| 同じクラスの神宗一郎くん。彼とは何かと縁があるようで。 中学は一緒だった。 同じクラスになった事がないものの3年のときは同じ委員会で、高校も同じになって。 高校では1年のときは隣のクラスで、そして2年になった今年は同じクラス。 何だか段々彼に近付いているような気がする。 でも、きっと神くんはわたしのことを覚えていないと思う。 自分で言うのも何だけど、わたしは大人しくて目立つ方じゃない。 中学の委員会でも神くんと会話を交わすことは殆どなく、わたしの記憶が正しければ、委員会のときも挨拶を交わしたのは数回で、それ以外言葉を交わしていない。 それでも、彼は気配り人間なのか、よく気がつくし人当たりも良い。 だから、彼の周りには沢山人が居るし、それは自然な光景だと思う。 別に彼の事が好きで恋人になりたいとかそうは思わないけど。でも、何となく気になる存在で友達くらいにはなりたいとは思うんだけど... けど、わたしが縮める事ができる距離も此処まで。 この先のわたしと言ったら、精々日々神くんを観察して彼の人の良さを眺めるのが関の山といったところだろう。 「!」 高校で出来た友達が教室の入り口から声を掛けてきた。 彼女とは去年同じクラスだったけど、今年はクラスが3つ離れてしまった。それでも、お昼は彼女と一緒に食べるし、たまの学校帰りの寄り道も彼女と一緒だ。 「なに?」 「あさって、ケーキバイキング行かない?ほら、にとっては丁度良いでしょ?」 あさってはわたしの誕生日。 つまり、誕生日を祝ってケーキバイキングに行かないか、といったところなんだろう。 「いいよ」 「んじゃ、あたしが奢るから」 「ありがとー」 手短に会話を済ませて自分の席に戻ろうとすれば、自分の席についてクラスメイトと話をしている神くんと目が合う。 それは突然で、思わず足を止めると神くんはにこりと微笑んでクラスメイトとの会話を続けた。 ビックリした... それから2日後。 朝、教室に行くと神くんが居た。 今日は偶々朝早く起きたから、いつもよりも早めに学校に来たんだけど... 「おはよう、さん」 神くんが声を掛けてきた。 「おはよう、神くん。早いんだね。朝練?」 「そう。さんは?」 「うーん、偶々早起きしてさ。珍しく予習でもしてみようかと。でも、教科書置いてるから学校に来ないと出来ないんだよね、予習」 そう言うと神くんはクスリと笑い 「真面目なんだか、そうじゃないんだか...」 少し呆れたように言葉を口にする。 「ホントにね」 わたしも笑う。 なんで神くんが教室に居たかその理由は分からない。 わたしが考えていると、彼は 「じゃあ、俺。朝練に戻るから」 と教室から出て行こうとした。それになのに教室のドアを出たところで足を止めて 「ああ、さん」 と名前を呼んだ。 わたしが顔を上げると 「おめでとう」 一言そう言われた。 「へ?」 何がどうおめでとうなのだろう?わたしの頭に浮かんだ単語はひとつ有るけど... 「誕生日、なんでしょ?おめでとう」 そう言って神くんは教室の中から見えなくなった。 彼がなんでそのことを知っているのか、その理由は全然想像つかないけど。 それでも予想外の一言にわたしはその場に立ち尽くして、そして慌てて廊下に出た。 「ありがとう!」 背が高い人は歩くのがとても早いようで。危うく神くんはこの廊下から姿が見えなくなるところだった。 わたしの大きな声の『ありがとう!』に神くんは足を止めて驚いたように振り返る。 苦笑いを浮かべながら軽く手を挙げて神くんは廊下の角を曲がっていった。 今日、一番最初に「おめでとう」を言ってくれたのは神くんで。 もう少しだけ、彼との距離が縮められるかもしれない。 そう思うと何だかワクワクしてきた。 |
20万打おめでとうございますの『LINE CROSS』のhinataさんへ。
桜風
07.4.18
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