Twinkle 20





近くにザフトが居るとわかった今、メンデルに留まっていては包囲されて撃たれる。

そのため、予定を早めて別拠点に移ることにした。

プラントには『クライン派』と呼ばれる人々がおり、彼らはその名のとおりラクスの協力者である。

ザフトの包囲網を突破する中で、ヴェサリウスが落ちた。

自分たちが落としたのだが、それでもラスティは落ちていく艦に敬礼を向けていた。


場所を移して再び準備を整える。

今度はプラントの情報が良く入ってくる。

「やっぱり、情報って重要だねぇ」

ラスティが呟いた。

目の前の部屋のブザーを押す。

「入りたまえ」

ドアを開けてラスティが室内に入ると彼は驚いた様子だった。

「僕のコーヒーの味が忘れられなかったのかな?」

「あ、それはないです。ちょっとお話が...」

さらっとお断りしてラスティが室内の人物、バルトフェルドに自分が考えていたことを話す。

「ふむ、なるほどね。君の考えは、否定できないね。出来すぎている。悪い方向に向かうように」

「元々そっちに向かっていたとは思うんですけど、此処最近が急激過ぎる気がして...」

「一応、他の艦長たちにも話をしてみよう。あと、情報収集の関係も強化しておいたほうがいいかもね」

「今更、ってところはあるかもしれませんけどね」

ラスティが言うと「やらないよりもやったほうがマシってこともある」とバルトフェルドが返す。

「ところで、バルトフェルド隊長」

「何だね?」

「カノジョの裸の写真を部屋に飾るのは、ちょっとどうなんですかね」

ラスティが指摘したのは部屋に飾っているアイシャの写真だ。

「彼女の写真はこれしか残っていなかったんでな」

「...それは、失礼しました」

ラスティは、珍しく神妙な表情で敬礼をして部屋を後にした。



ラスティの心配したとおり、地球軍も核を持ち出してきた。

それを止めるべく、ミーティアを装備したフリーダムとジャスティスが出撃した。

何度かそれを繰り返し、戦局は混乱を極めた。

地球軍、ザフトのお互いが総力戦となった中、オーブを中心としている第三勢力もまた、戦争が終結に向かうよう戦った。

ラスティは、基本的に護衛的立場をとっていた。

いつでもを守れる位置に居たい。

彼の中心が何かと言うことがわかっているバルトフェルドがそれを提案した。

逆に、が居るなら是が非でも艦を守るだろうし、逆に前線に出していても結局戻ってくるだろう。

そうなると戦いが苦しくなる。

一応、アークエンジェルは対要塞型の戦艦で火力がある艦なのでラスティもそれなりに距離を保って戦闘を行っていた。

ふと、気付くとアークエンジェルが似たような船に主砲の照準を合わせられていた。

ラスティはその砲門を撃った。

そこにはエネルギーが集まりつつあったため、艦が半壊している。

「艦長、お友達を懐かしんだ挙句、乗員を危険な目に遭わせてどうするんですか」

『ラスティ君?!けど、あれにはナタルが...』

「主砲を撃とうとしてましたけどね、向こうは。艦長の『責任』を全うしてください。その船にはがいる」

冷ややかにそう言い、通信をきったラスティはアークエンジェルに向かっていく地球軍、ザフト軍のMSを打ち落としていく。

やがて、プラント側の最終兵器であるジェネシスが破壊され、地球軍もほぼ壊滅状態に陥った。

そんな中でプラント側から停戦のアナウンスが入る。

「アイリーン・カナーバか...」

戦闘の手を止めてラスティが呟く。穏健派の彼女が代表してアナウンスをしているということは、逆に急進派が拘束されたかで動けないということだろう。


に会いたい...」

何度か補給にアークエンジェルには戻った。

そのたびにはラスティに心配そうな表情を向けていた。

勿論、彼女も作業があるので言葉を交わしていない。

そういえば、あの艦には破損したバスターが収容された。

アレを連れて行ったのはイザークのデュエルで、デュエルが発進してきたときにはストライクの予備パーツを換装されていたように見える。

「帰ろ...」

まだ色々と面倒ごとは残っているだろう。

この先、はどうするのだろうか。

一緒に行きたいって言ったら、迷惑かな...一緒に行けないならこっそり付いていくしかないかな?

着艦し、コックピットを開けると目の前にがいた。

「ラスティ!」

そのまま突進されてコックピットを出て行こうとしたラスティは後戻りだ。

けれど、やっと彼女の声が聞けて酷く安心した。

、ただいま」

「おかえり」

ギュッとがラスティを抱きしめる。ラスティもそれに応えるようにを抱きしめた。

「心配してくれた?」

「いつもしてた!」

怒られた。

それが嬉しくてラスティは笑う。

「ねえ、。俺、これからもずっと一緒に居ていい?」

「ダメって言ってもこっそりついてくるくせに」

バレてる...

ラスティは苦笑する。

「ねえ、またオーブに戻るの?」

「丁度帰る家もないし、折を見て月に行きたいな」

オーブ本土での戦闘により、の家もその被害あったと聞いた。

「月かぁ...何の仕事しようか」

「自動車整備工場で働こうかな」

が言う。

「じゃあ、俺は...」

あれ?特技って何だっけ??

大抵何でもできるが、どちらかといえば器用貧乏だからこういうとき、悩む。

「ゆっくりでいいよ。時間はあるんだし」

が笑った。

「ねえ、。俺、が好きだよ」

ラスティが言う。

星のようにキラキラと輝くその存在に惹かれた。

友人達が思わず忠告したくなるような自分の愛はちょっとオカシイのかもしれない。

それでも、自分にとってはそれが精一杯で、いつか上手になるのかなと不安でもある。

特に、に受け入れられなければ、それはゴミのようなものだ。

は困ったように笑う。

「わたしは、ラスティと一緒にいるのが好きよ。ちょっと時々困るけど...でも、わたし、ナチュラルよ?」

だよ」

ラスティが笑った。

「お母さんはいいの?」

「プラントに居れば、あの人の居場所はあるよ」

「ラスティのお母さんに申し訳ないわ」

「俺の一番はなんだ。今更、変えられないよ...」

困ったようにラスティが言う。

「ほとぼり冷めたら、謝りに行く」

ラスティが呟いた。

それで許されるようなことをしたとは思えないが、それでも逃げ続けるよりはマシのような気がした。

「うん」とが頷く。

「だから、これからもよろしく、

「...こちらこそ」


戦後のゴタゴタの中、とラスティは姿を消した。

オーブの関係者などが探そうとしたが、それを止めたのはバルトフェルドだった。

「あの2人がどうこうなるのは考えられない。気が向いたら連絡をしてくるだろう」

そういわれて周囲は驚くほど納得してしまった。

結局、彼らから連絡があったのはその戦争が終結して数年後のこと。ひとつの小さな命を抱いたとラスティの写真が彼の母親宛に送られてきたのだった。









桜風
12.5.14


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