当たらずとも遠からずかなとも思う。 「ああ、いたいた」 クサナギに居るはずのがアークエンジェルの食堂に顔を出してきた。 「あれ?いいの?」 「休憩。ある程度目処が立ったしね。ストライクの方、面倒見ておきたいし。ラスティは、ご飯終わったの?」 本来ならクサナギで食事を摂るべきなのに、ラスティはこちらで食事を済ませてしまった。 「うん、さっきディアッカと食べちゃった」 「そう」とが相槌を打つ。 「けど、はこれからだろう?付き合うよ」 「少しは荷物の運搬とか手伝ったら?」 苦笑してが言う。 「良いじゃん。アレはまだ宇宙空間に慣れてない人たちがしたほうが良いって。じゃあ、クサナギに帰ろう」 「その前にドックに寄らせて。アスランに許可取ってるんだけど、ジャスティスのOS見てみたいの」 の言葉にラスティが眉をひそめる。 「あれは、核で動いてるんだから参考になんないと思うよ?」 「うん。けど、あれが造れたなら、また似たようなのを造ってくるでしょう?何か対策あるかなって思って」 の言葉に「そっか」と呟き、ラスティは彼女に付き合ってアークエンジェルのドックに向かった。 |
桜風
12.4.23
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