Moonshine 36





実はカガリがこのオーブのお姫様だということに皆が驚いた。

もその例外ではない。

何となく、言葉が硬いところがあったとは思ったが、それでも行動に硬さがなかったため、全く気付かなかった。

正直、の持っている『お姫様』のイメージはラクスがぴったりだったのだ。

カガリとラクスは似てないと思う。いや、芯の通ってるところは同じだな、そう思っては思わず笑った。

「どうしたの、?」

「ううん、何でもない。でも、驚いたね。知らなかったの、ミリィたちは」

「まあ、お恥ずかしながら。自国のお姫様が近くにいたっていうのにね」

肩をすくめながらミリィがそう答え、

「だって、それは仕方がないだろ?普通に戦闘機とか乗れるんだぜ?誰も『お姫様』だなんて思わないって」

おどけてトールがそう言った。

「そりゃそうだね」

そう答えては食堂に戻る。


オーブへの滞在が許されたらしい。

オーブ出身のミリィたちは親との面会まで許可されたと聞く。

親に会えると皆は本当に嬉しそうにしていた。

そんな皆の姿をフレイが見ていた。

「フレイ」

が声を掛けると

「何よ!?」

キッと睨まれた。

「おお〜、トゲトゲ」

ホント、嫌われちゃってるな、と思いながらは苦笑した。

「用がないなら声を掛けないで!!」

「いいじゃない。さっきコーヒー入れたばっかりなの。一緒に飲んでよ」

「ばっかじゃないの?!私に同情しないで!!」

そう言ってフレイは走っていった。

「失敗、しちゃったのかな...」

ポリポリと米神を掻いては船から出て行った。

料理長からお遣いを頼まれている。

この船にずっと籠るつもりのの行動を見透かしてのお遣いだ。

少しは外の空気を吸えということらしい。

さらにはお小遣いまでくれた。

『オーブ内の売店に材料の手配をしてきてくれ。ついでに自分のために菓子でも買って来い』

というのがお遣いの内容。


工場で売店の場所を聞いて外に出る。

車を出してくれるという親切な人も居たが、皆忙しそうにしているし、何となく歩きたいと思ったために断った。

伸びをしながら歩いていると後ろから『トリー!』という声が聞こえた。

振り返ってトリィの行方を見守っていると、工場の外の自分と歳が変わらない少年たちの1人の腕にトリィがとまる。

キラが工場から出てきてその少年がキラにトリィを返していた。

しかし、どうにもキラの様子が変だ。

そして、もう一度あの少年たちを見ては驚いた。

自分の知っている彼らにとても似ていた。

帽子を被っていたし、夕日を浴びていて良く分からないけど、でも、凄く似ていた。

最年少で人懐っこい、心優しい少年。

真面目でいらない苦労まで背負ってしまう、損な性分の彼。

ノリが軽く、でも、周りのことを良く見ている兄のように振舞う彼。

そして、怒りっぽくて、でも時々不意にとても優しい目をするとても大切なあの人。

涙がでてきた。

前がよく見えなくて躓いてこけてしまい、更にはコンテナに頭をぶつけてしまった。

止め処なく涙が溢れる。

頭も痛いが、胸が苦しくなった。

違うかもしれないけど、でも、あのフェンスの傍まで走って行って確かめてみたい衝動に駆られた。

しかし、彼らは見る見るうちに遠く、小さくなっていった。

いつも身に着けている懐中時計を握りしめる。

「イザーク...」

思わず、口にするまいと心に決めていた人の名前を呼んでいた。

 




ヒロインにも皆の姿が見えていたんですよね。
でも、確信はないし。
地球に居るとも思えないし...
切ない恋心も抱いてます、ヒロイン。


桜風
06.2.19


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