Moonshine 16




1週間の休暇はあっさり終わり、皆が船に戻らなくてはならなくなった。

ラクスもを見送るためについて来ていた。

「当分、お会いできませんわね」

本当に寂しそうにラクスが呟くので

「うん。アスランに逢えなくて寂しいでしょ?」

「そうですわね。でも、わたくしはに会えないこともとても寂しいですわ」

にこりと微笑まれ、も何だか寂しくなってきた。

本当ならこの1週間、一人でどこかのホテルに泊まって適当に過ごす筈だった。それなのに実際は、ラクスという新しい友人も増え、暖かい環境で楽しく過ごすことができた。

何だかんだ言って自分はこの世界に馴染み、そして、大切なものが増えてきている。


「よ!久し振り..でいいよな。元気にしてたか、

後ろから頭を突かれてが振り返ると、緑の軍服を着たミゲルが軽く手を上げる。

「ミゲル!久し振り。あれ?ご家族の方は?」

「ああ。もうそろそろ乗船時刻だから。お久しぶりです、ラクス嬢」

「ええ。お久しぶりですわね。と言ってもあれからそんなには日は経ってませんわ」

「ま、そうですけど。おっと、時間だ。行こうぜ、。今日からはガモフじゃなくてヴェサリウスだ」

そう言ってミゲルがを促し、も床に置いていた鞄を持つ。

「じゃあ、ラクス。ありがとう。また、ね?」

「ええ、気をつけて」

ラクスと握手を交わし、はヴェサリウスに向かって足を進めた。



「よお!

船に乗り込むと船員から声を掛けられる。


は食堂で仕事をしているため、整備士や通信士にも顔が知られているし、話をする機会が多い。

擦れ違う人に挨拶をしながらがまず向かった先は

「先生!」

ラフの居る医務室だ。

「やほ、。元気そうね。パーティ以来よね?」

「はい!先生もお元気そうで。ちゃんとゆっくりお休み取れました?」

「んーん、無理。色々あるのよ、こう見えても。自分の部屋には行った?」

「まだです」

「んじゃ、部屋に帰って荷物を置いておいで。またビシバシ医学指導してあげるからね」

「...はーい」

ラフの指導はやはり厳しいため、は肩を落としながら医務室を後にした。




新しい船の生活にも慣れたある日、事件は起こった。


「ねえ、アンタたち。知らない?」

いつもは医務室に籠っているラフが食堂に出てきてイザークたちに声を掛けた。

「いや。朝一緒にメシ食って、この後はラフのところで勉強だっては言ってたけど?」

ミゲルが答えると、ラフは眉間に皺を寄せて頬に手を当てながら溜息を吐いた。

「そうなのよ。でもね、時間になっても来なかったのよ。あの子、時間はちゃんと守る子でしょ?で、何かあったのかなって探しに来たんだけど...」

「変ですね。僕もさんがテキストを抱えて医務室に向かってるの見ましたよ?」

手を止めてニコルが言うと

「いつ頃だ?」

隣に座っているアスランが訪ねる。

「午前の演習の前ですよ」

ニコルの答えを聞いて皆は唸る。

午前の演習の前というとずっと前だ。もうこの船の生活には慣れているし、自室とラフの居る医務室との往復なんて何度も経験済みで迷うとは思えない。例え迷ったとしてもは面識のある人間が多いから道くらい教えてくれそうなものだ。

「一応、午後の演習まで時間があるし俺たちが探してみるよ。ラフは医務室に戻ってろよ」

ラスティがラフに声を掛け、ラフは「お願いね」と答えて戻って行った。


そうは言っても午後の演習までの時間はあまりなく、皆は手分けをして探すことにした。

「おい、ちょっと待て。...鉄臭くないか?」

「ぁあ?...そう言われてみれば、確かに。血のにおい、だよな?」

イザーク・ディアッカ組みは通路の途中で異臭に気付き、足を止める。

いくらイザークたちがコーディネーターで身体機能が発達しているとは言え、少々の出血の匂いには気付かない。

つまり、この近くで違和感を感じるほどの出血が有ったということだ。

しかし、ここらの部屋で出血を伴うような作業は想像しがたい。

2人は神経を集中させてにおいの元がある部屋を探した。

そして、2人が共に異臭を感じる部屋の前で止まり、重い扉を開けた。

そこには赤い血溜まりが出来ていた。その中心に居たのは

!!」

イザークが駆け寄り、抱き上げる。

の意識はなく、出血の為だろう、顔が蒼い。

「どういうことだよ?!何でがこんな、リネン室で頭から血を流しながら倒れてるんだよ!」

どう考えても自然に起こりうる現象とは思えず、ディアッカも毒づいた。

「どけ!!」

応急処置の止血をしたを抱え上げてイザークは急いで医務室に向かう。

重症のを動かすのは得策で無いかもしれないが、ラフを呼びに行って戻ってくるという時間のロスよりもいいと思ったらしい。


「ラフ!」

医務室のドアを開けて蒼い顔をしたを抱えたイザークが、同じく蒼い顔をして入って来た。

「そこのベッドの上に!」

の様子を見てラフはイザークに指示を出す。

「何処にいたんだ?」

医務室に戻ってきてたミゲルがイザークに続いて医務室に来たディアッカに聞くと

「リネン室だよ。何でか知らねぇけど、血を流して倒れてた」

「何でか知らないって...でも、誰からにやられたのは確かじゃないのか?後頭部からの出血だろ?誰かがの後ろから殴りつけたってことじゃないのか?」

「そうだけど!でも、何でがそんな目に遭ったかなんて分かんねぇだろ?!」

ディアッカは思わず声を荒げる。

「黙ってなさい!...ディアッカ、アナタの血をちょうだい」

ラフは背を向けて処置をしながらディアッカに声を掛ける。

「どういうことだ?」

その傍で手伝っていたイザークが聞くと

「この子、以前に言ってたのよ。AB型だって。この世界にも血液型はあるのかって。...ディアッカ、あなたABだったわよね?お願い」

「ちょっと待ってください。大丈夫なんですか?さんはナチュラルしかも、ずっと昔の。そして、ディアッカはコーディネーターですよ?拒否反応とかは...」

「有るかもしれないけど、これしかないのよ。大丈夫。私を誰だと思ってるの?ZAFTの名医ラファエル・ティンバーよ?私が保証するわ。ディアッカの血が混じってもあの子は大丈夫。こんなところで死なせはしないわ!!」




ちょっとディアッカの血が欲しくてヒロイン、AB型になっちゃいました。
だって、イザ王子と同じO型だったらアスランだってそうなってしまいますから。
ところで、ミゲル&ラスティの血液型って何?
ご存知の方はこっそり教えてください(笑)


桜風
05.4.17


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