Moonshine 2






はゆっくりと話し始める。

「確か、今日は金曜日で、学校から帰るのに列車に乗りました。私は通学に1時間列車に乗ってるんです。そして、..あの、私と一緒に誰か居なかったんですか?一緒に乗ってた人がいるんです!」

傍に居たニコルの服を掴んで聞いてくるが、

「いいえ。僕たちがさんを見つけたときはさん独りでしたよ」

優しくニコルは答えた。

「そう、ですか...。列車の中で突然大きな衝撃を受けて、それで、それで...」

胸元をきつく握り締め、蒼い顔をしながらが震えだす。

「もういいわ。大丈夫。少し休みなさい」

ラフが優しく抱き締めて、ゆっくりとを横にしてカーテンを閉めた。


「なんで、止めたんだ?」

「これ以上は無理ね。相当大きな精神的ショックがあったようだわ」

「演技かもしれないじゃん?」

「うん。でも、とにかく、私は医者として、彼女にこれ以上話させることは危険だと判断しました。さて、と」

「何をするんですか?」

椅子に腰を下ろして端末に向かうラフにニコルが聞いてみると、

「さっきの情報、記録に残ってるかなって思って」

そう答えて検索を始めた。

イザークとディアッカはのほかの持ち物を調べ始める。

「写真..だな。あいつの家族か?」

鞄の中に入っていた定期入れに写真がはせてあった。そこには真新しい制服に身を包んだとそして、優しく彼女の頭に手を乗せている青年がただ2人だけで写っていた。

「兄...か?」

「そうだろうな、結構似てるじゃん?」

写真を見てそれぞれが感想を述べていると

「あった...」

ラフの呟きが聞こえた。

傍に居たアスランがモニタを覗き込んだ。

「...テロ?巻き込まれたのか?行方不明者リスト...。あるな。」

「この死亡者リストを見て。このって...」

「こいつじゃないの?」

ディアッカが手に持っていた写真をヒラヒラとした。

「えーと、何々?『行方不明者のさんと亡くなったさんはご両親を5年前の飛行機事故で亡くし、親族も無いため、政府が葬儀を行った』...って、」

皆は言葉を発することなく少しの間沈黙の時間が流れた。

「...とにかく、まずは彼女がここにいることができるようにしてあげましょう」

「ちょっと待て!ラフ、貴様は下等なナチュラルをこのZAFTにおいておくつもりなのか?!」

「ナチュラルって...だって、彼女行く宛も無いし、そもそもコーディネーターになれない時代の子よ?ナチュラルもへったくれもないでしょ?とにかく、私はクルーゼ隊長に話してくるから。変なコトしちゃダメよ。...ニコル、ミゲル、アスランよろしくね」

そう言って白衣を翻してラフは医務室を後にした。

「なんだぁ?俺たちってそんなに信用が無いワケ?」

肩を竦ませてディアッカが零す。

「仕方がないだろ?あれだけ尋問、尋問って言っていたんだから...」

「ま、そうだけど?」




「はーい、というわけで、隊長の許可が下りました。は今から一応ZAFTの一員ね?」

暫くして戻ってきたラフが開口一番そう言った。

「はい、分かりました」

「了解」

「で、どこに就くんだ?たぶん彼女、軍人としての訓練なんて受けてないだろ?何もしないでこのガモフにいるってのは無理だし...」

「そうね。...が目を覚ましたら何が出来そうか聞いてみるわ。貴方たちはそろそろミーティングの時間でしょ?ほら、行った行った。隊長は私と一緒に隊長室を出たのよ」

ラフは皆を追い出してドアを閉め、に近づく。

「大丈夫、今度は絶対に守ってみせるから」

優しく頬を撫で、そして、その瞳に強い意志を宿らせてそう呟いた。



「なあ、ラフの様子おかしくなかったか?」

追い出さたあと、急いでミーティングルームに向かいながらディアッカが言う。

「そうだな。俺たちに居てもらいたくないような...」

「でも、ラフがさんをどうにかするはずないし、実際僕たちは急がないといけないんですから、気のせいじゃありませんか?」

「なあ、イザークはどう思う?」

ディアッカに声を掛けられたイザークは、キッ!と睨んでそのまま先を急いだ。

「...あ〜あ、またご機嫌斜めだよ。俺たちの部屋、今日もメチャメチャにされるんだろうなぁ...」

遠い目をして呟くディアッカに皆はこっそり合掌を送った。




「あの...」

暫くしてベッドの方から声がした。ラフが顔を向けるとそこにはが居た。

「どうしたの?もう起き上がって大丈夫?」

「はい。...あの、本当に私の他に誰もいなかったんですか?」

「...そうよ。こっちへいらっしゃい。大丈夫よ、何もしない。これからの貴女のことを話すわ」

は促されてラフの差し出した椅子に腰をかける。

「そうね。まず、今の状態を知ってもらわないとね。ここはあなたの生きていた時代の未来になるわ。西暦が終わって、コズミック・イラ。

そして、今、私たちの、うーん、分かりやすくいえば、人種かな?人種には2通りあるの。私やさっきいた子、ミゲルたち覚えてる?」

が頷く。
「そう。私たちはコーディネーターと呼ばれているわ。遺伝子を操作して、優秀なヒトとして生まれるようにされた人種。そして、私たちは『プラント』と呼ばれるところに住んでいるの。宇宙の人工的な居住システムって言えば分かるかな?まあ、何となく分かったらそれでいいわ。

そして、地球にはナチュラルと呼ばれる人達がいるの。ナチュラルは、私たちとは違って遺伝子操作をしなかった人達。あなたも、一応ナチュラルに入るわね。今、コーディネーターとナチュラルは戦争をしているわ。あなたは今その真っ只中に来てしまったというわけ。

だから、自分がナチュラルだっていうことは絶対に言ってはダメよ?...たぶん、殺されるから。それで、一応この船の乗船許可はここのラウ=ル=クルーゼ隊長から頂いたからここに居てもいいの。でもね、仕事も持たないのに置いてあげることは出来ないのよ。何か出来ることあるから?」

「何があるんですか?」

「んー、オペレーターにメカニック。パイロットとか...」

そう言いながらラフが捲っている書類を見て、

「英語?!...私苦手です」

「ん?...これ?この文字って読めないの?それは困った。大抵文字を読まないと仕事なんて出来ないわね。でも、話せてるわよね?」

「え?...あ、そうですね。言葉は通じてますね。でも、私、英語は本当に苦手で...。赤点とか取ってるんです。他の文系科目はそれなりに得意ですけど」

恥ずかしそうに言う

「じゃあ、一番の得意科目は?」

「家庭科、ですね。ウチは両親が居ませんでしたから。家事は私がやってました」

「そう...。それじゃあ、厨房に行ってみましょうか?おいで」

の手を引いてラフは医務室を出た。




何故か話せるけど、やっぱり読めない英語。
凄く都合のいい設定ですよねー...
とりあえずヒロインはガモフのクルーになることができました。
イザーク&ディアッカの態度は悪いですが...


桜風
04.9.8


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