Moonshine 40





医務室では、何とか止血の済んだ蒼い顔をしたがベッドに横たわっていた。

昔を思い出す。

ディアッカは反対側のベッドに寝て輸血を行った。


一通りの治療が終わって、ディアッカも動けるようになった。

「んじゃ、戻ろうぜ」

「戻るって、何処に?」

ミリィが聞いた言葉にディアッカは呆れながら

「独房。暗くて好きじゃないケド、ここで俺が逃げ出したりしたら今度はが大変だろ?」

「そういや、ボウズ。どうしてこのお嬢ちゃんに輸血したことがあるって言ったんだ?お嬢ちゃんとは何処で知り合ったんだ?」

フラガに聞かれて、

「俺の口から言わない方がいいと思う。ちゃんと、が言うさ。あんた達のことを信頼してるなら、の話だけどな」

とふてぶてしく答えた。

「ま、お前のお陰でこのお嬢ちゃんが助かったんだ、礼くらいは言わせてくれよ」

「いらね。こいつを守ってやるって、仲間と約束してたからな。一緒に約束をした2人は、もういねぇケド...」

そう言ってを見る。

「そうえば、ミリィ。は何で撃たれたの?」

「え、ああ。そうね...」

キラに聞かれてミリィは慌てて話し始めた。



あの部屋から出てとミリィは少ししたら2人のクルーと擦れ違った。

1人が「あのまま餓死してしまえば良かったのに」と呟いた。

それを聞いたは振り返り、

「一体誰のことを仰ってるんですか?」

と声を掛けた。

「は?決まってるないか。あの捕虜だよ。コーディネーターなんて生まれなければ良かったのにな」

と笑いながら言い、隣に居る人物も一緒に笑う。

「ばっかじゃないの?!コーディネーターだって人間よ!コーディネーターだからって何でも出来るわけじゃない。迂闊発言で死にかけることもあるし、バカなヤツもいる。私たちと何ら変わらないわよ!」

「バカはお前だ!コーディネーターとナチュラルは全然違うんだよ。アイツらはバケモノだ!!」

「じゃあ、今まで誰がこの船を守ってくれてたの?!フラガさんも勿論だけど、でも、キラがずっと泣きながら戦って守ってくれてたんじゃない!!そんなことも分からないの?!あんたたちみたいなのがいるから、この戦争は終わらないのよ!何で分かろうとしないの!!
コーディネーターで、ザフトに入ってて、それでも戦争が終わったらやりたい事って聞いたら、『弟と遊んでやりたい』とか、『ピアノの演奏会を開きたい』とか、『世界中を旅して色んな風景を見てみたい』とかそんな普通のことを言うのよ!
くだらないことで笑って、つまらないことで喧嘩して...
彼らは私たちと変わらない、人間じゃない!
もし、何かをバケモノと喩えるなら、それはあんた達のような考え方が生み出す『心』よ!」

そんなの言葉にカッとなった1人が銃を抜いた。

それを認めたはあろう事かその人物に向かって走っていく。

体を低くして、腕で心臓を守ってそのまま懐に飛び込み顎を掌で突き上げた。

1人が気を失って安心したところにもう1人がを撃ったのだ。

左腕を撃たれ、それでもはその男に向かって走っていき、今度は顔面を拳で殴りつけた。

銃声を聞きつけた近くにいたクルーが男たちを連れて行き、が医務室に運ばれていくのを見て、ミリィは思わず独房へ戻っていったのだ。



「ばっかじゃん、

聞き終わってディアッカがそう呟いた。

その発言にミリィが文句を言おうとしたが、思わず口を噤んだ。

「俺たちのせいでこんな怪我なんてするなよ。...アイツらが悲しむだろ?俺たちは平気だから、もう俺たちを庇って怪我すんなよ?」

ディアッカはの髪を梳く。

「えーと。じゃあ、戻ることとするかボウズ」

「ボウズじゃねぇ、オッサン!」「オッサンじゃない!」などという会話をしながらディアッカとフラガの2人が出て行った。

「じゃあ、ミリィ。ここは頼めるかな?」

「え?うん、大丈夫よ」

「お願い。...、ありがとう」

そう言ってキラも部屋から出て行った。




ヤな感じのクルーです。
この世で一番怖いのは人の心だと思うのです。
そして、この世で一番尊いのも人の心だと思います。


桜風
06.4.16



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