Moonshine 25




なんとか取り敢えずZAFTを退けることが出来たが、先の戦闘でヘリオポリスが崩壊してしまった。

崩れて行く自分たちのもうひとつの故郷に皆は声が出ない。

そして、なりにこの状況を理解した。

もう、戻れない。そう思った。


コロニーの崩壊ではぐれたキラが何やら推進部が壊れた避難ポットを拾ってきたらしい。

そんな噂を聞いていたら赤い髪をした女の子がキラと供にやって来た。

「フレイ!」

サイがそう言って近づく。

「サイ!!」

サイの姿を眼にした途端、フレイはサイに駆け寄り、抱き付いた。

が首を傾げながらその様子を見ていると

「彼女は、フレイ・アルスター。わたしと同じ年なのよ」

「ついでに、キラの片想いの相手」

ミリィがこっそり紹介してくれて、その横でトールがからかうように付け加える。

「違うよ!何言ってるんだよ!!」

そんなトールの言葉にキラが赤くなりながら抗議をした。

は思わず噴出す。

まるで、ラスティとイザークのように思えた。まあ、キラの方がイザークより随分おっとりしているが...

「この子、誰?」

の姿に気が付いたフレイがサイに聞いていた。

「ああ、彼女はだよ。カトウ教授に用事があって研究室に来てたんだけど、結局ZAFTの侵略でカトウ教授に会えなくて、俺たちと一緒に避難してきたんだよ。、この子はフレイ・アルスター」

「こんにちは。です」

「フレイよ。よろしく」

それから、サイがこの船の状況を説明する。

それを聞いて、フレイは悲観的な感想を言うが、ミリィに窘められ、口を噤んだ。

そんな様子を見ていたは、静かに部屋を出た。


艦長室の前でブザーを押すが、どうも留守らしい。

ならばブリッジと思い、ブリッジに向かったが途中でヘリオポリスで見たクルーを目にして呼び止める。

「すみません」

「何?君は確か...」

「キラたちと一緒に保護されたです。艦長さんにお話というか、お願いがあるのですが...」

内容を聞いて、クルーは眉を顰めたが、一応艦長に会うようにしてくれた。


「え?ごめんさない、えっと、さん?もう一度お願いできるかしら?」

困惑しながらそういうマリューに

「はい。私をこの船で働かせてください」

先ほどと同じ言葉をは繰り返す。

「えーと、でもね?」

どう言っていいか分からず、言葉を捜しているマリューに対して、

「何を馬鹿なことを!君はこの船を何だと思ってるんだ?!」

一緒に控えてたバジルールがはっきりそう言った。

「地球軍の軍艦です」

もはっきりそう答える。

「お嬢ちゃん、働くったって何をするんだい?何が出来るんだ?」

同じく控えてたフラガがそう聞くと

「ご飯が作れます」

キッパリそう答えた。

「どういうこと?」

の自信たっぷりな態度にマリューが説明を求めると

「私、ヘリオポリスに行く前は宇宙船に乗って、食堂で働いてたんです」

嘘ではないが、正確でもない。

「何でまた、お嬢ちゃんみたいな子が?」

「変ですか?私と同じくらいの歳で軍に属してる人も居るし、働いてる人も多いんじゃないんですか?私には、家族が居ません。だから知り合いが、働く場所を紹介してくれました。そこで、宇宙船での調理法を覚えました。水の節約の仕方、無駄なく材料を使う方法」

「いや、でも。この船で働くってことは、貴女も、その...軍人になるって事よ?」

念を押すようにマリューが聞くが、

「覚悟してます」

という言葉が返ってきた。

それを見ていたフラガが両手を挙げて

「艦長、こりゃ何言っても無駄だよ。許可したらどう?この船の人口、かなり増えちゃったし、かと言ってどこかの所属のクルーを食堂にって人数を割けないし。それなら、慣れてる子に頼んだほうがよっぽどいいと思うんだけど?」

フラガの意見を聞いて、マリューは観念したように溜息を吐いて、

「そうね。じゃあ、お願いしましょう」

と言った。

「ありがとうございます」とが言おうとしたとき

「ちょっと待ってください、艦長。、と言ったな。では、何故あの時ヘリオポリスに居たんだ?」

痛いところを突かれるな、と思いつつも

「遠い親戚が居ると聞いたんです。顔も合わせたこともないのですが。一応、頼ってみようかなと思いまして。船は..戦争でどんどん人員削減されていってたので、私のその削減対象になったんです。それで、ヘリオポリスで迷ってる途中でキラたちの学校に迷い込んでしまって、それ以降は皆さんのご存知のとおりです」

全く、嘘ばかりが上手くなる。

生きるためとは言え、本当、育ててくれた両親や兄に心の中で謝罪をしながらもしれっと嘘を吐く。

「そう。では、食堂へ案内するわ」

そう言って、マリューが席を立ち、はそれに続く。

「でも、大変だったわね。仕事がなくなって、親戚を尋ねて行ったら今度はザフトの強襲にあって...」

「まあ、悪い事だらけじゃないですよ。こうして生きてますから、どうとでもなるんじゃないですかね?」

そう言ったにマリューは感心した。

「凄いわね。こんなことになったら、きっと落ち込んでしまうわ」

「そう、ですね。でも、居場所がなくなったのはこれが初めてじゃないので。前は助けてくれた人が居たんですけど、そういう経験があるから今度は自分の力で動けるんですよ。感謝しなくちゃ、です」

ホント、感謝をしなくては。

食堂で働く力をくれたのは、今この船と敵対しているザフトのクルーゼ隊の面々なのだから。


皆とは戦いたくはない。

でも、そうも言ってられないのもまた事実。

それなら、生き延びてまた皆に元気な顔を見せるのが最大の恩返しだ。

だから、今は自分の居場所に拘ってるワケにはいかない。




ヒロイン、生きる術を手にしました。
本当は別のところでも働けるけど、取り敢えず人数が増えたので食堂が大変かな、と。
そうそう。
実は私はフレイが苦手です。
結構嫌なキャラになるかも知れませんが、予めご了承ください。(ぺこり)


桜風
05.9.4


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