ある休日に





雑踏の中を歩いていて、たぶん自分は結構楽な方なんだろうな...

ぼうっと自分を驚いたように見上げる通行人の視線を受け流しながら花形は休日の街を歩いた。

「お!?花形ノッポ!」

「...俺はそんな名前じゃない」

苦笑しながら声の主を見た。

「うわ、久しぶり!んでもってまた伸びたねぇ...いっそのこと、成層圏まで目指してみない??」

高校生の女子としては平均よりも少し高めではあるが、花形からしてみたらちびっこのが背伸びをしながら笑っている。

「久しぶりだな、

「おー、覚えてる!!」

嬉しそうに笑っては声を上げた。

彼女とは小学校中学校と学校が一緒だったが、高校にあがる際にとうとう進路が別れた。

別に一緒の学校に行こう、とか言うような仲ではなく、ただ、彼女の性格もあってそこそこ仲が良い異性の友人だった。

クラスが一緒になることが多かったのも仲良くなった原因のひとつではあるだろう。

しかし、高校にあがってそろそろ3年。

その間一度も会わなかったが、意外とお互い認識できるものなんだな、と花形は何となく感心した。

「お前、自分を覚えてないかもしれないやつに向かって結構酷いコト言ってたぞ?」

「え?マジ?!ごめん!!」

こうやって素直に謝るは変わらない。

「で、えーと翔陽?休みなの??バスケ??」

何だか、単語をつなげただけのの言葉に苦笑しながら花形は頷いた。

「たまにあるんだ、休養日」

「ほうほう。たまのお休み、ですか...じゃ、YOU、あたしに付き合っちゃいなYO!!」

「は?!」

「あたし、買い物。花形、暇そう。これはあたしに付き合えって言う神様の啓示だね!!」

どういう神様だ、と思いつつも既に花形の腕はに引かれており、仕方なく雑踏に足を踏み入れた。



「しかし、多いな...」

周囲をきょろきょろと見渡しながら花形が呟く。

「はい?」

「いや、人が多いんだな、って」

やはり、この身長差ともなると呟きは簡単には届かないらしい。

「ごめんねー」

が突然そういった。

何だろう、と思って彼女の様子を見守る。

こうやって有無を言わせずに自分の休日を潰したことに対しての謝罪だろうか...?

「何回も同じことを話してもらっちゃって」

ああ、やっぱり連れ回しているのには謝罪はないらしい。

だが、そっちを気にする人も珍しい。自分はやはり他人よりも背が高いからそれは仕方のないことだと諦めているし、慣れてもいる。

「いいや。ところで、別のことに関する謝罪はないのか?」

「は?他に何かあったっけ??」

真顔で聞き返されて花形は思わず噴出した。

何がそんなにおかしいのか、と目の前のは膨れている。

ふと、と重なった人物が居た。

妙に気を遣うくせに、何か厚顔不遜というか...俺様街道まっしぐらな人物。

クツクツと笑い続ける花形にはますます膨れる。

しかし、それは長く続かない。

「さ、花形。次行こう!」

本日の目的がまだ果たせていないことを思い出したようだ。

「次?次はどっちだ??」

「えーと、Bブロックの3階!」

最近出来たショッピングモールに自分の好きなブランドが入っているとの噂を聞きつけて、はここに来たといっていた。

しかし、新し物好きの日本人が集まっているこのショッピングモール内の移動にはかなり骨が折れる。

花形の手の中には既に別のショップでが購入したあれやこれやのバッグがある。

...」

「次、行ったら休憩。あたしが奢るから。付き合ってよ」

言いたい事を察した彼女の洞察力は素晴らしい..のか?

首をかしげながら花形はの後を歩き始める。

こうやってに付き合えるもの、同級生の俺様のお陰だと少しだけ感謝の気持ちを抱いた。

「花形ぁー」

少し前を行くが人ごみに揉まれつつも名前を呼ぶ。

「何だ?」

「ありがとね」

「たまになら、構わないさ」

『たまに』と、一応ちょっと釘を刺しつつそう返した。

「へへへ」と先を歩くが満足そうに笑っている声を漏らしていた。

きっとニヘラっと笑っているのだろう。

仕方ない、と花形はため息をついてゆっくりとの後を歩いていった。





リクエスト内容
『ヒロインに振り回される花形』

リクエストありがとうございました!!





桜風
09.7.5


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