| イザークの勤務時間の終了を待って共に自宅に向かう。 「エザリア様に報告しないとね」 はにかんでが言う。 「ああ、喜ぶぞ」 イザークも何処となく声が弾んでいた。 家に帰って母に報告すると、想像以上に喜ぶ。 そして、今度の休日に家に行くと伝えるとさらに喜んだ。 「エザリア様、どうだった?」 「大喜び。休日に行くって言ったら嬉しそうにしてたよ」 「本当?良かった」 は嬉しそうに微笑んで食事の仕度をする。 「辛かったらやらなくてもいいんだぞ?」 「ううん。今日は調子いいよ」 の返事を聞いてイザークはそれ以上何も言わない。 ただ、 「何か手伝おう」 と言って一緒にキッチンに立つ。 「ねえ、イザーク」 傍らに立つが呟く。 「何だ?」 「私、凄く幸せだ」 そう言って顔を上げて微笑む。 「残念だったな。俺の方が幸せだ」 「え、私の方だよ」 「いーや、俺だ」 突っ込む者が誰もいないため、幸せ主張合戦は小一時間ほど続いた。 休日。 イザークとは共にマティウス市のジュール邸へと向かった。 ジュール邸に着くとエザリア直々に出迎えてくれた。 例によって例の如く。 はエザリアに取られてしまった。 だが、今回は母に任せたほうがいいだろう。なんと言っても先輩だ。 イザークは家の者に声を掛けて出かけた。 イザークはこのプラントで一番大きな書店を目指した。 取り敢えず、妊娠出産関係の本を漁る。 思ったよりも少ない。 寧ろ、遺伝子工学やそういう文献なら山とある。 確かに、出生率が低いからと言って、これはないだろう... 数少ない出産機会をどう対処しろと言うのだ...? 書架の前でイザークは溜息を吐いた。 そういえば、遺伝子に手を加えていないため、自分との子供はナチュラルになるというコトか? 「ナチュラル、か...」 そらなら、地球にいるラクスに何か役に立ちそうな文献がないか聞いてみるもの手だと思う。 取り敢えず、その書店ではプラントの医療に関する本を購入して店を後にした。 プラプラと自分の育った街を歩く。 環境が変わると見る景色が違ってくるものだとイザークは思った。 同じ街で、同じ景色のはずなのに。全然違って見える。 勿論、街並みも多少変わってきてはいる。 だが、きっと一番の原因は自分だろうと思った。物の感じ方がどんどん変わっている。もしかしたら子供のときよりも感受性が豊かになったのではないだろうか? いつも何にでも驚き、興味を示すの顔が浮かぶ。 本当に、のお陰で随分色々変わったな。イザークは少し可笑しくて小さく笑った。 ある店の前に差し掛かる。 初めてにプレゼントした懐中時計を購入した店だ。 ショウウィンドウを見ても、もう全て見たことのない品物ばかりだ。 だが、は自分のプレゼントしたあの懐中時計を家の中でさえずっと持ち歩いている。兄と一緒に撮った最後の写真を入れたそれは宝物だと言っていた。 「確か。、だったな...」 の兄の名前を思い出す。 気の早い話だとしても、いずれは決めるものだ。 イザークはもう一度書店へ戻る。 今度は先ほどとは違うコーナーへ行って数冊本を購入した。 帰り際に果物を買ってイザークはジュール邸へと向かう。 あまり遅いとが心配するかもしれない。 心持ち少し、アクセルを強く踏んだ。 |
桜風
07.7.4
ブラウザバックでお戻りください