Moonshine 57





オーブの復興の目処も立ち、にも多少の余裕が生まれた。

「ほらー、走って走って!!」

孤児院の子供たちと遊んでやったりする。

野球もサッカーも一応ルールを知っているため、運動神経が抜きん出ているわけではないが、子供たちと一緒にゲームを楽しめるのである。

は時々空を見上げる。自分に時間があるようになってからその回数は増えた。

さん...」

孤児院として利用している家の中から外の様子を眺めていたラクスがのそれに気付く。

最近良く子供たちの面倒を見に来ているのそのクセは、何度も目撃している。

単に空を見上げているのではなく、その向こうのプラントを想っているのだとイザークと一緒に居るを知っているものならばすぐに気付く。

「ラクス?」

「キラ。カガリさんに呼ばれたのではありませんか?」

「うん、だから、お客さん」

振り返って見るとそこには久しぶりに見る2人組が立っていた。

「ラクス。は?」

「お外で子供たちと遊んでいますわ」

微笑んで答える。

の喜ぶ顔が目に浮かぶ。

「姉ちゃん!」

声を掛けられて振り返ればボールが迫ってくる。咄嗟に屈んで何とか避けることが出来た。

「何やってるんだよ、姉ちゃん!」

「ホント、危なっかしいなー」

子供たちが口々に心配する。

「姉ちゃん、そんなだと嫁の貰い手がないだろう。仕方ないな、オレが貰ってやるよ」

「残念でしたー。一応貰い手がありますー。...たぶん」

「何で自信なさそうに言うんだよー」

子供たちに笑われる。

「いやー。何でだろうね?」

イザークとは定期的に通信していたときもあった。

しかし、いつも疲れた顔をしているイザークを見ていると、休んだ方がいいのではないかと思う。

だから、通信をしないようになった。

イザークは構わないと言うが、がイヤだった。

「私ってダメだなー...」

「どうしたんだよ、姉ちゃん」

「大丈夫だって。少しくらいトロイ方が可愛いって」

自分の半分くらいしか生きていない少年たちに変な慰めの言葉をかけられる。

「うん。ありがとう...」

何だかやるせなさが倍増した。

!」

呼ばれて振り返ると、キラが窓際で手招きをしている。駆け寄って

「何?」

と聞いてみると、

「いいから、入っておいでよ」

と言われた。

子供たちに声を掛けてから家の中に入って固まる。

「いや〜、相変わらずいい反応だよな」

褐色の肌をした金髪がニヤニヤと笑っている。

その隣には苦笑を浮かべた綺麗な銀髪の青年が座っている。

「えーと、夢オチ希望」

「何でだよ。イザークと会えて嬉しくないのか?」

「嬉しいけど、これだよ!せめて事前に連絡もらえれば、もう少し大人しく過ごしていたのに...」

確かに、と皆は心の中で納得する。

子供たちと野球をしていたため、頭からも砂を被っているし、お世辞にも綺麗な格好とは言えない。

そんなの訴えに構うことなくイザークは

「久しぶりだな、

と微笑みかける。

「うん」

久しぶりに見たイザークの微笑みに照れただが、おずおずと部屋の隅に遠ざかる。

「どうした?」

「あの。本気で着替えに帰ってもいいでしょうか?」

反対するものは誰もない。

「キラ、エレカ貸して」

「ああ、うん」

「え、。エレカ運転できるのか!?」

いつの間に、と驚きながらディアッカが聞く。

その反応に気を良くしたは少し胸を張って

「そうよ。凄いでしょう?」

と言う。

そんなやり取りをディアッカとしているうちに、キラの手にあったエレカのキーはイザークの手におさまっていた。

「行くぞ」

イザークに言われる。

あれ?と首を傾げているの手を引いて孤児院から出て行った。

止めてあるエレカに乗ってキーを回す。

の家はどっちだ?」

「あの、私運転できるようになったんだよ」

「ああ、今言っていたな。で、どっちだ?」

言われて渋々は自宅のある方を指さした。

少しエレカを走らせる。

隣のは少々ご機嫌斜めだ。

の運転を信用していないわけじゃない。けど、のことだから運転していたら会話するのが大変だろう?」

「まあ、そうだろうけど...」

「だから、今回は俺に運転させてくれ。明日にはもうプラントへ帰るしな」

それを聞いては思わずイザークを見る。

「これでも一応、評議員としての仕事でオーブに来ているんだ」

そう言って微苦笑を浮かべる。

「そっか」と寂しそうに呟くはそのまま俯いた。

「元気そうで安心した」

「うん。最近仕事の要領も良くなったみたいだし、色々目処がついたから時間もあるの。イザークは、痩せたね」

「まあ、忙しいからな」

「大丈夫?」

「ああ。でも、こうしてオーブとの折衝に派遣されてに会えたから、悪いことばかりじゃないさ」

「もしかして、背も伸びた?」

「少しな」

あれからたった数ヶ月しか経っていないのに、精悍な顔つきになったイザークを改めて見て、何故か照れてしまう。

「どうした?」

笑いを含んだ声でイザークが問う。

「ううん、何でもない」

俯いているの顔が赤いのは夕陽のせいにしておいてあげようとイザークはこっそり笑った。





あっさり再会(笑)
イザークがプラントから来たのは、きっとラフからカナーバ議長への助言ですね。


桜風
07.4.15


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