「どうしてこの学校を選んだの?」

興味があって聞いてみた。

どうも我が県はバスケ部を有する学校が多く、強豪と呼ばれる学校も少なくないということを耳にしたからだ。

推薦が来たからだろうな、と思っていたら意外としっかりした理由で。

「練習のメニューや、1年を通しての練習カリキュラム。あと、進学先も考えてみたな」

とのこと。

ああ、そうか。推薦の話がたくさんあればどれがいいかしっかり考えなきゃいけないんだと気付く。

しかし、まあ。

消極的な理由で選んだ人間と、積極的な理由で選んだ人間が同じ場所にいるという学校という場所もなんだか不思議なものだ。





振り返って 2





 部活が始まったけど、運動部でありながら毎日の活動ではなくて、ちょっと驚いた。

といっても、体力づくりの活動はある。

私が見学に行ったときにはバレー部と卓球部とバスケ部が使っていたけど、そこには更にバドミントン部が入り、そこには男子部も順番に使っていて、とてもじゃないけど毎日体育館を使用する事は出来ない。

ただ、ウチの学校は、バスケの男子部が全国区のため、フィジカルルームがある。

これはどの部も使える施設なのだ。

ただ、暗黙のルールで男子バスケ部の使用の邪魔はしない。

基本的に男子バスケ部は全体練習後に使うから、早い時間に使っていればお互いなんの問題もない。

だから、体育館を使えない日の部活は早めに終わる。

先輩曰く「勉強する時間もしっかりとれるでしょ」ということで、元々ダメだとは思うけど、部活を理由に成績降下はありえないということで。


部活を始めてそれこそ2週間くらいは筋肉痛に悩まされた。

「ムキムキになっちゃうよ」

教室で呟くと

「まだまだだろう」

と隣の席から。

見上げて、目があったのは牧くんで。

「えー、ムキムキだよ」

そう言って力こぶを見せると彼は片眉を上げ、「こういうのはどうだ?」と自分のご自慢の力こぶを見せてくれた。

「ごめん、そのレベルは乙女として失格になるから」

というと

「ああ、そうか。乙女か」

と、ともすれば失礼にあたる言葉を呟く牧くん。

ともすれば、というか、十分に失礼なひと言だ。うん...

メリハリがある、といえば聞こえがいいが、メニューの関係だろうってしたり顔で従兄に指摘される。

それはメニューが悪いということなのかなと思っていると「そういうもんだ」という意味だったらしく、体に悪くないなら青春の一ページとして仕方ないから受け入れることにした。



男子バスケ部が強いというのは地元ではそこそこ有名で。

その分、ほかの部の名前はかすんでいた。

私が進学先を海南大附属高校にしたのは、高校から通い始めると大学に上がるときは形ばかりの試験を受ければいいと聞いたからだ。

苦労をするなら1回で、という考えが私の脳裏をかすめ、そのまま実行した。

そうはいっても、この学校のレベルは低くはなく、どちらかといえば高い方で。

だから、私が進路希望調査に『海南大附属』と書いたものを担任に見せたら二度見されたし、正直、受験前の模試もギリギリの判定だった。

ギリギリの判定を前に担任は「受ける価値はあるが、滑り止めを用意しておいたほうがいいかもなぁ」と唸るようにアドバイスをくれた。

そして、それを聞いた私は帰宅して「全然大丈夫!」と言って海南大1本で行った。

私の場合、別の道が用意されていればそれに甘えるのがわかりきっていたし。結果的に合格したのだから万事オッケーだと思っているのだが、親も当時の担任もそうは思っていなかったらしくこっぴどい説教を受けた。

親に至っては、いまだに思い出しては嘆いているという始末。

過去よりも未来の話をしたいものだ。

というわけで、私は積極的に消極的な理由でこの学校を受験して合格し、こうして通っている。

私立であるものの、家から通えるところでしかも人力、つまり自転車なのだから褒めてもらいたい。

近い将来訪れるであろう大学受験の受験料を削減したと思えば、親孝行な話のような気もするけど...



私の家族構成は両親と自分の3人で、祖父母は健在だけど、同居はしていない。

そして、今年から一人、同居人が増えた。

親がご懐妊ということではなく、県外に住んでいた同じ年のいとこがこの春から推薦で当県の学校に通うことになった。

寮もあるらしいのだが、色々と気を遣う寮よりも親戚の家で下宿をする方がいいでしょうという親同士の話し合いのうちに、彼の下宿が決まった。

この同居人のおかげでバスケは詳しくなった。

同じ年ということもあって、色々と話は合うし、県境を跨いでいても交換した情報は中々有用なものもあった。

推薦をもらってウチの学校のライバル校に行くようになったこのいとこは、外面は良いらしい。

「モテモテだぜ」って言っていたのを聞いた時には、耳鼻科に行かなきゃと思ったくらいだ。

もしくは、どこかの病院を受診させるか。

取り敢えず、この年代の男子を家に住まわせるにあたって気を付けなきゃいけないことがあるだろうに、両親は何一つ気にせず過ごしていたため、私の懸念していた『お風呂でばったり事件』が先ほど起きた。

「きゃー!」と胸元を隠したのはいとこの方で、うっかりドアを開けたのは私の方。

「隠すとこ、そこじゃないでしょ!」

思わず突っ込みを入れてドアを閉めた。

今日は意外と早い帰宅だったらしい。

部活はどうした?









桜風
14.11.27


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