Moonshine 13





パーティの翌日は、前以て招待されていたニコルのピアノのコンサートに出かけた。

「あまり大きいものではありませんよ」

とニコルに言われていたが、彼らの『大きい』と自分の『大きい』のギャップは昨日のパーティで学んだため、今回は会場の大きさに間抜けな声を出さずに済んだ。

しかし、どうしてもこの会場が『あまり大きいものではない』というのに納得できないは半眼になって会場を睨んでいた。

「凄い顔をしてるぞ...」

横から声が聞こえて慌てて笑顔を作りそちらに目を向けると

「イザーク」

「どうしたんだ?この会場に恨みでもあるのか?」

「そんなわけ無いでしょ?どうやって見たらこの会場が『あまり大きいものじゃない』になるのか理解に苦しんでただけよ。イザークも招待されたんだ?」

「まあ、な。...ラクス嬢は?」

恐らくの傍にいるであろうピンクの髪の少女の所在を聞くと、

「アスランと共に再び挨拶の旅に出ちゃった」

肩を竦ませては苦笑を浮かべた。

「そうか。ラクス嬢も大変だな」

「イザークは、今日はそういうの無いの?」

「ああ。昨日散々笑顔を撒き散らしてきたからな。大丈夫だろう」

やれやれといった風に溜息を吐きながらイザークは返答をした。そして、ふと何かに気付いたようにを見た。

「何?」

「いや。ということは、もしかしてお前はここで独りで突っ立ってるだけか?それとも、誰かと待ち合わせているとか...?」

「うーん、残念ながら一人ぽっちなんだよね。てか、こんな大きなところ一人で入って迷子にならない自信がない」

「...そういう恰好で腰に手を当てて胸を張るな」

呆れながらイザークはそう言った。

は昨日とはまた別のドレスで、どう見ても胸を張ってもいいような恰好ではない。

「それなら、ご一緒に如何ですか、レディ?」

少し、意地の悪そうな笑みを浮かべてイザークが手を差し出す。

「まあ!恐縮ですわ。ザフトのトップガンのイザーク様にエスコートしていただくなんて!..イテッ」

大げさに驚いたフリをしたの額をイザークが突き、額を押さえながらはイザークの腕に自分の腕を絡めた。



「席はどこだ?」

会場に入ってホールに着いたイザークがに聞くと

「えーと、これ」

はバックの中からチケットを取り出しイザークに渡す。

「ああ、俺の隣か」

「そうなんだ?良かった!」

「『良かった』?どうしてだ?」

が喜ぶ姿に疑問を抱いたイザークが素直に疑問を口にすると

「だって、私今までクラシックコンサートになんて行った事無いから作法とかわかんないし...」

「作法なんて無いだろう。ただ、静かに音楽を楽しめばいいんじゃないのか?」

「そういうもんなの?」

そう言いながら自分の座席に辿りついたは椅子に腰掛け、イザークがその隣に腰掛ける。


「...そういえば、

「ん?」

はパンフレットを見ながら顔を上げることなくイザークに話の続きを促す。

「明日は何か予定が入ってるのか?」

「んーと、...いや、何も無かったよ。何?デートのお申し込みですか??」

パンフレットから顔を上げてイタズラっぽく笑ってイザークを見ると

「そうだな」

「へ?」

からかいで言った言葉をそのまま肯定されたは逆に自分がうろたえてしまい、間抜けな声を出した。

「じゃあ、明日の10時にクライン邸に迎えに行くからな」

「ほえ?あ、あの、どこへ行くつもりですか??」

「それは、秘密だ。大丈夫、昨日や今日みたいな堅苦しいところじゃないから普通の恰好でいいぞ」

ふふん、と鼻で笑いながら用件を言い終わったイザークは自分もパンフレットに目を落とし、は混乱の為か目が泳いでいた。




演奏も終わり、皆で控え室に向かった。

「ニコル!」

ドアをノックして返事があったのではドアを開けて足早にニコルの元へ行く。

「わあ、皆さん。来てくれたんですね、ありがとうございます」

「ニコル、これ」

そう言って大きな花束をはニコルに渡し、そのままニコルの手を目の前まで持ち上げ、その手を両手で包む。

さん?」

「私、聞いたことがあったよ。すっごく嬉しかった!ショパンも聞いたことあったし、モーツアルトも」

「本当ですか?昔からの音楽だからさんも聞いたことがあるんじゃないかって思って急遽曲目を変更したんですけど。良かった!そうだ、もし良かったら演奏をディスクに入れましょうか?」

「本当?あ、でも...折角のお休みなのに」

「いいんですよ。さんに喜んでもらえるんですから。それに、大抵僕は休みの日はピアノの演奏をしていますから」

そう言ってウィンクをしてきたニコルの手をは離し、

「じゃあ、よろしくお願い致します」

深々と頭を下げた。




クラシックというのは、ずーと続いて演奏されていくものですよね。
自分の知っているものを見つければきっと嬉しいですよ。
しかし、既にバカップルっぽくなってきましたね、イザ王子とヒロインって。
一応、付き合ってませんからこの2人は(笑)

桜風
05.3.6


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