| バスケの名門、海南大附属高校に入学して当然バスケ部に入り、そしてそこにはという元気のいいマネージャーも居た。 「先輩は中学のときはバスケ部だったって聞いたな」 ある日、朝練が終わって部室で先輩の事を聞いたみたら神さんがそう教えてくれた。 「じゃあ、何で男子のマネージャーなんてやってるんすか?」 「さあ?先輩に聞いてみたら?」 そう言って神さんは部室から出て行った。 しかし、正直おれは先輩が苦手だ。 なぜって、何でも出来る人だから。 完璧すぎてそれでどうしても二の足を踏んでしまう。 別に取って食われたりしないだろうけど、それでも苦手だと思ってしまうし、どうしても話が出来ない。 結局、先輩の話を聞けないまま数週間が過ぎて行った。 放課後の部活の後、神さんも帰っておれが一人で練習をしていると体育館のドアが開く。 振り返るとそこには、帰ったハズの先輩が制服姿で立っていた。 「あら、清田」 「ちわ。帰ったんじゃなかったんすか?」 「そうね。帰ろうと思ったんだけど、まだ電気が点いてたから」 そう言って体育館の中へと入ってくる。 「清田だけ?神は?」 「あ、神さんはもう今日のシューティング練習が終わったんで。用事もあるしって帰りました」 どうも居心地が悪い。 苦手な先輩と体育館で2人きり。 「あ、そうなんだ?」 そう言いながら先輩は用具室へと向かった。 何をするんだろう? そう思っているとモップを持った先輩が戻ってくる。 「清田。こっちのコート使わないでしょ?」 そう言われて頷くと、おれの使わないほうのコートのモップがけを始める。 「え、いいっスよ。おれ、練習が終わったら掛けておきますから」 「いいよ。清田は練習しな。そして、そっちは自分でモップかけなね?」 そう言いながらも先輩はモップ掛けを続ける。 練習を続けていたけど、頭の中で同じ言葉がぐるぐると回り、おれの集中力を切らせる。だから、気になっていることから片付ける事にした。 「あの、先輩」 「ん?ああ、邪魔?」 「や。そうじゃないんすけど。聞いても良いですか?」 「まあ、答えたくなかったらそう言うけど。それでも良いなら、どうぞ?」 「何で女バス入らなかったんですか?」 ずっと気になっていたそのことを聞く。 「男バスの方が日本一になれそうだから」 一言、簡潔にそう言った。 「へ?」 おれが聞き返すと 「だから、頂点に立てると思ったから」 そう一言素っ気なく返ってくる。 「え、でも...」 「何、清田。マネージャーは男バスの一員じゃないって言うの?!」 少し怒ったように睨みながら先輩が言ってくる。 「や、そうじゃなくて。先輩は中学のときバスケ部だったって聞いたから。選手として、バスケを続けたかったんじゃないかって思って...」 怯みながらもそう言うと 「ああ、違う。バスケ部だったけど、そのときもマネージャー。ずっとマネージャーしかしたことないよ」 さらりと言う。 そして、 「で、折角ならやっぱトップが良いでしょ?今年は自称ゴールデンルーキーが入ったことだし。勿論、全国制覇の期待大よね?」 ニヤリと笑って先輩は言った。 なるほどと納得する反面、結構プレッシャーを掛けられているような... 思わず先輩からの視線を避けるように視線を彷徨わせる。 「こう見えて君に期待してるんだからね。スーパールーキー、清田信長くん?」 名前を呼ばれてもう一度先輩を見ればその笑顔はさっきの悪役のようなそれではなく、今度は思わず見惚れてしまうくらいとても優しくて、さっきとは別の理由で顔を逸らしてしまう。 「ま、任せてください!」 先輩の顔を見ることなくそう答えると「頼もしいね」と笑いながら先輩はモップ掛けを再開した。 |
桜風
07.4.24
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