Moonshine 22





「イザーク、の部屋で何してるんだ?作戦まであまり時間がないんだぞ?」

イザークを探しに来たミゲルが、の部屋で数少ない彼女のの遺品を纏めているイザークに声を掛けた。

イザークの姿が見えないから、もしかしたら、と思い来てみたのだが...

「分かってる!...が居なくなったら、これを俺に。そうに言われてたんだ。本国に送る。アイツの遺志だ」

そう言われて、実感する。もう、は居ないのだと。

ミゲルはナチュラルとか、コーディネーターという括りで人を見ないようにしている。自分の弟がナチュラルだから、敵対心は無い。しかし、今回のことで多少なりともナチュラルへの、地球軍への反感は大きくなった。

が一体何をした?必死にこの不慣れな状況に馴染もうとしていただけではないか?生きようと頑張っていただけではないか。

守れなかった自分が情けない。

しかし、自分が感じている以上に、目の前の銀の髪を持つ少年はそう感じているのだろう。

「遅れないようにな」

そう声を掛けて、部屋を後にしたミゲルは第二医務室へ向かった。

「ラフ」

「ミゲル、いらっしゃい。どうかした?」

やはり、気落ちをしているラフがそれでも笑顔で自分を迎え入れた。

「ああ。ディスク、ちゃんと保管しててくれよ。落ち着いたら、纏めるつもりだから」

「分かってるって。...あの写真、に渡せないままだったわね」

「そうだな。じゃあ、少し体休めておきたいから」

そう言って、医務室から出て行こうとすると

「ミゲル」

「なんだ?」

「クルーゼ隊長」

「仮面の秘密は、解明しようとしない方がいいぜ?」

「...それは、私が作った話じゃない!違う。隊長には、気をつけた方がいい、と、思う」

「はいはい。健康でいるよ!」

そう言ってひらひらと手を振る。

「違うわよ!その体調じゃなくて、クルーゼ隊長には「俺らは、軍人だろ?上官の命令は絶対じゃないのか?例え、信じきれなくても、な?」

ラフの返事を待つことなく、ミゲルは医務室を出て行った。


廊下を歩いていると赤い軍服を来た二人が見えた。

「ディアッカ、ラスティ。お前らがつるんでるのって何となく珍しくないか?」

「あ?ミゲルか。どうしたんだよ」

「別に、つるんでるわけじゃないっての。イザークは?」

の遺品、纏めてるよ。...くれるってから言われてたんだと」

「そっか...」

「あのさ、頼みがあるんだ。ラスティ、ディアッカ」

「なんだよ、改まって」

「変なこと言ってるの分かってるんだ。でも、俺さ、ってまだどこかで生きてるんじゃないかって思うんだ」

俯いたままミゲルがそういう。

「はぁ?!何言ってるんだよ。あいつは、はブルーコスモスに攫われたんだぜ?この船に乗ってたんだから、奴ら、のことをコーディネーターだと思い込んでるよ、きっと」

ラスティが早口にそう言った。

「でも、誰も見てないだろ、の死んだ姿。生きててもおかしくないだろ」

ミゲルが再びそう言うが

「でも、生きてる姿も見てない。まあ、少なくともはZAFTの中ではMIAだ。それって戦死扱いだろ?」

ディアッカに冷たく言われる。

「確かに、そうだ。でも、お前らにこれだけは頼みたい。もし、が生きてて、再会できたとして。俺がアイツを守ってやれないときは、お前ら、守ってくれないか?俺、が本当の妹のように感じてたんだ。兄貴として、守ってやりたいって...」

「...ま。それは俺も同じだな。みたいな妹居たら面白いだろうって思ってたし」

ラスティがそう言う。

「俺も。ってイザークと並んで手のかかるやつだけど、でも、それがあんまりイヤじゃなかったんだよな。勿論、いいぜ。生きてたら、の話だけどな」

ディアッカも軽く承諾した。



作戦開始の時刻、皆はへリオポリスへの出撃に備えていた。

「しっかし、まあ。いいのかねぇ」

ラスティの言葉にイザークが

「何がだ?」

答える。

「中立国のコロニーなんかに手ぇ出してさぁ」

軽い口調でラスティが言う。

「じゃあ、中立国がこっそりコロニーで地球軍の兵器を作ってるのはいいのかよ?!」

「そりゃやっぱ、ダメっしょ?」

モニタが開いて

「お前ら、あんま待たせんなよ」

ミゲルからの通信が入る。

「分かってる。よし、行こう」

「OK」

「ZAFTのためにってね」


作戦が開始された。

ヘリオポリスに侵入したザフト兵たちは爆弾を仕掛けていく。

イザーク、ディアッカ、ニコルの3人は運搬中の3機を奪取しに、アスラン、ラスティは情報だとまだ2機あるはずだからそれを奪うためにモルゲンレーテへ向かった。

イザークたちは鮮やかにその3機を奪うことに成功した。

「ほう、凄いもんじゃないか」

感心しながらイザークが機体を立ち上げる。それに続いてディアッカ。最後に

「ニコル」

「待ってください。もう少し」

ニコルも機体を立ち上げた。

「クルー隊長にお渡しするまで壊すなよ」

イザークたち3人はヴェサリウスに帰っていく。



一方、モルゲンレーテへ向かったアスラン、ラスティも残り2機のモビルスーツの奪取作戦を展開する。
しかし、

「ラスティ!!」

ラスティが撃たれ、倒れる。

死ぬときは走馬灯のように今までの人生が流れると聞いたことがある。

本当だな、と思いながらラスティは最近の一番楽しい思い出が溢れてくる。

『ねえ、皆はこの戦争が終わったら何をしたい?』

そんなことを聞かれたのは初めてだった。

この戦争の中、未来を思い浮かべる余裕なんて無かった。

でも、過去から来たという1人の少女が仲間たちを変えた。少なくとも、自分は変わったはずだ。

一度も思い描いたことの無い未来を口にした。

『俺は、旅に出る』『プラントも、地球もいろんなトコロで色んな景色を見るんだ』

口からでまかせだった。

でも、そんな未来も悪くない。そう思った。

「ワリ、俺、ダメだっ...」

意識が遠のいていく中、ラスティは呟いた。

必ず帰ると約束した家族に。

仲間をからかうためとはいえ、一緒に旅に出ようと誘った少女に。

その少女を守ると約束をした戦友に。

伝えたい言葉はたくさんあった。

しかし、もう、それを口にすることは出来ない。

心残りを抱えたまま、彼は静かに眠った...




ラスティ。
アニメの放送のときは存在すら気付かなかったのですが、
夢小説サイト様を巡ってるうちに段々好きになりました。
スペシャルエディションの話し方を聞いたときには、ディアッカと仲良さそう...
と思った人物です。
もっと彼の活躍が見たかったような気もします...


桜風
05.7.17



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