| 図書館の閉館の音楽が流れ始めた。 自習室の机の上に広げた教材を仕舞いながら時計を見た。 あと30分はどうやって潰そうか... 一旦学校の鞄を置きに帰ってもいいのだが、なるべく家にいたくないのでそれはしない。 だったら... 「コンビニか本屋さんか...」 しかし、部活が7時までとは中々大変そうだ。 陵南のバスケ部は強いんだったか... 近所とはいえ、生活範囲に陵南高校は入っていないので良く分からない。バスケ部が全国大会に出たと言う話も聞いたことは無い。 そもそも自分が通っている学校は女子高なのでそういう話題、何処の学校の部活が強いだとかそういう噂は中々流れないのだ。 誰それの彼氏が何処の学校でどんな人で、というゴシップ的な噂は山ほど流れると言うのに... 「ま、それこそ健全と言うべきかしら?」 年相応の興味を持っている集団と言うことなのだろう。 返して言えば、自分は全くそう言う誰それの彼氏の噂に興味が無いので友人達の話の輪に入っているのが少々苦痛だったりする。 かといって一匹狼が出来ないというなんとも情けない性格だ。 少しコンビニで時間を費やして仙道と約束したファミレスへと向かった。 先に入っているのだろうか... 中を覗いてみたが、あの長身だ。いたら分かるだろうが居なかった。 だったら外で待っておこう。 暫くして制服姿の仙道が駆けてきた。 「ごめん、お待たせ」とあまり息を切らすことなくそういった。 すごいなぁ...とは感心する。 そして仙道は「えーと...」と頭をかく。 は首を傾げた。 「ごめん、俺名前聞いてなかったような気がする」 と言いにくそうに言う。 「あ、そっか。こちらこそ、ごめんなさい。です」 そう言ってペコリと頭を下げた。 「仙道彰です。腹減ったね。家のほうは大丈夫?」 そういいながら仙道はドアを開けて彼女に入るように促す。 「ありがとう」と礼を言って彼女は先に店に入り2人であることを店員に告げると店員が席まで案内してくれた。 「ね、他の人は?うっかり2人って言っちゃっいましたけど...」 ソファに腰を下ろしてがあわてて仙道に確認したが「あいつらには来るなって言ったから大丈夫」と笑われた。 「昨日のお礼にご馳走させてください」とが申し出ると「いいよ、別に。自分の食うもんは自分で出すって」と断られた。 しかし、それでは自分の気がすまないとが言うと「じゃあさ」と仙道が提案してきたことに彼女は驚いた。 「けど、見ててもわかんないと思うんですけど...」 あまり興味が無い。 仙道が提案してきたのは、今度ある試合を見に来てほしいというものだった。 注文を聞きに来た店員に仙道が次から次にメニューを告げる。 「そんなに入るの?!」 その途中で思わずが声をかけると「え、普通でしょう?」と返してまだ注文を続けた。 仙道が口にしたメニューを聞いただけで殆どおなかいっぱいとなったは当初考えていたメニューよりも軽いものを頼んだ。 店員が去っていって「それだけ大丈夫なの?」と今度は仙道が驚いて声をかけてくる。 「あ、そっか。家で食べるのか」と納得している仙道に「家に帰っても夕飯は無いから此処で食べるの」とは返す。 「あれ、独り暮らし?」 「ううん、家族と暮らしてるけど...」 何と言っていいのか分からずに語尾をモゴモゴと濁してしまった。 「せ、仙道さんは?」 話を変えるべく仙道に話題を振ると「俺はばあちゃんちに下宿」と仙道が返した。 「地元は東京だからね」 仙道の言葉に目を丸くした。 「態々神奈川に?!え、陵南にどうしても来たかったんですか?」 「スカウトされたし、まあ。うん、そうだね」 頷いていう仙道には目を丸くしたまま固まった。 そんなに凄い選手だとは全く思っていなかった... |
桜風
11.7.27
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