| 何やら救助に向かってきた地球軍の船団があるということを聞いた。 それには偶然にも外交官であるフレイの父親も乗っているらしい。 サイと泣きながら喜ぶフレイの姿が眼に映る。 これでこの船には多すぎる人も減っていくのかと、は何となく寂しく感じた。 あれ以来、ラクスの部屋で一緒に食事をするようになったはこのことをラクスに伝えると 「まあ!それは良かったですわね」 とラクスもとても嬉そうに微笑んだ。 食事が終わって食器を片付けていると先頭を告げるアナウンスが流れる。 こんなときに、と思いながらも皆は食堂から走って出て行く。 「ねえ、大丈夫なの?」 「大丈夫だよ、少佐も出るし。僕も出るから。ちゃんと守るから」 そう言って心配そうにするフレイを宥めてキラが最後に出て行く。 しかし、キラの言葉とは裏腹に地球軍は苦戦を強いられる。 心配になったのか、フレイがフラフラと立ち上がり食堂から出て行った。 それから少しして廊下を走っていくフレイを見たと思ったら今度はピンクの髪の、どう見てもラクス・クラインを乱暴に引っ張って走って行った。 「ちょっと、フレイ!ラクスさんをどうする気?!」 「貴女には関係ないわ!!」 そう言って振り返った彼女の形相には思わず怯んだが、ラクスのこんな扱いに納得できず、そのままフレイを止めるべく走って着いてく。 「フレイ!ラクスさんの手を離して!!痛そうじゃない!!」 「うるさいわよ!パパが!パパが危ないのよ!!」 そう言ってエレベーターに乗る。 そして、ブリッジに出たかと思うと通信を開くように叫ぶ。 ラクスを人質にすると。父親の船を撃ったら、彼女を殺すと。 も、ラクスも呆然となった。 「ちょ、ちょっとそれは...彼女は保護した民間人じゃない。それをこんな風に扱うなんて...」 がそうフレイに言うと 「アンタには関係ないって言ってるでしょ!!」 と言ってフレイに突き飛ばされた。 「!!」 蹲って頭を抱えているにラクスが近寄ろうとするが、ラクスはフレイに捕まり、そしてモニタで人質としてザフト側にも姿を見せることになった。 しかし、その直後。 フレイの父が乗っていた船は撃たれた。 「イヤーーーー!!」 半狂乱になって叫ぶフレイをサイが宥めながらエレベーターに乗ってブリッジから避難させ、バジルールの判断により、ラクスがこの場の停戦材料となり、このたびの戦闘は取り敢えず収まった。 「、大丈夫ですの?」 「うーん、たんこぶ出来たかも...」 後頭部を押さえながらは苦笑をし、 「ごめんね、ラクス」 泣きそうな顔で謝った。 「いいえ、が無事でよかったですわ」 いつもの優しい微笑を向けられて、益々は泣きそうになった。 他のクルーがラクスを部屋まで連れて行くというので、途中で分かれたはひとり食堂を目指した。 取り敢えず、この瘤を冷やしたい。 しかし、食堂の入り口で 「アンタ、自分がコーディネーターだからって本気で戦ってないんじゃないの!!」 という、憎しみ以外の何でもないフレイの言葉を聞いて凍った。 今まで、あんなに命を懸けて自分の仲間とされているコーディネーターに銃口を向けて戦ってくれている彼に対してそんな言葉がぶつけられるとは... 初めて戦争を知った気がした。初めて戦争から生まれる憎しみというものを見た気がした。 食事を作り終わったあと、廊下を歩いているとサイたちに会った。 昼間の戦闘のことを誰も口にしなかったが、後で会ったカズイにキラの友達がザフトのパイロットで銃口を向け合ってるということを聞いた。 キラも、クルーゼ隊に知り合いが居るのだと知って心が痛んだ。 キラに、そしてザフトのパイロットの誰かにも... その晩、寝付けなくて廊下を歩いているとキラに出会った。 「キラ、どうしたの?」 「え?えっと、いや...あの、寝付けなくて散歩してたんだよ」 「キラってさ、嘘が下手だね」 そう言ってが笑う。 「そ、そうかな...」 決まりが悪そうにキラがはにかみ、 「ラクス?」 は自分が気になってた人物の名前を出してみる。 優しい彼ならそうすると思ったのだ。 「うん。このままじゃダメだって思うんだ」 「同感。手伝うよ」 そう言って、とキラはラクスの部屋に向かった。 「キラ、ザフトに友達が居るんだってね」 「え?えっと...」 うろたえるキラには困ったように微笑み、 「カズイが偶然聞いちゃったんだって。辛いね...」 「でも、出来ることをしないと。僕がこの船を守らないと」 そういうキラは痛々しくて、は何も言えなくなった。 「ラクス、起きて」 ラクスの部屋に入ってが静にラクスを起こす。 「どうかしましたか?」 「ラクス、帰ろう。ラクスはここに居ると良くないよ」 そう言って着替えさせて部屋を出る。 「ラクスは僕たちの後ろを歩いてね」 そう言ってとキラが並んで歩き、その後ろをラクスが歩いた。 ドックに向かって歩いていたが、前方から交代の時間なのか、ミリィとサイが歩いてきた。 が慌てて後ろが見えないようにキラと腕を組んだ。 「あれ?2人ともどうしたの?」 「腕なんか組んで、もしかして、そういことなのか?」 「い、いや...」 「そ。皆には内緒ね?」 「そういうこととは、どういうことですの?」 折角自分たちで壁を作ったというのに、その間からひょっこりラクスに顔を出されてこの作戦は失敗に終わるかと思われた。 「え、えっと...」 「そうだよな、どう見てもこのやり方は正義の味方じゃないよな?俺たちも手伝うよ」 というサイにとキラが顔を見合わせてほっとする。 パイロットスーツに着替えて出てきたラクスに向かい 「いきなり何ヶ月、って感じ?」 とサイが感想を漏らし、ミリィに「ばぁか」と呆れられていた。 ドックについてサイに声を掛けられる。 「キラ。お前は帰ってくるよな?カズイから聞いたんだ、ザフトに友達が居るって。なあ、キラ。帰ってくるよな?」 「うん」 キラの返事を聞いてサイもミリィも安心の笑みを向けた。 「ラクス、元気で」 「も、気をつけてくださいね」 ラクスとの別れを済ませ、キラがストライクを起動させる。 ドックは騒然となり、サイは何度もキラに「帰ってこいよ!」と叫んでいた。 ラクスを返すから受け取りにイージス一機で来るようにとキラが通信をし、それを聞いてフラガが出て行った。 普通は、そんなバカ正直に条件を飲むはずがないから。 案の定、ラクスを受け渡した途端戦闘になりかけたが、ラクスが止めてくれたお陰で何とかそれは回避することが出来た。 戦闘が回避できた途端、、サイ、ミリィは艦長に呼び出されて1週間のトイレ掃除を命じられた。 まあ、きっと正規の軍人なら軍法会議モノの規則違反だ。 こんなことで済んで良かった、とはデッキブラシを握りながらそう思った。 |
ラクス返還。
私的にこのときの話で好きなセリフがサイの「いきなり何ヶ月?」ってトコロです。
アレには笑ったです。
桜風
05.10.16
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