| 「臨海公園の...時計塔だったっけ?どうしよう。独りで辿り付けるかな?」 皆が解散したところからそう離れていないベンチに座ってが呟いていた。 皆が手際良く散っていく姿に見惚れていたが、自分が臨海公園というところを知らないことを思い出し、誰かについていこうと思ったのも後の祭り。 ナチュラルの自分が運動神経抜群のコーディネーターの彼らに追いつけるはずも無い。 だた、不幸中の幸いというか、皆と少し離れたところにいたのではあの一行のメンバーだと思われなかったようで、皆がいなくなるとあの野次馬たちも散っていった。 時計を見ると、あれから40分経っている。 「よし!きっと行けるよ!!」 気合を入れて立ち上がり、2、3歩足を進めると 「ねえ、誰か待ってんの?」 「待ちぼうけ?俺たちと遊ぼうよ」 数人の男に囲まれる。 (私って、もしかして絡まれやすい??) 多分ピンチなのだろうが、実は元いた世界でもこんなことが少なくなかったため、あまり自覚が無い。 「いいえ。遠慮します」 「そんなこと言ってさ、もう30分以上ここに独りじゃん?」 (...そんなに観察してたの?暇だねぇ) 「でも、絶対来ますから」 そう言っては再びベンチに腰を下ろした。 そんなに引き下がることなく男たちがの腕を掴み連れて行こうとひっぱていたが 「こいつに何のようだ?!」 走ってきたイザークがその男の後ろから声を掛け、振り返った彼らを睨む。 現役軍人の睨みに怯んだ男たちは抵抗することも無く一目散に逃げて言った。 「前のときもそうだが、もう少し、...いや、今回のは俺たちが悪かったな。すまない。怪我とか無かったか?」 「大丈夫。ありがとう、イザーク。今回もイザークに助けてもらっちゃったね?」 「いや、俺たちの方こそ本当にすまなかった。皆が待ってる、行こう」 そう言って先を歩き出したイザークの服の裾をは掴んだ。 「どうした?」 進むのに抵抗力を感じたため、振り返るとが自分のシャツの裾を掴んで立ち止まっている。 「うん。私考えたんだけどね。あのメンバーで一番目立ってるのってラクスだよね?」 「まあ、彼女を知らないプラントの住人はいないと言っても過言じゃないな」 「でしょ?だったら、ラクスがラクスだとバレなかったら少しは周りが静かだと思わない?」 「...そうかもしれないが、どうするつもりだ?」 眉間に皺を寄せて首をかしげてイザークが疑問を口にすると 「変装。ねえ、ここら辺イザークは詳しい?」 「まあ、それなりに...」 「じゃあ、買い物をしてみんなの元に戻ろう!」 のその言葉に呆れつつも、一応皆に連絡を入れてに付き合うことにした。 「どうした?」 一通り買い物も済んで皆の元へ戻っているときにの足が止まった。 見ると、はショーウィンドを覗いている。 「欲しいのか?」 の見つめているものを見るとそれは青い石のついた懐中時計だった。 「ううん。ちょっと目に入っただけだから。さ、早くみんなのところに帰ろう?」 イザークは「ああ」と短く返事をしながら先を歩き始めたに並んで歩いた。 もう一度、があの店を振り返ったことには気付かないフリをしていた。 「遅いぞ!!」 そう言いながらラスティが指差してくる。 皆はずっと公園で待っていたらしい。 慌てたが走り出し、イザークもそれに続いて足を速める。 「ごめん!」 「いいえ。無事で何よりでしたわ、。あら?それは何ですか?」 イザークが持っている大きな紙袋を見つけてラクスが聞いてみるとが 「うん。ラクスにあげるよ。全然安物だけど。えっと...あそこでいいよね?ありがとう、イザーク」 そう言ってイザークが持っていた袋を受け取り建物の中に入っていく。 「何だ?」 「たちが出てきたら分かる」 「そういえば、はラクスへのプレゼントって言ってなかったか?」 「ああ、そうだ。がラクスに買ったんだ。俺が出すって言ったんだが、『居候させてもらえているお礼だから』と言われたら引くしかないだろう?...すまない、少ししたら戻る」 そう答えてイザークはさっき来た道に向かって走り出した。 「何だ、イザーク?」 いつも見ない親友の行動に、ディアッカが首を傾げながらそう呟いた。 「さ、お待たせ!!」 そう言ってが手を引いて連れてきたのはどう見てもさっきまでのラクスではなかった。 いつもはヒラヒラとしたワンピース姿のラクスが、今はTシャツにジーパン。そして、パンプスではなく、スニーカーを履き、さらには髪をポニーテールに結い上げ、帽子も被っている。 「えっと、これはどういうことだ?」 婚約者のこの衣装にアスランが混乱しながら聞くと 「似合いますか?」 「ええ、似合いますけど...」 同じく混乱しているニコルが呟く。他の皆も混乱しているようだ。 「ほら、多分プラントの人たち。ラクスはヒラヒラでフワフワっていうイメージだと思うのよね?だから、あまりにもそのイメージとかけ離れた人を見ると本人だと思わずに他人の空似だと思ってくれるんじゃないかなって。これでゆっくり街の中を散策できると思わない?」 「いや、確かにそうだが...」 「ほう。よくお似合いですよ、ラクス嬢」 そう後ろから声を掛けてきたのは、いつの間にか戻ってきたイザークだった。 「まあ、ありがとうございます。わたくしも、こんな恰好をした事がないのでドキドキしていますの」 そう言っていつものように微笑んだラクスに皆は何も言えず、彼女にはそのままの恰好でいてもらい、に街の観光案内をしてやった。 |
プラント観光。
というか、本当に誰かヒロインを連れて行ってもおかしくなかったのにねぇ。
ラクス嬢は何を着ても似合うでしょう。
でも、やっぱりふわふわした感じの服が良く似合うだろうと思います。
桜風
05.02.06
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