Moonshine 27





キラが拾ってきたポットはあっという間にアークエンジェル中に知れ渡った。

勿論、の耳にも届く。

(ラクスが...?)

うろたえてる所に、フレイのヒステリックな叫び声が聞こえる。

何でも、コーディネーターのラクスに食事を持っていくのがイヤだとか。

は溜息をつきながら調理服を脱ぐ。

自分が代わりにラクスに食事を運ぼうと思ったのだ。

しかし、さらに騒ぎが大きくなった。

(ラクス?!)

ラクスが、というかハロが部屋のロックを外したために彼女が食堂まで出てきたのだ。

「あ、あの。ラクスさん。お食事はお部屋でお願い致します」

取り敢えずこの場を収めようと、右手にラクスに持っていくはずだった食事のトレイを持って、左手でラクスの手を引く。

?!」

「マイド!、ゲンキカ?」

ハロがの名前を言う前に驚いたキラがの名前を言ってくれて助かった。

正直、ハロが名前を呼ぶ前に自己紹介をしておかないと、と思っていたのだ。

「あら?..さん?」

「はい、『初めまして』。この食堂で調理師の一人をしております、と申します」

「まあ!わたくし、ラクス・クラインと申しますわ」

ラクスも何かを察して初対面で居てくれる。

「あの、先ほども申しましたが、お食事はお部屋の方でお願い致します。私も一緒に参りますので」

そう言ってラクスを促すと

「つまりませんわ...」

と言いながらラクスは食堂から出て行った。

「ああ、。僕が持つよ」

そう言ってキラもついて来た。

キラが、この船ではコーディネーターはあまり快く思われて無いということをラクスに説明すると、彼女の貌が曇る。

彼女は親善大使として平和を祈っている。プラントでもそういう役目を担っている。彼女自身、平和を願っている。

「あなたは、優しいのですね」

ラクスにそう声を掛けられ、キラは慌てて

「い、いや。僕も、コーディネーターだから...」

「いいえ、それは貴方の優しさですわ。お名前を教えてくださいませんか?」

と聞かれて、頬が赤くなりながら

「あ、キラです。キラ・ヤマト」

と自己紹介をした。

「じゃ、じゃあ、僕はこれで。...は?」

「んー、ラクスさんが食事が終わるまで一緒に居るよ。それなら、ラクスさんも寂しく無くて、さらに食器も下げるのに丁度いいでしょ?」

「うん、分かった」

そう言ってキラが部屋を出て行った。

「ねえ、後でいいから何か歌って?」

「ええ、よろしいですわよ」

そう言ってラクスが徐に歌い出す。

ザフトに居たとき何処からか必ず聞こえてきていたラクスの歌声。

「落ち着くな〜」

ラクスが歌い終わって、がうっとり呟くと

「そうですか?ありがとうございます」

優しく微笑んでラクスが応えた。

「ねえ、ラクス。もう気がついてると思うけど...」

「ええ、の今の居場所はここですのね?」

「...うん。ごめん」

色々と後ろめたく感じたが謝ると

「いいえ。謝ることはありませんわ。こうして、生きていてくださったんですもの。アスランから、が攫われたと聞いたときには、本当に悲しく思いましたわ」

「うん、心配かけちゃったよね。あとさ、お願いがあるんだけど...」

「何でも言ってください。わたくしの一番のお友達ののお願いですもの」

「私が生きてるってコト、ザフトの皆には内緒にしててくれないかな?この船に私が居たら、自惚れかも知れないけど、皆が躊躇しそうで...そうしたら、今度は撃たれるのが皆の方でしょ?だから、その...」

「分かりました。これは、わたくしとの大事な秘密ですわね」

そう言ってラクスが人差し指を口に当てて微笑んだ。

「ごめんね。ラクスが一番辛いよね」

「いいえ、きっとが一番辛いはずですわ。ですから、心配しないでください?」

「ありがとう」

は思わずラクスに抱きつき、ラクスもを母親が子を愛しむように抱き締め返す。




ラクスと再会。
ラクスはヒロインの立場をすぐに理解して、祝福してますよね。
さすが、ラクスワールド(笑)


桜風
05.10.2


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