| がガモフで働き始めて数日が経った。 相変わらずイザークとディアッカは素っ気ないが、他の赤のメンバー+ミゲルは良くしてくれる。 毎晩頑張って勉強をしていたお陰で文章も何とか解釈できるようになり、それなりに生活に慣れてきていた。 「じゃあ、今日片づけが済んだら僕たちの部屋に来てくださいね。さんの話とか聞いてみたいし」 「はい。ちょっと遅くなると思いますけど...」 夕飯を食べ終わったニコルたちがにそう声を掛けて食堂を後にした。 思いのほか片づけが早く済み、はニコルたちの部屋に向かった。ニコルがの話を聞きたいと言っていたため、こちらに来たときに持っていた通学鞄も持っている。 ビー、という電子音で自分の訪問を告げると 『はい』 アスランの声がした。 「です」 『ああ、今開ける』 そう聞いたあと、ドアが開いた。 「お?ちょっと早かったんだな」 「いらっしゃい、さん」 「早く入って来いよ」 ミゲル、ラスティもいた。 「お邪魔します」 部屋に入るとニコルが紅茶を入れてくれた。 「さんのいた時代にも紅茶はあったんですか?」 「ありがとう。うん、あったよ。食べ物は基本的に変わらないんじゃないのかな?」 「なあ、その鞄って...」 「あ、学校の鞄だよ。興味ある?教科書も入ってるから」 そう言って鞄の中の教科書を取り出し、ラスティに渡すが、 「やっぱり、俺には読めないなぁ...。これ、なんて書いてあるの?」 「えー?ああ、古文の教科書だとやっぱり難しいかもね。そうだなぁ...でも、英語だと今度は簡単すぎるよね。じゃあ、これかな?でも、音楽って、これも見て楽しむものじゃないしね。うーん...」 鞄の中の教科書を全て広げて腕組みをしていると『ビー』、という来客を告げる電子音が聞こえた。 「どうぞ」 ニコルが声を掛けてドアを開けると、 「何で貴様がここにいるんだぁ!!」 「まあた、アンタかよ」 イザークとディアッカがそれぞれの反応を見せた。 「僕が呼んだんですよ。ここは僕の部屋なんですから、誰を呼んでもいいじゃないですか」 「なら、俺らは呼ぶなよ。...お前ら良く平気だな、そんなナチュラルと一緒の部屋にいるなんてさ。なあ、イザーク。...?イザーク?」 イザークを見ると何かに視線が釘付けだった。その視線を皆が辿るとの目の前にある教科書類に行き着く。 「え、えーと、見てみます?」 おずおずと自分の目の前にあった日本史の資料集を差し出すとイザークはそのまま部屋にに入っていきそれを受け取り捲りはじめる。 「あ、そうか。イザークは民俗学オタクなんだよ。そうだよな、のいた時代は俺たちにしてみればずーっと昔の過去で、の持っている教科書は謂わば、民俗学オタクにとっては垂涎ものってわけだ」 「民俗学オタク、民俗学オタクと五月蝿いぞ!ミゲル!!おい、これを借りていくぞ!!」 「おい、ちょっと待てよ、イザーク!!」 そう言ってイザークはの差し出した日本史の資料のほか、古文の教科書並びに資料集も持って行った。 「う、うん...」 イザークが出て行って少しして呆気に取られていたは頷いた。 「...借りるのに何であんなに偉そうなんだ?」 「ま、イザークらしいんじゃないの?」 アスランの疑問にはラスティが苦笑をしながらコメントした。 それから数日後。 夜中に目が覚めて寝付けなくなってしまったイザークは、食堂へ向かった。 食堂はいつかのように明かりが灯っていた。 覗いてみると、そこにはやはり、がいた。 しかし、うつ伏せになっているはおそらく寝ているのだろう。 何となく、イザークはの隣に腰かけた。 思ったとおり、は本を読んでいる途中に寝てしまったようで、本は広げっぱなしになっている。 イザークはを起こさないようにそっとその本を手に取り、パラパラと捲って驚いた。数日前までは本当に簡易な文章しか読めていなかったが今読んでいる本は専門書だった。 「ナチュラルの割には、頑張るな...」 そう呟いたとき 「おにぃ...ちゃん」 の寝言が聞こえた。 イザークは居た堪れなくなってその場を後にした。 翌朝。 いつもはラフの医務室で食事を摂っていた。 自分がいるとイザークとディアッカが食事をしないからだ。 「気にすることはない」とミゲルたちに言われるが、やっぱり気になるものでラフに話すと 「ここにいらっしゃい。私の食事と共に。ドギーには私から言っておくから」 ということで、毎食第二医務室で食事をしていた。 その日も医務室にラフと自分、2人分の食事を運んで行くと、 「ごめん、先食べてて。何かいきなり会議が入ったのよ。行ってくるわ」 そう言ってラフが慌しく出て行った。 それなら仕方がないと独りで食事をしているとドアが開いた。 振り返ると、 「あ。イザークさん」 イザークが立っている。 「どうかしたんですか?気分でも悪いんですか?」 の質問に「いや」と短く答えるだけでイザークはそこから動かなかった。 「えーと、入り口で立ち話というのもなんですから入られたら如何です?」 に促されてイザークは医務室の中に足を踏み入れる。 「お前、ここで食事をしていたのか?」 「え?...ああ、はい。先生と一緒に食べさせてもらってるんです」 イザークが怒鳴らずに声を掛けてくることなど珍しくて、思わず驚いた。 「そうか...」 話が続かず重い空気が漂って来た為、は慌てて話題を探す。 「えっと、イザークさんはご兄弟はいらっしゃるんですか?」 「...いや。コーディネーターは出生率が低いからな」 「そうでしたね。私には兄がいるんですよ。すっごく優しくて、頼りになって。...お兄ちゃん、私のことを心配してるだろうなぁ」 「お前の兄はもう死んでいる」 突然イザークは事実を口にした。自分でもなんで態々にそんなことを告げたのかが分からないが、考えるより先に言葉が出ていた。 「な..に?い、嫌だな、イザークさん。そんな性質の悪い冗談は笑えませんよ。ねえ、嘘でしょ?嘘ですよね?いつもの意地悪ですよね。ねえ、何で黙ってるんですか?嘘だって言ってください!!」 「本当のことだ」 そう言ってイザークは部屋の端末を操作する。 が来たとき見たあの記事を検索して 「ほら、見てみろ。ここに書いてある」 モニタを指した。 は恐る恐るモニタの前に立ち、記事を読む。 「う..そ。お兄ちゃんが、お兄ちゃんも、..死んだ...?何で?!どうして!!こんなの嘘に決まってる。お兄ちゃん言ったもん。ずっと一緒だって...もう、寂しい思いなんてさせないって」 「だが、これが現実だ」 「イザークさんなんか大ッ嫌い!!」 そう言ってイザークを押しのけては出て行った。それと入れ違う形でラフが医務室に戻ってくる。 「どうしたの?泣いてたようだけど。...まさかとは思うけど、乱暴したとかは、」 「そんなことするかぁ!!...事実を、言ったまでだ」 「事実?」 「アイツの兄はもう死んでいるということだ」 「なんでまた、そんな話をしたのよ!!」 「...俺にも分からん。悪い、俺はもう行く」 そう言ってイザークは医務室を出て行った。 独り残されたラフは 「なんで、言っちゃったのよ...、..ごめん」 そう呟いた。 |
イザークが段々心を開いてきている模様。
この子は頑張ってる人はちゃんと評価すると思うのです。
イザークの衝撃の告白を受けてヒロインはそれを乗り越えることができるでしょうか。
桜風
04.10.16
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