| 「えーと、まずは無重力での移動の練習からのようね...」 くるくるとその場で回って目を回しているを見ながらラフはそう呟いた。 数十分のレクチャーの後、何とか移動が出来るくらいになったため、取り敢えず『無重力での移動の基本』の解説並びに訓練を終わらせて厨房に向かう。 「こんにちは〜」 「おう、ラフどうしたよ?」 厳つい長身の男の人がラフの声に気付いて寄ってくる。 「ああ、ドギー。あのさ、この子、ここで仕事貰えない?」 「はあ?っつってもよお。普通この船に乗った時点で仕事持ってるんじゃねえの?」 怪訝な顔をしての顔を覗きこむ。 「まあ、そこらへんは気にせずに。ねえ、ダメ?」 ドギーは溜息を吐き、 「じゃあ、まずは芋の皮剥きしてみろ」 そう言ってを厨房へ入れた。 渡された包丁で芋の皮を剥くの手つきは「流石」としか言いようのない見事なものだった。 「まあ、使えそうだな。いいぜ。こんな仕事しかくれてやれないけどな」 「ありがとう。苛めないようにね?」 「誰が苛めるかよ。...ほら、来い。お前名前は?」 「です。・です。よろしくお願い致します」 深々と頭を下げるにドギーは苦笑をして、 「そう畏まるな。メシは楽しく作って楽しく食ってもらおうぜ?」 ポン、との頭に手を乗せた。 「何でアイツがこんなところに居るんだぁ?!」 ミーティングが済んで夕飯を食べに来たイザークがそう叫んだ。 「あ、本当だ」 「へえ、ここに就いたのか」 イザークが叫ぶことに艦内は慣れており、誰もそれを気にしなかった。勿論、一緒に来たニコルたちも一向に気にしない。 「...おい、イザーク。どこへ行くんだよ!!」 勢いよく食堂から遠ざかっているイザークに擦れ違ったディアッカが声を掛けると、 「こんな夕食が食べれると思うのかぁ!!」 やっぱりいつものように叫んで去っていった。 首を傾げながらディアッカが食堂に入ると、「なるほど」と納得する。 「これは、俺も嫌だな。ってコトで俺もパスね?」 ミゲルに声を掛けてディアッカも去っていった。 その様子を見ていたは不安そうにミゲルに視線を送ると、ミゲルは「だいじょうぶ」と口を動かしてウィンクをしてきた。 も一応笑顔を返し、再び閉まったドアを見つめた。 「あ〜あ〜、また散らかして...」 部屋のドアを開けた途端に呆れたようにディアッカが零す。 「ウルサイ!ここは俺の部屋だ!!俺が何をしてもいいに決まってるだろう!!」 「...俺の部屋でもあるんですけど?」 そう溜息を吐きながらディアッカは片付けを始めた。 「アイツらは何で平気なんだ!!」 「さあね。まあ、俺にもアイツらの感覚は分かんねぇよ。ってか、やっぱりラフが一番変だよな」 夜、さすがに成長期真っ只中のイザークには夕食抜きというのが堪えて目が覚めた。 「...また女のところか」 同室のディアッカが向かいのベッドに居ないことを確認して部屋を出る。 いつもなら置いている簡易食も切らしていることから、厨房に行ってみることにした。 食堂に向かうと食堂から明かりが漏れている。覗いてみるとそこには辞書らしき物を首っ引きで本を読んでいるの姿があった。 (またあのナチュラルか...) 不快に思って食堂をあとにしたとき、数人の男と擦れ違った。彼らの向かう先は食堂。 こんな時間に?、と怪訝に思ったイザークは、踵を返して再び食堂へ向かうと今度は声が聞こえた。 「やめてください」 「いいのか?俺たちにそんなことを言って」 「聞いたよ〜。どこかで仕事ヘマしたから配置換えにあったんだろ?」 「ここで俺たちに逆らうと、今度はどこかな〜?」 そんな会話を聞いたイザークは溜息を吐いて 「お前たちに逆らうと、何だって?」 ドアに凭れたまま腕を組んで声を掛けた。 「げ?!赤の...」 「いや、何でもないデス」 イザークの姿を見た男たちはそそくさと去っていった。 「あの、ありがとうございます」 「...別に貴様を助けたわけじゃない。ただ、ああいうヤツが同胞だというのが許せなかっただけだ」 「あ、あの...」 「今度は何だ!!」 イザークが勢いよく振り返ったそこにはは居らず、彼女は厨房に向かっていた。 「あ、あの、これ食べてください。イザークさん、今日の夕飯食べてなかったようですから、これなら...」 そう言って厨房からトレイに乗った何かを持ってくる。 「果物なら、元々出来ているものですし、勿論、これを切ったのも私じゃありません。これは、ドギーさんが余ったから食べてもいいって仰ったものだから何かの違反じゃありませんし、だから、えっと...」 一生懸命話すにイザークも押され、思わずそのトレイを受け取った。 それを受けては嬉しそうに微笑み、 「じゃあ、失礼します。トレイはいつもの返却口に返しておいてください。おやすみなさい」 そう言って食堂を出て行ったが、 「きゃあ!」 廊下で再びくるくると回り始める。 (何なんだ、こいつは...) 溜息を吐いてトレイをテーブルに置き、くるくる回っているを掴まえてやる。 「まったく、貴様はまともに移動も出来ないのか?!」 「ごめんなさい。一応先生に教えてもらったんですけど、忘れてました...」 「先生?」 「はい。ラフさん。お医者さんなんですよね?だから、先生です」 再びイザークは溜息を吐いて 「俺が食べ終わるまで待ってろ。ついでだから送ってやる」 「ありがとうございます!!」 は勢い良く頭を下げた。 |
働く場所も決まりました。
しかし、イザーク&ディアッカは中々頑固らしい(←『らしい』って書いたのはオマエだろ)
ヒロインは一生懸命に今の環境に慣れようとしています。
桜風
04.9.24
ブラウザバックでお戻りください