約50センチの距離 3





 、お前国立落ちたんだな」

指差して大爆笑しながら言うのは、本日の学校と練習試合を組んでいた大学のバスケ部のルーキーだった。

「うるさいなー」

「いやいや、挫折は必要だぜ」

そう言ってまた笑う。

「ここまでひどい人とは思ってなかった!」

「まあ、オレもこれは酷いと思ってるけどな」

呆れたように花形が頷く。

大学に入ってまだひと月は経っていない。

でも、高校を卒業してすでに1か月以上たっている。

だから、高校時代の友人に久々に会えるっていうのは嬉しいものだろうと思って声をかけたのだが、逆効果だったかもしれない。

そう思っていたら

「花形くんは悪くないよ」

と彼女が見上げて言った。

「ん?」

「悪いのは全部あのデリカシーのかけらもない男、藤真健司だ!」

そう言ってチームの輪に戻っていく背中を指差す。

そのタイミングで藤真が振り返り、も手を下ろすわけにはいかずそのままにいると藤真は小ばかにしたように指差してきた。

「ねえ、花形くん」

「ん?」

「全力で応援するから!!」

力強く言うに苦笑しながら「ああ」と頷いた花形もチームベンチに向かう。


結局勝利したのは、の通う学校、つまり花形が所属しているチームだった。

「でも、なんか複雑だな...」

ポツリとつぶやく。

本人たちはそう言うのに慣れているのか、元々覚悟していて進路を選んだのか、いつもと大して変りなかった。

「次は勝つ」と言っている藤真だが、それに対して花形は苦笑している。

何せ、2人とも今回はベンチを温めただけだったのだ。

あれだけ凄いといわれ、推薦も結構いろんな学校から声がかかっているといっていた藤真でさえベンチ。

よほどの強豪に行ったらしい。

そう言った情報に疎いは、少しだけ自分をもどかしく感じた。

「んで、どこ行くよ」

「反省会とかないの?!」

「うん。明日な」

「だって、負けたじゃない」

が言うと

「だーかーら。明日だって言ってんだろ。今日は休めってさ」

「ベンチだったのに?」

「うるせー」

そう言いながら藤真がに梅干をする。

「藤真、やめろ」

花形が止め、藤真はため息をついての頭にぽんと手を載せた。



「んで、花形とどうなんだよ」

花形の方は、練習試合会場だったので片づけがある。

それを待っている間に藤真が言う。

「どう、とは?」

「どうとは、どうだよ」

埒が明かない会話が進みそうで、はため息を一つ吐いた。

「花形くんとは、ほんの10日くらい前かな?に、同じ学校だと気付いた仲だけど?」

そう言うと「ふーん」と藤真が気のない相槌を打つ。

「お前、何学部?」

「文学部。うちの学校ってほら、ちょっと広めでしょ?だから、学部によっては、4年間で1度もすれ違わないっていう人も出てくるとは思うんだけどね。花形くんとはたまたまお昼に学食で。学食も2、3か所あるからこれまたエンカウント率は低いよ」

「たしかに、無駄にでかいよな」

苦笑して藤真が言う。

実をいうと、ちょっとだけ迷ったとか。

「私も、花形くんに教えてもらってなかったらここに体育館があるなんて知らなかったし」

そう言いながらはバッグの中から手帳を取り出して、そこに挟んでいた地図を取り出した。

「おいおい、在校生」

「なにを。数週間前からの在校生じゃない」

藤真のツッコミにはそう返した。

地図を見ながら学校案内していると「悪い、遅くなった」と花形がやってきた。

「...何やってるんだ?」

首を傾げて言う花形に

「バーチャル校内案内」

がいい

「ホントに無駄に広いなこの学校」

と藤真が花形に文句を言う。

「オレに言うなよ」

花形がため息交じりにそう言い、3人は学校を後にした。









桜風
13.7.31


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