Moonshine 31




ストライクを追って地球に降りてしまったイザークとディアッカは、ジブラルタル基地からクルーゼ隊長に砂漠の虎と呼ばれるアンドリュー・バルトフェルドの元へ行くようにと指示された。

「もう空には戻ってくるなってコトぉ?!」

通信を切ってそうぼやくも、ディアッカたちは渋々その指示に従う。


「やあ、俺はアンドリュー・バルトフェルドだ。ま、君たちも頑張ってくれよ」

適当に挨拶をされてイザークたちは眉を顰める。

「期待してないってコトらしいな」

「寧ろ邪魔するな、ってことじゃない?」

バルトフェルドの態度に2人は嫌な気がしたが、それでも従わないといけないのが軍人である。

「ま、好きにさせてもらうさ」

そう言って宛がわれた部屋に向かった。


夜、外を歩いていてイザークは不機嫌になる。

空気がザラザラしているし、砂が舞って髪に絡まるし。更に昼間とは打って変わって冷え込んでいる。

快適とはいえない。

しかし、此処が、この大地をはもう一度踏みしめたかったのかもしれない。

ふと空を見上げた。

昼間はギラギラと太陽がイヤになるくらい照っていたのに、今は月が出て静かな夜を迎えている。

『じゃあ、いつか地球に行くことがあったら月を見てみてよ。たぶん、同じだから。優しく見えるよ、きっと』

いつかの言っていた言葉を思い出す。

自分の髪をこの月の光に喩えてくれた。

「これが、俺、ね...」

そう呟いた。

でも、この優しい光は自分に似つかわしくないと思った。

たくさん人を殺してきている。

強い憎しみも抱いている。

それ以上にきっと自分にも憎しみが向けられている。

これからも、人をたくさん殺すだろうし、多くの憎しみを受けるだろう。

「これはお前じゃないのか?ああ、いや、違うな」

月の光はだと思った。

でも、やっぱり違うと思う。

は陽だまりだ。

そこは暖かく、皆の心が和む。彼女はそんな存在だった。


「イザーク。こんなところにいたのか?」

「何だ?」

「天体観測?んなワケないか。いや、俺も寝付けなくて仕方が無いから散歩してたんだよ」

「そうか。俺はもう寝るぞ」

そう言ってイザークは屋内へと向かった。

一度空を見上げる。

「...やっぱ似てないだろ?」

以前盗み聞きした会話を思い出す。

「てか、お前の育った星ってサイアクな?」

砂に足をとられてこけそうになりながらそう呟いた。

きっとがここにいたら

『私が育ったのは日本!砂漠じゃないよ!!』

と抗議するんじゃないだろうか?

そんな彼女の姿を思い浮かべてディアッカは苦笑をもらした。






ヒロインのことを思い出すイザーク。
彼女との会話を懐かしんでおります。


桜風
05.12.4


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