drops 6





仙道に誘われた試合を見に行ったは圧倒された。

試合を観戦した数日後に仙道に会ったとき感想を聞かれた

「皆背が高いのね。何を食べてあんなに育ったのかしら...」

とその試合の感想を口にした。

の言葉に仙道はぽかんとしてやがて笑い始める。

「え、なに?!」

慌てるに「いや、感心するところがそこだったのかと思って」とそのまま笑い続ける。

と仙道はお互いの家の電話番号を交換した。

仙道は別に女の子から電話がかかってきても気にしないし、は基本的に家に誰も居ない生活なので家族に気兼ねすることなく話をすることが出来るので全く問題が無い。


前に約束したとおり一緒に夕飯を食べたりするし、一見すると付き合っているという状態かもしれないが、そこもまた微妙である。

がそういうのを気にしている様子を見せないし、仙道もそんなこと気にならないようで。

気にしているのは仙道の友人達くらいだ。

「どうなんだ?」と何人かに聞かれたが「どうもこうも」と答えるしかない。

一緒にご飯食べて美味しいけど、じゃあ、付き合いたいかとか聞かれたら素直に頷けない。

要は、今の状況が居心地良いのでそれで充分なのだ。

それを言うと「くそぅ、贅沢者め!」と僻まれる。

そんなことを言われても...

第一、彼らが彼女を魅力的と思っているのはその着ている制服、通っている学校の効果だろう。

周囲に話を聞けば高嶺の花と皆が口を揃えて言うが、別に彼女は特別ではない。

ご飯を食べて美味しいと言うし、苦味のある野菜は苦手なのか、顔を顰めてそれでも完食する。

学校には苦手とする先生も居れば、クラスメイトの奇怪な会話には偶についていけないと零すこともある。

何処にでも居る高校3年生の女の子である。

どんな制服を着ていても魅力を感じてこその魅力だろう。

仙道は、ロクに話しても無いのに彼女を魅力的に感じて持ち上げている彼らの反応は気に入らない。

「ご機嫌斜めですねぇ」

首を傾げてが言う。

最近は部活が終わる時間が遅い。

「え?そうかな??」

「うん、ちょっとそんな感じがしたけど...」

自信なさげに彼女がそう言って、「気のせいか」と呟いた。

まあ、確かにちょっと思い出してムカムカしていたが...それを見抜かれるとは思っていなかった。


「そういえば、今度の試合」

「どっち?」

「日曜の方」

が話を始めた。仙道にとって、結構重要な試合のことである。

「ああ、うん。何?」

「学校の懇談が入ってて行けなくなったの...」

「日曜に懇談があるんだ?」

「うちは、両親が働くのが好きだから...親の都合が日曜しか空かないみたいで」

なるほど、と仙道は納得した。

「というか、高校でも懇談があるんだ?」

珍しい。

全国からの入学がある陵南は懇談とかそういうのはない。親が遠くからくると言うのがまず難しい話なのだ。

「うちも普通は無いんだけど、何故かウチの親が申し込んだらしくて。意味がわかんないんだよねー...嫌な予感と言うか、ロクなことにならない気がしてならないと言うか」

溜息混じりにが言う。

「それって三者?」

「たぶん。親には全く会えていないから。頑張って夜遅くまで起きていれば会えるだろうけど、そこまでして聞き出したいこともないし...」

以前からのことは淡白な家庭環境の中にあると思っていた。親が子供にあまり興味を見せず、子供も同じくなのである。

「でも、嫌な予感がするんでしょう?」

「する。けど、聞きたくないってのがやっぱり一番なのかなぁ...」

独り言のように呟き、は食後のコーヒーを飲んでいた。










桜風
11.8.10


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