| ラスティ、ディアッカに続いてイザークがコックピットから降りてきた。 彼の手には銃が握られている。 「ラスティ...生きていたとはな。ディアッカ、貴様も」 「感動のハグ要る?」 「も、生きているのか?」 ラスティの軽口をスルーしてイザークが続けて問う。 「勿論。俺がついてておめおめ殺させはしないよ」 にこりと微笑んでラスティが言う。 「相変わらず、ということか。ラスティ、何故ザフトを裏切った。ディアッカも」 イザークが銃口を向ける。 「先に裏切ったのは、ザフトだ。を拘束した」 「それだけのために!の両親は事実、これらを開発していただろう!」 そう言ってイザークは自分の機体、デュエルを振り仰ぐ。 それだけのために、仲間を裏切り、死なせたと言うのか... ラスティが居たらどれだけの仲間が助かったか、それはわからない。結果は今の状況と同じだったかもしれないし、そうではなかったかもしれない。 「『それだけ』かもしれないね、イザークには。俺にとってはザフトを出て行くだけの充分な理由だったんだよ」 ラスティの声音があまりにも静かで、イザークは恐怖を感じた。 「貴様の母親が、どうなったか知ってるのか?」 「さあ?プラントの情報は全然入らなかったから。あ、けど俺がMIAで処理されているってのは知ってるよ。父親の面子を保つために」 「誰に聞いたんだよ」 ディアッカが問う。 「バルトフェルド隊長。前に、砂漠の虎と対立してたレジスタンス組織に居たから」 「...何やってんの」 心底呆れた口調でディアッカが問い、 「バイト?」 とラスティは首を傾げて返す。 「ふざけるな!」 イザークが吼えた。 「ねえ、イザーク。イザークは何のために戦ってんの?」 ラスティが不意に問いかける。 「何の、ため..だと?」 「そう。何のため?」 「ナチュラルを、滅ぼす..ため...」 「全部?出来る?てか、ナチュラルを殲滅するって言うなら、イザークは俺の敵だから」 「何だと?」 「を殺すって言ってるんだよ、ナチュラルの殲滅ってことは」 「な?!」 その告白にはディアッカも驚いたようで声をあげ、イザークに至っては声が出ないらしい。 「マジで?」 「ザフトの隊長たちは、ナチュラルを滅ぼすって旗を振りながら、ナチュラルのメカニックの彼女を取り合ったんだよ。知らなかったとはいえ、茶番だよね。 イザーク。俺は、が居る艦を攻撃してくる奴らは全部落とすよ。知ってると思うけど、俺の一番はだ」 そう言ってラスティはイザークに背を向けた。 「イザークが、ザフトの命令にただ従うだけの兵士でいるつもりなら、今の最善の選択肢は、此処で俺を殺しておくことだよ。 俺は、を守るためだったら世界を敵に回してもいいって思ってるからね」 そう言ってラスティはストライクのコックピットに戻っていった。 「俺もさ」 ディアッカが口を開く。 イザークは慌てて彼に銃口を向けた。 「俺も、アラスカやオーブで色んなもんを見て、感じて。俺はラスティみたいな覚悟もないし、アスランたちのような業もない。 けど、今更、軍の命令でただナチュラルを攻撃するってのが出来なくなった。だから、ザフトには戻れない」 「騙されているんだ、貴様は!」 イザークが訴える。 「さあ、それはどっちかな。けど、出来ればお前と戦いたくはないな」 そう言ってディアッカもまた、自身の機体のコックピットに戻っていった。 それを確認したラスティはストライクを起動させて艦に戻り、ディアッカもそれに続いた。 「...くそっ!」 残されたイザークは毒づき、彼もまた自身の機体に戻った。 「は結局何処に配属?」 艦に戻ってラスティが問う。 「アークエンジェル。ストライクとバスターは元々この艦に乗る予定だったものらしいから、あの船に配備するんだって」 「でも、クサナギのほうで調整が必要な機体があるって...」 まだ実戦に投入できるような状態ではないのが1機あると聞いた。 「あれは元々オーブの技師が造ってたものだから、あっちで出来るのよ。ストライクとバスターもオーブの技師が作ったものだけど、ストライクなんて特にアークエンジェルのメカニックが調整してきていたものでしょ? けど、乗るのはコーディネーターだから、コーディネーターのパイロットが乗る機体の整備をしたことがあるわたしがいた方が良いだろうって、バルトフェルド隊長の人事」 「ふーん...」 つまり、自分が最優先で守らなければならない艦は、アークエンジェルか... ラスティは自分の中の優先順位を整理した。 「あ、そういえば。さっきイザークに会ったよ」 さらっというラスティに「はい?!」とが声を上げる。 「メンデルに潜入したのはクルーゼ隊だったみたい。たぶん、情報収集目的だったんじゃないかな?可能なら、俺達を叩くつもりで少数精鋭」 「そう...」 の声が沈む。 一番まっすぐだったイザークはきっと自分たちの脱走に心を痛めただろう。 脱走だけではなく、おそらくあのヘリオポリスで亡くなった事になっていただろうし。 「相変わらず、元気そうだったよ」 それはどういう表現だろう... そんなことを思いつつ、はどこか安心していた。 ニコルのことは聞いていたが、イザークのことは皆分からないと言っていたから、気にはなっていたのだ。 「ねえ、」 「なに?」 「俺、嫉妬しても良い?」 「どうぞ?」 「もう!そこは『もう、馬鹿ね』って言っておでこをツンってするところじゃん」 ラスティの抗議には苦笑し、 「もう、馬鹿ね」 と言ってデコピンをした。 おでこを押さえてラスティが抗議の声を上げたが、それは気にせず、整備をするため、ドックに向かうことにした。 |
桜風
12.5.7
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