My dear 1





イザークとが結婚式を挙げてから半年経った。


新居はどちらの実家にもある程度距離があり、それでも遠くない場所でさらにイザークの職場、つまりはアカデミーからもそこそこ近い場所。


とても微妙な場所だが、それを見つけたときにはイザークは思わず不敵に笑ったらしい。

お互いの実家からある程度距離を取るのは、独立というのを形で示したかったのと、どちらかに住めば他方から絶対に文句が来る。

勿論、イザークにだけ。

母に責められるのも心苦しいが、ラフに責められるともしかしたら胃に穴が開いてしまうかもしれない。

と言うわけで、両者のほぼ真ん中。でも、何か緊急事態が起こればすぐに駆けつけられるような距離を考えた。

職場からの適度な距離も似たような理由だ。

近すぎるとプライベートに支障を来たすかもしれない。かと言って遠すぎたらに何かあったときすぐに駆けつけられない。

そんな深い理由でイザークは新居をそこに決めた。


もかなり気に入っている。

あまり広すぎると落ち着かないが、これくらいなら何とか大丈夫だろうと言っていた。

メイドを雇うと話をしたら即断られた。自分が家にいるのだから、と。

まあ、2人きりで過ごすのも悪くないと思ったイザークはの意見を尊重した。



そんな感じで始まった新婚生活で、病気も怪我もなく全く平和に過ごしていたが、最近の様子がおかしい。

体調が悪いようだが、熱があるわけでもない。体がだるいという。

それでもイザークは仕事に行かねばならなく、その日も残業などせずに定時にアカデミーを出た。

果物を食べたらすっきりするかもしれないと、果物を数種類購入して急いで家に帰る。



家に帰ってすぐに寝室へと向かう。

最近はそこで休んでいる。

夕飯は大抵作り終わっているが、は殆ど食べない。

もそりとベッドの上の塊が動いた。

「ごめん、お帰り」

「ああ、ただいま。調子はどうだ?」

そう言いながらの頬にただいまのキスをする。

「んー、変わんないかな。食欲がないの」

くすぐったそうにしながらは答える。

「帰りにフルーツを買ってきてみたんだ。少し食べてみないか?」

イザークの言葉には少し考えて「うん」と頷く。

「待ってろ」と言ってイザークは部屋を出て行った。


少しして皿の上に食べやすく切り分けられた果物をのせてイザークが戻ってくる。

フォークに刺しての口に運ぼうとすれば、はそれを受け取って自分で口に運ぶ。恥ずかしいらしい。

、明日アカデミーの特別講師でラフが来るんだ。診てもらったらどうだ?」

イザークに言われて

「そうしたほうがいいかもね...」

と呟きながら皿の上のフルーツを口に運んでいった。



ラフには前日のうちに連絡を入れておいた。

の症状を聞いたラフはそんなに慌てた風でもなく、「分かったわ」と一言だけ言った。

ラフがの事だというのに慌てていないということはそんなに重い病気と言うわけでもないのかもしれない。

イザークは少しだけ安心した。


イザークの出勤に合わせても一緒にアカデミーへと向かう。

此処はイザークたちがザフトに入る前に通っていた学校だと聞いている。

キョロキョロと周囲を見渡しながらイザークの後を歩き、保健室に案内された。

「取り敢えず、ここで待ってろ。ラフも大抵此処を控え室にしているから」

「使ってないの?」

「俺たちのときほど生徒が多くないからな」

取り敢えず戦争が収束している今は、軍人になろうとか思うものが減ったということだろう。

学校としての役目を果たすべく組織再編は進んでいるから、イザークはもしかしたら自分の好きな民俗学の講師とか出来るようになるかもしれない。

そうだったら良いな、とは何だか見当違いのことを考え始めた。

今日のは少し楽そうだ。

イザークは安心して保健室を後にした。



ー!」

保健室のドアが開いたかと思うとギュッと後ろから抱き締められた。

思わず「ぐえっ」とカエルが潰れたような声が漏れる。

「久しぶりね、元気してた?」

を抱き締めたままラフが聞く。

「先生、お久しぶりです。ごめんなさい、最近全然連絡できなくて...」

「ああ、いいのよ。それより、体調不良なんだって?昨日イザークが悲痛な表情で相談してきたわよ」

カラカラと笑いながらそう言い、いい加減を開放する。

ラフの話を聞いては反省した。本当に心配ばかり掛けてしまっている。

「じゃあ、ごめん。私これから講義なの。診察は終わってからね?大丈夫よ。ビックリするかもしれないけど、悪い病気じゃないはず」

そう言いながらウィンクをして保健室から出て行った。


再びひとり残されたは暇だなーと窓の外を眺める。

グラウンドでは生徒が只管走らされている。

そういえば、学校なんて何年ぶりだろう?高校も卒業していない事に今気がついた。

ちょっとは勉強しよう...

コーディネーターではないのだから、理解力とか思考力とかそういうのが鈍いかもしれないけど、何とかしないと。

今後自分のせいでイザークが恥をかくかもしれない。

今までは戦争、そしてその復興でそんな時間はなかったけど、今は家で専業主婦させてもらっているし、少しくらい時間を作れる。

頑張ろう。

は決心して深く頷いた。









10万打リクエスト。
『連載の番外編でヒロインが妊娠しちゃってイザや周りがあたふたする話』です。


桜風
07.6.13



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