| が家に帰ると靴が3人分あった。 何だろう、まだ早い時間だから皆出て行ってないだけかな... そう思いながら部屋に直行しようとすると「部屋に帰る前にこっちに来て」と母親に声をかけられた。 渋々はリビングへと向かう。 「なに?」 そこには家族全員が揃っていた。父と姉も居たのだ。 両方とも家に居るのが珍しい。 両親から聞かされた話にソファに座っていたは思わず立ち上がる。 「何それ!」 「落ち着きなさい、」 父親がそう言う。 「勝手に決めないでよ!」 父の言葉を聞かず、がわめく。 「ちょっとうるさい」 姉が冷たく言った。 「お姉ちゃんはいいの?!」 「あたし、こう見えて内定もらってるからあたしはこっちに残るわよ。家、このまま使って良いんでしょう?」 姉の言葉に「まあ、いいだろう」と父が頷く。 大学に通っている姉は意外なことに夏前だと言うのに就職の内定が決まっていたのだ。 来年度から社会人。自分で自分の食い扶持は稼げるようになる。 不動産にかかる金は親が出すといっているので、あとは高熱水費とかそいういうものだけだ。 おそらく初任給でもやっていけるのだろう。 しかし、自分はどうだ。 就職なんて考えていない。自分は親に養ってもらわないと生きていけない。 「け、けど...急すぎるよ」 分が悪いのは分かっている。だが、簡単に頷けない。 何でも、両親が海外での事業を決意したのだと言う。 彼らの夢で、これに向かって毎日忙しくしていたのだ。 しかし、そんなことを今まで一度も聞いていなかったはまさに寝耳に水である。 突然「海外での事業を決意したから。一緒に来なさい」とか言われても簡単には頷けない。というか、少しくらいそういうことは匂わしておくべきではないのか?! 「これからは国際化の社会だ。高い金を払って留学をする人が居る中、お前はそんな手続きの苦労は要らないんだぞ」 「さっき、学校で確認したら姉妹校があるらしいのよ。その学校に進学しなさい」 だから自分を追い出したのか... 自分の親はいつだってそうだ。 周囲を固めて逃げ道をなくして追い詰めて結局こっちが従う以外なくなる。 ずるい、とはいつも思っていた。 そうして自分達は子供のためを思っている。愛のある選択だと思っているのだ。 はそのまま家を飛び出した。 とにかく、公立の図書館に避難していたが、休日は5時までであり、すぐに閉館となった。 とぼとぼと公園へ向かう。 親の言ったとおり、確かに留学をすれば自分にとってプラスになるとは思う。いつかは海外で勉強をしてみたいと思っているのは誰にも話していないが、夢だったりもする。 だが、こういう形で強要されたくなかった。 せめて選択肢をくれても良かったではないか... 文句がグルグルと頭を回るのに、結局親が示した道しか歩めない子供の自分が悔しかった。 「何してるの、さん」 頭上から声が降ってきた。 零すまいと我慢していた涙がぽたりと膝の上においていた手に落ちる。 その様子に驚いた仙道は「隣に座るよ」と腰を下ろした。 躊躇いがちにの頭を撫でる。 「悲しいことがあったの?」 「つくづく、わたしが子供だったって気付いたの」 の答えに仙道は全く心当たりが無い。 しかし、「そっか。悔しいね」と返した。 コクリと頷いたの瞳からとめどなく涙が流れ、仙道はしゃくりあげる彼女の頭を優しく撫で続けた。 |
桜風
11.8.24
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